熊ちゃんでオセロしちゃた。
今夜は満月。大仲良しの白熊と黒熊は隣同士横並びで月を眺めていました。
東の方角から、この辺りでは見かけない黒熊が現れました。大きなリュックを背負って杖をついています。どうやら旅熊のようです。
白熊と黒熊は、旅熊に向かって「旅熊さん、一緒にお月見どうですか」と尋ねました。旅熊は熊なつっこい笑顔で「ありがとう」と言い、白熊の隣に座りました。
三匹で月を見上げました。夜に昼が浮かんでいるようでした。
ふと黒熊が月から目を離して白熊を見ました。目がぱちくりしました。そこには白熊ではなく黒くなった白熊がいたからです。旅熊もそんな白熊を見て驚きました。
「僕のせいで白熊さんを黒くしちゃった」
旅熊は大泣きしました。白熊も黒熊もどうしていいかわからず泣きました。
その泣き声が空に届いたのでしょう。空から二羽の白兎が舞い降りてきました。そしてそれぞれ北と南の方角から白熊をそっと抱きしめました。すると白熊の体が、空に浮かんでいる満月の様に光りました。光り終えると元の白い白熊が立っていました。
三匹の熊は抱き合い、二羽の兎に持ちきれないほどのお団子をプレゼントしました。
その場にいた全員が幸せに包まれました。
終わり
※小牧さん主催1分マガジンに再度参加させていただきました。
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