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なんでもない1月29日のこと

月曜日の夜は、あわただしい。
保育園に息子を、さらにそこから自転車で15分先の学童まで娘を迎えに行く。行って戻って、1時間。夕飯づくりは時間勝負になる。今日は、土曜日につくったトマト煮込みのミートボールを荒くつぶし、少し濃いめの味に整え直したあとパスタを入れて絡めた。生活クラブで売っているニューオークボの生フェットチーネは、むっちりと食べ応えがあるうえ、茹で時間も3分で済む。

副菜には、切り昆布を甘辛く炒め合わせたもの。魚売り場を歩いていたら、以前取材で「黄魚(きお)」の店主が「生姜とちょっと煮るだけでおいしいんです」と話していたのを思い出したのだ。わたしは生姜と、しょう油、みりんを使ったけれど、彼女はどうなのだろう。最後にごま油をジャッとやったら想像以上にいい塩梅で、これは定番の惣菜になる。子どもはうどんでも食べるような速さで平らげ、あっという間に消えた。大人は少しラー油を垂らすのもおいしそうだ。

トマトのパスタと、切り昆布の生姜炒め。ひどい組み合わせだと我ながら思うけれど、平日の夕飯はいつもこんなふう。週末に献立と段取りを考える見通しの良さは持ち合わせておらず、いちからつくる時間もない。結果、残りものをアレンジし、冷蔵庫にあるなにかを組み合わせる。今日のように、さすがになあと後ろめたさがよぎるときは、うつわを変える。ほんの少しのことだけれど、これは自分の納得のため。

夜、インスタグラムに上げようと、秋に泊まった山の上ホテルの写真を見返していたら、驚くほど枚数が少なかった。あんなにも踊るような高揚感に包まれていたのに。しかしノートを開くと、そこで感じ取ったことがたくさん綴られており、これでよかったのだと思いなおす。写真を撮るために訪れた場所ではない。毎日の夕飯だって、写真を撮るために食べているのではない。

18年前の1月29日は、大阪の南港にいた。いわゆる記念日というやつで、だからよく覚えている。18年経ったいまは、ちぐはぐな夕飯を子どもらと食べている。おいしいねえ、昆布よく噛んでよ、トマトソース飛ばさないでね、昆布おかわりある?

写真は一枚も撮っていない。でも、きっといい一日だ。

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