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金星 Venus

19時頃、車の助手席から山を見る。

西の空の低い所に強く光る星がある。
今にも高い山にくっついてしまいそうだ。

星の名前など何も知らない。
咄嗟にiPhoneで"西 低い 1番星"と調べると金星だということがわかった。

運転席の父にあたかも前から知っていたかのように「あの低い星見て、金星だに。」と自慢げに話す。

きっと「ふーん。」とか「そうなんだ。」とかそういう言葉で終わると思っていた。父は特に星とか興味がないから。

「あそこまで行ってみたいな。」
思ってもみなかった返答に少しだけ頬が緩んだ。


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