2年前、レコードいっぱいのバーで選定した1960-80年代の邦楽ベスト3 #スキな3曲を熱く語る
近年、スマートディスプレイで「森の音」「海の音」を聴いたり、ラジオニュースを聴いたりする以外は、無音状態で過ごすことも多くなった私ですが、大昔は、CDを年200枚ぐらい買ったり、中古レコード収集したりしつつ、日々、国内外の音楽を耳にしていた時期もありました。
あれこれ聴いていた中、根強く好きだったジャンルに1960-80年代の邦楽があります。
近年「昭和歌謡」と呼ばれるものとある程度重複しますが、発表当時は歌謡曲とされていなかったものも含むため、個人的には「邦楽」がしっくりきます。
リアルタイムで好きだった曲よりも、後年、新たな耳で聴き直す曲や、初めて聴く曲を好きになることが多く、それらの中で、自分なりに生涯ベスト的な曲も特定されていきました。
今回は、ときどき足を運んでいた邦楽専門の音楽バーで、2年前の年末、その夜最初の客だったのをいいことに、ひとり、好きな曲をかけ続けてもらった際の写真を使いつつ、私の邦楽ベスト3を紹介します。
(順位ではなく、リリース順です)
■ブルー・ライト・ヨコハマ(いしだあゆみ)
作詞:橋本淳 作曲・編曲:筒美京平 日本コロムビア 1968年
日本歌謡史に残る大ヒット曲であることに関わらず、とにかく、詞・曲・編曲・演奏・録音・歌唱・タイトル・ジャケットのすべてを素晴らしいと感じる1曲です。
何度聴いても飽きることがなく、毎回、新鮮さを感じます。
その理由を説明するのは難しいのですが、この曲以外でもタイトル・歌詞に地名の入っている曲を好きになることが多いので、「ヨコハマ」が惹かれる要素の一つだろうとは思います。
曲とカタカナ表記の印象か、国内でありながら海外が舞台になっているような印象を持ってきた気もします。
もし地名が入っていなかったら、あるいは「ヨコハマ」が「横浜」だったら、ここには入っていなかったかも知れません。
■どうぞこのまま(丸山圭子)
作詞・作曲:丸山圭子 編曲:青木望 キングレコード 1976年
オリコン最高5位、売上52万枚(Wikipediaより)を誇る1970年代女性シンガーソングライター代表曲として、また後年は和製ボサノヴァの名曲として語られるこの曲。
ほぼリアルタイムで存在を知っていたものの、意識して聴くようになったのは約10年後。
夜中に目覚めた瞬間にラジオから流れていたのがきっかけでした。
その後、中古レコードやCDで購入し、以来ずっと好きな曲です。
私は、サウンド面を優先して曲を楽しむことが多く、歌詞があまり耳に入らないこともあるのですが、この曲に関しては歌詞が心に飛び込んできて、以下4点に魅力を感じています。
・名フレーズ「どうぞこのまま」
・「証し」「ひとすじ」「ひたむき」「うらはら」といった言葉の選択(他の曲でも使われているのでしょうが、個人的に新鮮味を感じます)
・二番の「雨はきっと降り続く」、三番の「だからいつまでもこのまま」が、いずれも、その直前の歌詞から飛躍のある(想像しづらい)表現
・全体的に、歌詞の量と説明度合いの程良さ
長年、勝手に想像してきたこの曲の情景については、2014年出版の自伝的著書『どうぞこのまま』(小径社)により、補足することができました。
少し恐縮しつつ、同曲誕生に触れた箇所を引用します。
その頃近くて遠い存在で、会うたびに短い時間を二人のための最高の一時に変えてしまう、不思議な存在の彼がいた。示し合わせる訳でもなく、約束もないまま、ふっとあいた時間に紛れ込むように、二人は寄り添った。
(中略)
私たちが体を合わせた後、外は雨が降り始めていた。
私は、ガラス窓を流れる雨の滴を見つめながら、まもなく二人の時は終わりを告げて、彼が黙って扉を開け、去っていくのを感じていた。にこやかに⋯⋯、また、自分の世界に戻るように⋯⋯。
彼が去った後で、私の中に一瞬の、刹那に生きる想いだけが残った。胸の奥から突き上げる叶わぬ想い⋯⋯。それが言葉になり、歌になった。
「どうぞこのまま」は、今を”ひとすじに” ”ひたむきに”生きる、私そのものであり、私の恋のバイブルである。それは、今も変わらない。(後略)
(P.78-79)
この本(上記以外の箇所も興味深い記述が多いです)を買ったおかげで、曲の情景がより鮮明になったことは、私にとって収穫です。
ただ、それにとらわれず、今後も聴き続け、この曲の新たな面を自分なりに見つけられたら、とも思います。
この曲は、70年代から近年までカバーの多さも特筆すべき点で、Spotify等での聴き比べも楽しめます。
ただし、残念ながら、私の知る限り1976年丸山圭子オリジナル版は配信されておらず、セルフカバー数種のみ対象のようです。
■つぐない(テレサ・テン)
作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし 編曲:川口真
トーラスレコード 1984年
この曲は、リアルタイムではほぼ接点なしだったのに、後年、中古レコードで聴いているうちに、主に曲調と歌唱に惹かれ、いつしかベスト級に昇格していきました。
歌詞では、最後の「あすは他人同志になるけれど」の「けれど」が耳に残り、うまく言えないものの、この曲の世界を作る重要な要素と感じます。
ちなみに、私が持っていたレコードのジャケット写真は、もっと硬い表情のもの。
検索すると、下記のブログ記事が見つかり、おかげさまで2種類を比較できました。
表情の好みは別として、曲に合うのは左かなと思いますが、いかがでしょう。
以上3曲、気付いてみると、60・70・80年代で1曲ずつ。
自分にとっては重要な曲ばかり。
今後も、大切に聴き続けていきます。
他にも
この夜含め同所で撮った写真がけっこうあるので、この機会に、曲・ジャケットとも好きなものを選抜して並べてみます。
以上、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
見返してみて、このバーで初めて知った曲も含め、多くの素晴らしい曲とレコードジャケットに力をもらいないがら生きてきたことを再認識しました。
ただただ感謝です。
皆さんのスキな3曲も、楽しみにしています!
※少し加筆修正しました(2021.10.5)