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下を向いて歩こう! マンホール蓋を鑑賞するのだ

 「前を見て歩きなさい!」誰もが一度は言われたことがあるだろう。前を見る理由はただひとつ。見ていないと危険だからだ。しかし、前だけを見ていてはわからない世界もある。上には電柱、高層マンション、鳥、飛行機…挙げたらきりがない。下にも同じく色々なものがある。小石、雑草、そしてマンホール。

 デザインマンホールをご存知だろうか。その土地にゆかりのあるキャラクターなどをマンホールにしたものである。自治体と提携をしているマンホールのみならず、ポケットモンスターとコラボした「ポケふた」などの私設のものを含めると、相当な数になるのは間違いない。もちろん街中でよく見かけるマンホール蓋にも様々な種類がある。だが、デザインマンホールには特色が一つある。それはカード化されていることだ。「マンホールカード」というコレクター心をくすぐる逸品があり、全国623自治体と2団体が874種類ものカードを出している。今回は都内にあるいくつかのデザインマンホール巡りとカード集めをしてみた。

 最初に訪れたのは新宿だ。新宿にはたくさんの観光スポットがあるが、その中でJR山手線の電車内から見えるゴジラは、一番の推しスポットと言っても過言ではないだろう。

新宿のゴジラ

 巨大なゴジラモニュメントについ目を奪われて上を見がちだが、ここでは下も見てほしい。実はそのゴジラがある新宿TOHOビルの前にはゴジラのマンホールが2種類設置されているのだ。

ゴジラvsモスラのマンホール
ゴジラのシルエットが施されたマンホール

 新宿観光案内所でマンホールカードをゲットすれば、デザインマンホールと一緒に撮影することもできる。

ゴジラのマンホールカード

 マンホールカードには設置された由来が書いてあるため、ぜひゲットしてもらいたい。

 2箇所目は千駄ヶ谷にあるデザインマンホールだ。ここに設置されているのは、漫画『3月のライオン』に登場するキャラクターたちである。マンホールカードは1枚だが、デザインマンホール自体は6種類ある。


『3月のライオン』に登場するキャラクターたちのマンホール
マンホールカードは主人公の桐山零のカードのみだった

 マンホールカードの配布場所は、日本将棋連盟の将棋会館である。

将棋会館

 漫画にゆかりのある地で配布されているというのはとても面白い。いわゆる聖地巡礼的なことも兼ねられるのだ。

 3箇所目は両国だ。両国といえば相撲。そして芸術面から言えば葛飾北斎が居を構えていた場所である。街のあちこちに石碑がある歴史好きにもたまらない街には少なくとも3枚のデザインマンホールがある。一つ目は国技館前にある日本相撲協会の公式キャラクターの「ハッキヨイ!せきトリくん」だ。マンホールカードにもなっており、両国駅を出てすぐの両国観光案内所でアンケートに答えるともらえる。

「ハッキヨイ!せきトリくん」のマンホールカード

 残りの2枚は、葛飾北斎の『冨嶽三十六景』シリーズから「凱風快晴」と「神奈川沖浪裏」が選ばれている。「神奈川沖浪裏」のデザインマンホールは、すみだ北斎美術館の側の通りにある。

神奈川沖浪裏のマンホール
凱風快晴のマンホール

 美術館で北斎の浮世絵を見るついでにマンホールも鑑賞してみてはいかがだろうか。

 最後に巡ったのは、アニメ『鉄腕アトム』のデザインマンホールである。東京メトロ神保町駅やJR御茶ノ水駅からすぐの明大通りに設置されていた。

『鉄腕アトム』のマンホール

 訪れたときは、「東京名物・神田古本まつり」が開催中で、神保町はたくさんの人で賑わっていた。マンホールカードは九段下駅すぐの千代田区観光案内所で配布されているが、マンホールからは少し遠い距離にあることを知っておいたほうがいいだろう。

アトムのマンホールカード

 巡ってみて分かったのは、デザインマンホールが風景に同化して見落としがちになることだ。ここにあるというサインがなく、設置場所の住所を頼りに探していくため、デザインマンホールを見つけるのは、実はなかなか大変だった。ただ、探している時にその土地の美味しそうな飲食店やいい雰囲気の街並みなどの新たな発見が必ずあった。 

 今、マンホール巡りを始めたいと考えている人には、ぜひおすすめしたいキャンペーンがある。それは『TOKYOデザインマンホールデジタルラリー』だ。デザインマンホールとともに周辺の観光地を案内してくれる便利なサイトで、GPS機能を使用してマンホールをサイト上で集めるとポイントが貯まり、ポイント数ごとに賞品に応募できる。

デジタルラリーの画面。マンホールと一緒に観光情報もみられる

 12月2日まで開催しており、お出かけがてら集めてみてはいかがだろうか。観光で行った先々のマンホールカードを集めるもよし、デザインマンホールだけを目当てに電車やバスの一日乗車券を買って回るもよし。そんな楽しみが多いデザインマンホール鑑賞を、ぜひおすすめしたい。

文・撮影=友永理子

下水道広報プラットフォーム https://www.gk-p.jp
TOKYOデザインマンホールデジタルラリー https://tokyo-manhole2022.com


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