3月25日 西宮市長選挙街頭演説見物記


 今週末投開票の西宮市長選挙。我が家のある十三から阪急電車で10分で西宮。これは選挙好きとしてはぜひ見に行かねばならぬ、と候補者の演説を観に通ったのだった。
投票権のない全くの部外者ではあるのだが。

 まずは3月23日に日本維新の会から出馬する増山誠候補の街頭演説会に。この日は大阪市長の松井一郎氏も来る、ということだった。
演説の時間少し前に開催場所の広場に行くと、維新カラーである黄緑のウィンドブレーカ―を着た人々が沢山いる。結構な数で、しかも若い人、20代から30代くらいだろうか、そういった人が多い印象だった。維新の会が主催している政治塾から地方議員になった人や、なろうとしている人が多いのかな、という印象。
感じとしては、ギラギラよりのキラキラって感じで、なんか恋愛とかも起こりそうな、そういう文化祭っぽい笑顔が目立つ人々が手伝いをしていた。
演説会は今回の市長選挙と同じ日に行われる定数2の市議会補欠選挙候補の演説からスタート。維新の会は定数2のところ2人の候補を出していて強気。
二人の候補は演説が上手かった。先に出た森けんと候補は僕よりも年下で、元気いっぱいって感じ。いかにも若手経営者って感じだな、と思ったらやっぱり若手経営者だった。不動産リフォーム関係、と選挙チラシに書いてあり、なんかすごく納得した。切り回してそう。
次に出てきた浜口ひとし候補は一転理知的な語り口、落ち着いた感じでちゃんと2番バッターを務めているな、という印象。この人も元々飲食店経営をしていたらしい。
どちらかは受かるのだろうか。それとも票を食い合ってしまうのだろうか。この補欠選挙も結構面白い気がする。
 次に登場した日本維新の会の三木けえ衆議院議員の演説がすごく上手くて驚いた。
維新はカラーとして批判をすることが非常に上手な党という印象だけれど、この批判に感情を乗せるのが非常に上手だった。感情の波を作って、一番訴えたいところで最高潮になってうるさい感じにならないように、良いテンポで演説を進めていく。講談をやってもうまそうな人だ、と思った。ちょっと今後の選挙で注目しようと思う。
続いて出てきたのが増山誠市長候補。今回の立候補者だ。この人も元飲食店経営。今回は維新からの候補者全員元経営者ということになる。これも維新の会らしさかな、と思う。
三木議員の後だったからか演説はそんなに冴えなかったかな、と思う。
ここまでの演説ではとにかく現職のままでは良くない、ということを訴えていて、特に真面目に働いていない市役所職員がいる、よくない、という話が良く出た。
増山候補は「もっと一緒に怒ってください」と言っていた。
現職を追う立場だとやはり批判や怒りを喚起して糾合するタイプの戦術になっていくのだろうなあ、と思う。
二番手が逆転する戦術を取っている、という印象。
そして最後になんだか見たことのない黒い大きな車で登場したのが松井一郎市長。
始めて生で見たのだけれど、結構背が低いな、という印象。もっと押し出しのある感じかと思っていたが、予想外にミナミをうろうろしていそうな感じで新鮮。
演説は大阪での維新の実績、給食の無償化や塾助成など、を語り、そしてその良さを西宮にも維新の市長を誕生させることによって実現させる、という感じ。もっと漫談っぽい笑いのある感じの演説かと思いきや結構真面目だった。意外その2だ。
観衆は正直まばらだったと思う。道行く人もしっかりと話を聴いている感じじゃあなかったか。
しかしながら、補欠選挙候補から始まって5人の演説を立て続けだったが、チーム感は非常に強かった。演説会のパッケージとして優秀だったように思う。他の候補の演説会では感じなかったことだ。

 次に今日見に行ったのは現職石井としろう候補と、吉岡政和候補。西宮北口駅近辺で街頭演説が行われていた。
まずは石井候補の演説の場所へと向かう。駅前ショッピングモールの北側の四つ辻の交差点の一角で行われていたので、横断歩道を渡ってその一角に向かおうと信号待ちしていると、僕の横にも信号待ちをしている男。信号が青に変わる直前にその男がやおらカバンから顔を全部覆うプロレス的なマスクを装着した。
僕は「これは石井候補に差し向けられたなんらかの刺客で顔を隠したのではないか、もし石井候補が暴力の危険にさらされることがあるのなら、選挙好きとしては、不偏不党ながらも石井候補を守らなければ」と思う。
新号が青になってマスク野郎と共に横断歩道を渡る。マスク野郎は石井候補に一直線に近づいていく。石井候補がマスク野郎と目を合わせる。すわ、と思ったが、石井候補、マスク野郎の肩をポンポンと叩き嬉しそうに微笑んだのだった。
どういうことか、と思って演説会を見ていると、司会の女性が「和泉市議会議員のスペル・デルフィン議員が応援にかけつけてくれました」と言うとおもむろにマスク野郎がマイクをとって滔滔と挨拶を始めるではないか。
そう、実はマスクの方は現職の議員さんだったのである。スペル・デルフィン。その道ではかなり有名な方らしい。ううん、政治や選挙は面白い。
マスクマン政治家はああいう結構ギリギリのタイミングでマスクをつけるのだなあ。
しかし僕、若干素顔を見てしまったぞ。いいんだろうか。

 石井候補の演説は今まで1期四年間の実績をアピールするもの。声を張り上げるわけではないけれどテンポよく話を進めていく感じでとても聞きやすい演説。手伝っている方々は年配の方が多く、維新の会の感じとはだいぶと違う感じ。
イメージカラーは青なのだけれど、皆が青い服をきているわけではなく、ただ私服のおじいさんがチラシをもって配ってりしていて、組織の力、はあまり感じなかった。
演説会の現場には、多分呼ばれてきているんだろうな、という人が結構来ていて、直立して演説を聞いて、バッチンバッチンに拍手をしたりしていたところを見ると、全く組織がない、ということでもないのだろうか。
他の候補の悪口を言わないのには好感を持ったが、まあ、逃げる立場の現職だからあえて他の人を批判するメリットがない、ということなのかもしれない。
石井議員はあの民主党の重鎮、石井一議員の甥で後に養子に入って衆院議員も務めた、といういわゆる世襲系の出の人。あまりそのことはアピールしていなかったが。

最後に見に行ったのが吉岡候補。
この方は最後に出馬表明をした候補。今回の選挙は維新が増山候補、自民立憲共産などが現職の石井候補、そして自民党の一部が吉岡候補を応援しているという構図。
前回の市長選挙で吉岡候補は自民に応援されて出馬して108票差で石井候補に敗れている。
そして、今回は自民と立憲共産などのいわゆる「野合」を嫌った自民党の方々が吉岡候補を擁立したのだろう、という感じ。
イメージカラーは多分オレンジ。どこかの量販店で買った袖なしのダウンのようなものを陣営みなが着込んでチラシ配りをされていた。ショッピングモールのテラスのような場所だったのでマイク無しでの演説。とにかく現実的な政策を書いた、野合も、党勢拡大を狙っているだけの維新もダメ、ということを主張していたのだけれど、道行く人はあまり反応がない。僕はじっと演説を聞いていたのだが、他に聞いている人が居ないので若干緊張をした。手伝いをしている人は若い人が多かったけれど、維新の会の手伝いのように「経営者」とか「キラキラ」って感じではなかった。真面目そうな方々が、仕事終わりに手伝っている、というふうに見えた。手作り感が3候補の中で一番強い。
チラシなどを見ると、かなりバランスの良いことが書かれているように思える。が、3人目として、実績をアピールする現職と、現職を批判する維新の対抗馬、その間に出馬するとなると、やはり語るべきことはバランスの良い正論、ということになるのだろう。
そういうスタンス的にとらざるを得ないバランスの良さ、と言う感じはした。
チラシを見ると63キロのダイエットに成功しているらしい。すごい。

 という3候補。現職VS維新の戦いに、保守系の第三極が挑む形。街頭演説の印象は維新が一番強い。松井一郎市長がやってきた、ということもあるだろうが圧倒的なチーム感。そりゃあこの感じで関西中から地方議員が集まってその週その週の別々の選挙手伝うなら強いはずだ、と思った。一回手伝ってもらったら他の選挙も手伝わなければならないし。維新の強さとその特異性を観た気がする。

 果たしてどんな結果になるのか。ちょっと3候補の演説を見て回っただけなのに、すごく思い入れができてしまった。今回の候補のこれから、もぜひ追いかけようと思う。
決戦は日曜日。

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