政治家


こんなことを言うとバランスを欠いた危うい危険思想のアナーキーなださいやつだと思われるかもしれないけれど、僕は政治家が大好きだ。
最近、戸川猪佐武原作・さいとうたかを著の「大宰相」なる歴史劇画が講談社文庫から出版されていて、それを移動中などにひたすら読んでいるのだけれど、政治家好きの血が騒ぐ。
僕の思想信条とか関係なく、政治家の謀略であるとかスタンドプレイ、派閥闘争や権謀術数に惹かれるのである。

「大宰相」を読んでいて好きだったのはなんといっても三木武吉だろう。
自分が見込んだ鳩山一郎を担ぎ、病に侵されながら謀略の限りを尽くして吉田茂を倒して、自由民主党を作った男。

ユーモアもある。
選挙中演説会で対立候補に
「某有力候補は愛人が4人います」
と暴露された直後に
「先ほど吹けば飛ぶような候補から紹介された有力候補です。さっきのは間違いです。愛人は4人ではなく5人です。でも最近は愛人たちも年老いて役に立ちません。それでも一度愛人にしたので私は養い続けています。義理人情の男です。よろしく」
というような切り返しをして聴衆から喝采を浴びる

顔は鋭い鷹のような印象の小柄な痩身の老人。そしてなぜかいつも和服を着ている。
名キャラクターだ。
自らは軍師に徹し、先頭には立つが頂点には立たず、少数で大人数を切り崩し、仲間にし、組織を飛び出し、強力になって戻ってきて大将に実権を握らせたりする。

そういう男が作った自由民主党が65年間あり続け、力を持ち続けている、というのがドラマだなあ、と思うのだ。

最近の政治家では野中広務が凄く好きだけれど、三木武吉の系譜かもなあ、と思う。
自民党の政治家は国家の権力をめぐって戦うので、シビアで人間味も出やすくて、キャラクター立ちしやすいのだろう、と思う。

今はキャラクターに魅力のある政治家が少なく、政治を追いかける気にあまりなれない。
まあしかし政策や主義主張関係なく娯楽として政治を眺めているだけのことなので、僕のことは気にせず、政治家の皆さんは政治を頑張ってほしい。
僕の楽しみはあくまで副次的なものだから。

あと、僕の師匠の師匠、つまり大師匠にあたる旭堂南陵先生は元参議院議員で、社会党が村山富市内閣で連立与党になった際、社会党におられて、自民党発案の中選挙区制から小選挙区制に変える選挙制度改革法案に反対票を投じた方だ、というのは素人時代から知っていたのだけれど、そのあたりのことをいつかお聞ききしてみたいな、と思っている。
いろんな文献をあたっても、あの小選挙区制に関する戦いは、その後の政治において結構な変わり目だった気がするのだ。

趣味が強く出過ぎた記事になった。
しかし僕は講談師、趣味を生かしやすい職業だ。
いつかは生かそうこの趣味を、と思いながら講談の修行に励んでまいります。


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