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6月27日~7月3日 一週間日記

●6月27日 選挙漫遊


 まず練馬の石丸伸二候補を観に行く。練馬なんて漫遊じゃなかったら来なかったかもしれない。おなかがすいてあたりをうろうろする。立ち食いソバなどが食べたかったのだけれど、そういう店が全然ない。ラーメン屋、脂っこいか味濃い系、ばっかりで入る店がない。仕方がないので何も食べずに街宣を聴く。
人は相当に集まっていた。まあ、若い世代がどうこう、というけれど、ほかの陣営と同じような年齢層には見えた。年寄りが多く、若いものもいる。
男子高校生が下校中か、通りかかって「うわ、石丸や」と急いで選挙カー近くまで駆け寄っていったのが印象的だった。
ただ、スピーカーの方向が悪いのだろうか、とにかく声が聞こえにくい。何を言っているかが聞き取れない。しかし皆が位置を変えることなく、その姿を注視し続ける。一目みよう感が大変強い。有名人って感じだ。
 終わって移動して石神井公園。蓮舫議員の街頭演説。駅前はすごい人だった。愛と信頼の共産党員。って感じのボランティアも散見されたが、そういう人ばかりでもなく。
観衆は石丸さんのそれよりも年齢層は若干高めか。若者、って感じの人はあまりいなかったかな。
枝野幸男がきていて、この演説が大変にうまかった。意味とか内容とかじゃなくて、群衆が盛り上がる波、みたいなのを修練によって体得している感じがした。右派的なことを言おうが左派的なことを言おうが新自由主義だろうが独裁賛美だろうが排外主義的な論旨だろうが、目の前の人は高揚感に包まれるであろう、という語り口。基本的に穏当と思える内容や主張ばかりなのでよかった。
あらゆる場所で党首として応援をしてきた強みであろうと思う。蓮舫氏の演説はそんな枝野メソッドを踏襲しつつも、枝野氏の後だったので、その若干の力不足が見えてしまう形になっていた。
 終わってからみたことないけどきっとチェーンのちゃんぽん屋で野菜ちゃんぽんを食べて石神井公園から帰ろうとしたら途中で新宿三丁目駅を通りかかったものだからからめとられるようにして新宿ゴールデン街へ。バーを二軒はしごしているうちに終電を逃す。適当にサウナに入って時間をやりすごす。始発で武蔵新城へ帰る。
 


●6月28日 シラス講談回


 前の日飲みすぎ寝れなすぎダメ日。夜にシラスで講談会がある予定だったが準備が遅々として進まず、破れかぶれで講談をやった。
『玉田玉山物語~講談師になるまで1時間ver』である。意外と発見の多い講談になって、むしろ終わった後に元気が出たのだった。

●6月29日 講談レッスン・選挙漫

 部屋をさっと片づける。昼間はÝ君を迎えての講談レッスン配信。どういう風に努力をしたのか、を喋ってくれる。なんだか少しだけ、ほんの少しだけ師匠の気持ちがわかる気がする瞬間があった。ははあ。と思う。
 玉木青、Y君ともに東京都民であるから、選挙の話をあれこれとする。投票先をある程度推薦したりもする。SNSは演芸の場なので漫遊のことだけ語ることにしているのだけれど、対面だといくらでも具体的な話ができる。SNSで黙っている人に対して「声を上げろ」となじることとなんと乱暴なことよ、と思う。SNSで黙っているからこそ、対面で聞いてもらえる話というものもあるのだ。
 Y君が自宅へと帰るのに同道して、北千住へ向かう。あの、伝説の足立区である。ビートたけしと西新井大師。気まぐれに「足立区の名所ってどこがあるんだろう、観光はどこにいくものなのだろう」と調べたら、一位が西新井大師で二位がアリオ西新井というショッピングモール的なところで、そういう場所が二位になる、東京の区、と震えたのは春のことだったか。「まあ、行くこともあるまい」と思っていたらまさか選挙漫遊で来ることになるとは。Y君とは上野で別れて北千住へ到着。小池百合子の演説。ものすごい警備だった。ぼくも持ち物検査などをされる。他陣営のチラシなどが入っていて「こいつ、敵陣のスパイか」というような顔を警備担当にされながらもニコニコしてやりすごす。
相当の人の集まりだった。へんな陸橋の上だったし、観客と小池百合子の間にフェンスがあって、フェンスから小池百合子までのバッファがかなり広くとられているので結構真空地帯はあって。うーん、どうなんだろう動員数的には。ほかの陣営と比べて多いのかどうかはわからない。
演説を聴きに来ている人たちは、特に女性が小池百合子のことを「ゆりちゃん」と呼んで親しみを持っている様子だった。高齢のご婦人方も安倍晋三銃撃事件やつばさの党のことは知っているらしく「怖いわね」「厳重だけれど仕方ないわね」というような話をしていた。
SNSには居ない人たちが見に来ている感じだった。SNSの世界の狭さみたいなものは感じる。そっちの世界は完全に蓮舫、石丸、ひまそらあかね、続いて内海、田母神、ちょっと離れて桜井誠、という感じに見える。やはり小池さんは強そうだ。聴衆全体における地元選挙民の割合はおそらく無茶苦茶高いんじゃないだろうか。
ほかの陣営はどこの演説でもついてくる支持者、みたいな方々で動員を増やしている感じがする。小池百合子の演説を何度も、という人は少ないと見た。
演説終わって北千住の駅で春菊天そばを食べて、なぜか上野で途中下車して、作業をして。多分酒でも飲みたい気分だったんだろうけれど疲れてしまって帰宅をしたのだった。
 


●6月30日 古畑任三郎シラス配信


 古畑任三郎を1話づつ詳細に語っていくシラス配信。今回は明石家さんま回。朝からパワーポイントの直しなどを行って夕方よりの配信。玉木青とともに。相当のさんま好きの玉木青であるから思い入れもひとしお、という感じがした。古畑語りは2時間ほどで収束してそれから雑談へ入る。長い雑談になった。選挙の話もたっぷりと。
21時ころから晩飯を食べにねぐらのすぐ近くのベトナム料理店へ。フォーを玉木青といっぱいづつ頼むが、たいていフォーなるものはボリューム不足をきたしている場合が多いので、二人で食べるためのスペアリブ焼きも頼む。
ずいぶん時間がかかって出てきたそれらはいかにも巨大。ベトナム人はみな190センチ105キロあるとしか思えないボリューム。そしてボリュームに比しての値段の安さ。ウーム。とうなりながら食べるとこれが大変においしい。フォーはあくまでつゆが清新であっさりしているのだが、フライドガーリックとネギがいやらしくないパンチを加えていてくれる。夢中になって食べられるタイプのペロリのタイプのフォー。そして驚いたのがスペアリブ。とにかくでかい。安い。そしてうまい。ベトナム料理というよりメキシコのカウボーイのごちそうって感じのボリューム感。脂がしたたり落ちるうまみの詰まったスペアリブ部分の肉に、ベトナムっぽい香辛料が擦り付けられてオーブンで焼かれているのだけれど、この香辛料がたまらなくおいしい。付け合わせの謎のピクルスが脂まみれの口中を清浄に戻す。いやさ大変なごちそうであった。また妻と来たい店が東に増えてしまった。
 

●7月1日 選挙漫遊


 この日は選挙漫遊はやめておこう、と思っていたのだけれど、結局出かけてしまう。一人で「投票に行こう」というプラカードを掲げて街角に立つ人が増えてきている感じがする。投票に行く人が増えると小池百合子は勝利に近づくだろうなあ、というのが漫遊している中での雑感。果たしてどうなるのか。
 新宿で食べたうどんがおいしかった。東京らしくないさっぱりしただしで…前日のフォーといい、練馬で濃いラーメンに忌避感をしめしたり、どうも僕はさっぱりしただしが好きなようだ。老いだ、老い。かー。ぼくだって天下一品のスープが至高であった時期だってあったのになあ!老いだあ。
さっぱりおだしのうどんにあおさのトッピング。本当におじいさんである。
各種作業を行い、夜20時30分より万世橋でしんどう伸夫候補の個人演説会に足を運ぶ。ぼくの中では今回の選挙漫遊のハイライトであった。90分じっくり話を聞く。都政の世界観がちゃんとしんどう候補の中で破綻なく成立していて、それが素晴らしかった。とつとつと語りだされるその東京像から、東京のある未来、を感じることができた。実現可能かどうかはわからないが、世界観として成立している、というのが丁寧だな、と思う。
そういう丁寧さをうっちゃってしまっている候補者も多い中でよいことだと思う。あと、当選する気がある、ってのも当たり前なんだけれど気持ちがいい。
「ポスター貼りに協力してほしい」という要請があり、3枚ほど引き受けた。選挙漫遊の心得として、あんまり一人の候補に肩入れするもんじゃない。ということが言われているけれど、まあ、ポスターをたくさん貼る力がない候補のポスターを貼るのは民主主義への肩入れともいえるしな、と思いながら帰宅をする。まあ仕方ないよね感動しちゃったから。
 


●7月2日 選挙漫遊


 もう多分最終日まで漫遊をやめられないだろう、という気持ちになってくる。朝から出かける。立川で安野候補の演説。しんどうさんのポスターを一枚持ってねぐらを出る。南武線をひたすら遡上して立川。案の定ポスターは貼られていなかったので、貼る。貼るとき結構注目されるもので、恥ずかしい思いをした。安野さんの演説が始まるまでしばらくあったので、近くで演説の開始を待っているとさっき貼ったポスターを人が眺めていたり「あ、新しいの増えてる」などとリアクションをしてくれていたりして、なんだか妙に嬉しい気持ちになる。僕が貼った為にあの人たちはあのポスターを見ることになったのだ。民主主義に貢献できたような気がする。
安野候補はITと技術で弱者を救う、というような話だった。公共交通機関の減少と高齢化が進む多摩地区で、自動運転を許可する、という政策が僕は一番面白かった。
僕の周りは安野さんを評価しているんだけれど、僕はそんなに評価できなかった。政治は世界をよくするもの、という考え方に立てば安野さんは素晴らしい。でも政治は僕たちが対応できない危機や災厄に見舞われたときにあきらめて犠牲を払う際の責任の所在でもあるわけで。そうなると知性や能力を超えたところの信頼、というものが必要になってくる。前者は革新政治家の要件で、後者は保守政治家の要件ではいか。この二つのバランスって結構大事なんじゃないかと思っていて。安野さんは僕の中では革新が勝ちすぎている。人間的な魅力を感じる演説や表情ではなかった。しかし相当数のボランティアが集っているところを見ると、人間的な魅力もある人らしい。うーん、結局僕は人気者が苦手なのかもしれぬなあ。悲しいことだ。少ない数や、独りで戦っている人にどうしても魅力を感じてしまう。講談の協会にでも入るようになったら状況も変わっていくのだろうか。
そのあと一回ねぐらに戻って荷物の受け取りをして、再び出かける。中野で小林弘候補の演説を聴く。自らのうつ病体験を語る姿は他人とは思えない。うつ病経験者、結構多い気がするぞ今回の都知事選。演説は結構魅力的。看護や保育、教育の従事者の給料をアップする、なんてのは大いに首肯できる政策。なんだけれど聴衆はあんまりいなかった。おっちゃんが一人へろへろになりながら時折拍手を挟んでいた。
高田馬場へ移動して、小学校の体育館での演説会。海江田万里、福島瑞穂、山添卓、石川大我とそうそうたる面々による演説。やはり福島瑞穂は出色の面白さ。あの社民党にしかないイントネーションでしゃべられるだけで笑ってしまう。元秘書の石川大我現立件民主党議員との、党と党で袂はわかったけれども決して仲が悪くない感じも素敵だった。
 演説を聴き終わって新宿へ移動。ゴールデン街へまたも繰り出す。バーでは安野さんの話になる。思っているところは言えず。二軒目はひどく下品なバーにはいってしまって後悔。他人が女性をブスとかババアとかいうことにこんなに嫌な気持ちになるとは。フェミニストを満足させる結果になっている気がする。まあしかし勝手にこうなったわけだから、またブスやババアで笑ったり、自ら発していくようになるかもしれぬ。自分というものがよくわからぬ。終電で帰宅をする。
 

●7月3日 漫遊漫遊


 よそうと思っていたのに、街頭演説の情報をTwitterで見てしまうと自然と体が駅に向かう。正直体調もそんなによくない。気温は34度。新宿三丁目で三輪陽一候補が演説をするとの情報で新宿三丁目につく。少し早めについて喫茶で作業を行い、13時30分を待って新宿三丁目の交差点へ。しかし三輪候補がいない。新宿三丁目駅は出口が多い。いくつかの出口をぐるぐると回るが見つけることができない。おかしい、と思って三輪候補のSNSを見ると「14時からに変更します」と13時30分に投稿がある。く。と思う。時間は13時45分。喫茶に入るほどではない。しばらく炎天下の中待つ。14時が近づき、そろそろやってくるかな、と思い再び各出口のあたりをうろつく。しかしなかなか見つからない。もう一回三輪候補のSNSを見ると「15分から30分になります」と書いてある。これが「14時より演説を開始し15分間から30分間の間しゃべり続ける」なのか「14時15分から30分くらいに到着し、演説を始める」なのかがわからず、結句14時45分くらいまで三輪候補を探すが見つけることはかなわなかった。ヘロヘロである。
続いてアルタ前でさわしげみ候補の演説。脚立の上に立っているのだが、ものすごい体幹である。さすが自衛隊で二佐まで勤め上げたつわものである。和装で椎名林檎ばりにトラメガで自身の主張を語っていく。尊敬する割には毎日お見掛けして、なんだかお見掛けするたびにうれしい気持ちになるライターの畠山理仁さんがこの日もおられた。少し話をし、とある局の記者の方ともたくさんおしゃべりをする。記者の方によると僕がついに発見できなかった三輪候補は新宿五丁目にいたそうで、話を聞けたそうである。漫遊である。漫遊している俺は。
 それから池袋に移動して政見放送で着衣を脱いで話題になった内野候補の演説を聴く。これもやはり迷う。池袋駅、という告知だったのだが池袋駅も広いのだ。うろうろうろうろした末、内野候補のSNSにアップされた写真で場所を特定しなんとか到着、
やはり、というべきかカメラを構えた中年男性が何人かいて「どこにでもあらわれるではないか」と驚く。内野候補の隣になっている男性がマイクを握ってよくしゃべる。「一肌脱いで」「かわいいを武器に」などとなんだか昭和の残滓みたいなことを語る。まだ若い男性なのにね。選挙というものは人のマインドを昭和に逆行させる何かがあるのかもしれぬ。なんだかへとへとになってしまったけれども帰宅する。
 


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