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【税金Q&A】債務の確定した未払費用の計上

<質問>決算期末までに支払っていない費用も、当期の損益に含めることはできますか?


<答え>

 期末時点で未払いであっても、「債務の確定」している費用は、税務上、損金に算入されます。

(注)損金算入・・・会計で費用損失として経理した項目につき税務も認める(文句を言わない)こと。反対に、会計で費用損失として経理した項目を、税務では認めないことを損金不算入といいます。


◆ 債務の確定とは?

 債務の確定とは、期末日までに、
(1)債務が成立していること(← 相手がいること)
(2)具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
 (← 期末までに役務(サービス)の提供を受けていること)
(3)その金額を合理的に算定できること
 (← 請求書などで金額がハッキリわかること)
という3つの条件を満たすことをいいます。

 債務の確定した費用に限り損金算入を認めることを「債務確定基準」といいます。
 たとえば、業者さんに機械装置の修理を依頼した場合において、当期末までに修理が完了しており、請求書等で修理費を合理的に算定できるならば、代金が未払いであっても当期の損金に算入できます。

 また、決算月の会社負担分の社会保険料についても損金算入できます。
 社会保険料は月単位での徴収であり、前月分の給与に対する社会保険料のうち、従業員負担分を当月給料から徴収します。そして当月末に、会社負担分の社会保険料との合計額を銀行口座からの引き落としにより納付します。
 このうち会社負担分が法定福利費として費用処理されます。
 決算月の給与に対する社会保険料は期末日までに引き落とされませんが、債務が確定していますので未払計上により損金算入されます。

 このほか、従業員に対する給料手当を日割り計上するときの「未払給料」についても債務が確定しているため損金算入されます。
 たとえば、給与の計算期間を前月21日から当月20日までとし、当月25日に支払っている会社では、決算月について、21日から月末までの日割り計算分の未払給料を計上できます。
 
 未払給料を計上するためには、まず、給与規程で給与の計算期間と支払日の条項を確認しておきます。
 残業手当は基本給と異なる計算期間で締め切っている場合も多いので注意です。給与規程において、当月分の残業手当を翌月に支払うという定めであれば、決算月の残業手当は、その全額が未払計上されます。
 なお、給料手当等の未払計上はお金が流出しない費用を計上することで、初回だけ節税になりますが、翌期からは洗い替えとなります。

 なお、未払計上できるのは従業員に対する給料のみであり、役員報酬については日割り計上額を損金に算入することはできません。

 決算では、債務の確定している未払費用をもれなく計上しましょう!

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