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【税金Q&A】サラリーマンに対する「みなし必要経費」

<質問>サラリーマンの必要経費はどのように計算するのでしょうか?


<答え>

 サラリーマン(給与所得者)は、みなし必要経費として「給与所得控除」が認められています。


◆ 収入と所得と課税所得

 所得税では、収入、所得、課税所得の3つの言葉を区別してください。
 「収入」は稼ぎ、「所得」は儲け、課税されるのは「課税所得」です。  
 収入金額から「必要経費」を差し引くことで「所得」(儲け)を計算し、その「所得」から「所得控除」(生活面での必要経費)を差し引くことで、課税対象である「課税所得」が計算されます。

 必要経費とは商品仕入、地代家賃などのビジネス上の経費をいいます。
 所得控除は生活面での必要経費といえるもので、人的控除、保険料控除、
医療費控除などがあります。

◆ 給与所得者の「みなし必要経費」

 給与所得者も給与収入を得るために、仕事着を用意したり、勉強のために本を買ったり、文房具を揃えたり・・・と、いろいろ経費が掛かりますね。
 でも、全国の給与所得者が、背広や書籍代、ボールペン代などの領収書を添えて確定申告書を提出したら大変なことになります。

 そこで給与所得者に対しては「みなし必要経費」としての給与所得控除額が適用されます。給与所得控除額は、収入に応じて金額が決められており、個人の事情は問いません。
 ただ、実際に費やしたかどうかに関わらず収入から控除されます。お金が出て行かない経費を認めてくれるという意味での税制優遇です。

◆ どれくらい認めてくれる? 

 給与所得控除は最低保障額55万円からスタートして、基本的に、給与収入が増えるに従って控除額も増えるしくみです。
 
 たとえば、年収500万円で144万円(=500万円×20%+44万円)、年収800万円ならば190万円(=800万円×10%+110万円)といった具合です。
 ただし給与収入が850万円を超えると、給与所得控除額は195万円で頭打ちとなり、それ以上は増えません。

サラリーマンに対するみなし必要経費「給与所得控除額」


 

 いかがでしょうか? 意外と大きい金額だな、という感じですか。いや実際には、もっと経費が掛かっていますよ、という感じでしょうか。

 なお、給与収入660万円未満である場合には、上記の速算表を使用せず、「給与等の金額の表」(給与収入4,000円刻みで収入に対する給与所得控除額を細かく設定した表)を使用して給与所得控除額を計算します。確定申告、年末調整または給与計算における機械計算では、給与等の金額の表はシステムに組み込まれています。


◆ 子育て世帯等への上乗せ(最高15万円)

 上記のように給与収入が850万円を超えると給与所得控除額は上限195万円が適用され、これ以上は増えません。
 ただし、給与収入が850万円を超える人が、子育て・介護世帯等である場合には、税負担軽減措置として「所得金額調整控除(子ども等)」が適用されることとなっています。

 具体的には、給与収入が850万円を超える人が、
1.本人が特別障害者である場合
2.同一生計内に23歳未満の扶養親族を有する場合
3.特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する場合
に「所得金額調整控除(子ども等)」が適用されます。

 これらの人については、給与収入(1,000万円を超える場合は1,000万円を限度とする)から850万円を控除した金額の10%相当額(最高15万円)を給与所得金額から控除します。
 たとえば、給与収入が900万円であれば、(900万円-850万円)×10%=5万円、給与収入が1,200万円であれば、(上限1,000万円-850万円)×10%=15万円が給与所得控除に上乗せして控除されます。

 会社勤めの方は年末調整で適用されるため、所定の事項を記載した「所得金額調整控除申告書」を会社に提出する必要があります。

 共働き世帯で、夫婦それぞれの給与収入が850万円を超えており、かつ、
年齢23歳未満または特別障害者である扶養親族を有するときは、夫婦のいずれもが「所得金額調整控除」の適用を受けられます。

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