エルピス(希望)が残れば、大丈夫♪
「エルピス-希望あるいは災い」は見応えあるドラマでしたね。
エルピスとは「パンドラの箱」に、最後に一つだけ残ったもの。
上記の絵画は、フランスのルネサンス期に画家ジャン・クーザンが描いた「エバ・プリマ・パンドラ」です。エバ・プリマ・マドンナとは、「かつてパンドラだったイブ」。エバ(イブ)は旧約聖書における最初の女性。
神から決して食べるなと言われた〝善悪を知る禁断の木の実”を食べて楽園を追放される原因となったのがイブ。そして、開けてはならないと言われた箱(壺)を開けて人間界にあらゆる厄災をもたらした原因がパンドラ。
厄災・苦難の元がすべて女性というのはどうなんでしょう 💦
さて、そのパンドラと、最後に残ったエルピスとは・・・。
最高神ゼウスは思い上がった人間に厄災を与えようと考えます。そして、ペパイストスに、あらゆる(パン)魅力を与えられた(ドラ)人間の女性である「パンドラ」を造らせます。
ペパイストスは、美と愛欲の女神ヴィーナス(アフロディーテ)の夫で、何でも器用に作ることができる鍛冶の神。
パンドラのあらゆる魅力には輝かしい美貌と家事をこなす能力のほかに、恥知らずのずる賢さ、盗人根性まで・・・、すべてが含まれていました。
そしてゼウスは「決して開けてはならない」という箱(壺)を持たせて、プロメテウスの弟であるエピメテウスの元へ彼女を送り込む!
そもそも人間に「火」を与えたプロメテウスとゼウスは因縁の間柄です。
「ゼウスからの贈り物は絶対に受け取るな」という兄からの忠告も忘れて、美しいパンドラにのぼせ上がったエピメテウスは彼女と結婚します。
プロ(先に)メテウス(考える人)である賢いプロメテウスに対して、エピメテウスは、エピ(後で)メテウス(考える人)というタイプですから。
やがてパンドラは開けてはならない箱を開けてしまう。でもねぇ、開けるなと言われれば開けてしまう、食べるなと言われれば食べたくなる、振り返るなと言われれば振り返るのが普通でしょ。
箱を開けた途端に、病気、老い、災害、争い、飢え、貧困、憎しみ、嫉妬など、あらゆる人間界の災厄、苦難が飛び出します。
あわててパンドラが閉めたとき、箱には「エルピス」が一つだけ残った。
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスが描いた「パンドラ」は、まさに
彼女が箱を開けたところで、怪しげなものが飛び出しています。ウォーターハウスは19世紀のイギリスの画家で神話画などがとても美しい ♪
古典ギリシャ語のエルピスとは良いことの予兆としての「希望」であり、
いかなる苦難が襲っても最後は救われる神からの贈り物を意味します。
しかし反対に、決断力なくグズグズしたため最後まで残っただけであり、悪いことの予兆であると解釈されることもあります。
果たして「エルピス」は希望なのでしょうか、災いなのでしょうか?
最後にエルピス(希望)が残れば苦難も乗り越えられるでしょうか。
ギリシャ神話の神々は、人間に「謎かけ」ばかりするものです。
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