マガジンのカバー画像

「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

42
「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
運営しているクリエイター

#固定費

第5章 採算管理と損益分岐点分析

3.「限界利益」が固定費より大きいか 採算計算では費用を色分け  損益計算書では、10個作った「いちご大福」のうち8個売れたら160円、4個売れたら80円、1個しか売れなくても20円儲かるという話でしたね。  これでは経営の舵取りができないので、本当の儲けが知りたい!  そのためには、採算管理の考え方、いわゆる「直接原価計算」により、「いちご大福屋🍓」の本当の儲けを計算してみましょう。  採算計算のためには、まず原価の中身を整理することが必要です。  先に見たとおり、「

第5章 採算管理と損益分岐点分析

4.「いちご大福」を何個売れば採算がとれるか ? 1個当たりの「限界利益」を把握しよう  「いちご大福」を何個売れば、「いちご大福屋🍓」さんの採算がとれるか計算してみましょう。  ふたたび、「いちご大福」の原価の中身を整理します。  苺や餡などの材料費は、売れる個数に比例して、売れれば売れるほど増える変動費です。  これらの変動費は、1個当たりで考える必要があります。  「いちご大福」の変動費は、1個当たり30円です。  一方、職人さんの給料(固定給)300円と、電

第5章 採算管理と損益分岐点分析

5.「損益分岐点」をおさえよう 損益分岐点では固定費と限界利益が同額  「売上高-総費用=0円」となり、利益も赤字も出ない地点の売上高を「損益分岐点」といいます。  損益分岐点売上高は、売上高と総費用が同額であり利益がゼロになる地点の売上高です。言い換えれば、限界利益で固定費をカバーし切れなかった、つまり、限界利益と固定費が同額になる地点の売上高といえます。  限界利益こそが固定費を回収するパワーの源ですが、損益分岐点売上高では固定費を上回る限界利益を稼ぎ出せなかった

第5章 採算管理と損益分岐点分析

6.「損益分岐点図表」が表わす企業体質  3つの線で描く「損益分岐点図表」  前回は、限界利益と固定費の2本の線で描く損益分岐点図表を見ました。続いて、変動費と固定費そして売上高の3つの線で描いてみましょう。  今回はヨコ軸に売上高、タテ軸に費用と利益の合計額の目盛りを付けて、正方形にて損益分岐点図表を描きます。   損益計算の基本算式は「売上高-費用=利益」でしたね。ということは、「売上高=費用+利益」であり、売上高は費用と利益の合計と同額である、つまり、ヨコ軸(売

第5章 採算管理と損益分岐点分析

7.儲かる商売を実践するための3原則 儲かる商売を実践するための3原則  損益分岐点図表には、売上高ライン、総費用ライン(固定費も含んだ変動費の右上がりの傾き)、固定費ラインの3本の線がありました。  この図表を基に考えれば、もっと儲かる商売を実践するためには、 ①固定費ラインを下げる → 固定費の額を節約する ②販売単価を上げる → 売上高ラインを右上にトントンと上がっていく ③変動費率を下げる → 総費用ラインの傾きを下げる という3つの方策があることが分かりま