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「決算書」の読み方と「経営分析」のポイント

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「5つの箱」で理解する! 貸借対照表、損益計算書の読み方とキャッシュフロー経営の実践、そして採算管理の基本までをマスター。生産性の高い企業であり続けるために大切なこと、経営分析の…
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2022年8月の記事一覧

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

1.「決算書」と「計算書類」と「財務諸表」 会社経営と「決算書」  会社とは、営利(=儲けること)を目的として作られた社団(=人の集まり)です。もちろん、単に儲けることだけを目的とするのではなく、社会に貢献する仕事をとおして「付加価値」の提供が求められます。  設立手続きを行うことにより法人格が与えられた後は、基本的に、会社は「永遠の命」を持った継続企業体(Going concern)として、終わりのない経営活動を続けていきます。  景気の波に揉まれながらも、社会貢献を

第1章 決算書を読みこなすためのコツ   

5.「貸借対照表」の基本的なしくみ 「貸借対照表」で財産状況を報告する日とは?  「貸借対照表」は「資産」「負債」「純資産」の3つの項目で構成される会社の財産表です。  一定の日における「財政状態」を表わす書類です。  貸借対照表での一定の日とは、基本的には、事業年度の末日である決算日をいいます。  ただし、四半期決算や中間決算など事業年度の途中において貸借対照表を作成する場合は、その計算期間の末日における財政状態を表わします。このように、財産状況を集計して報告する日を「

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6.「株主資本等変動計算書」は純資産の増減明細書 「株主資本等変動計算書」は貸借対照表のチビ  「株主資本等変動計算書」とは、貸借対照表の「純資産の部」の変動明細書です。純資産の当期首残高および当期末残高、そして当期中の変動額を報告する計算書類です。  つまり株主資本等変動計算書は、前期末と当期末の貸借対照表の純資産をつなぐ書類です。  株主資本等変動計算書に記載される純資産合計の当期首残高は、貸借対照表の純資産の前期末合計額と同額です。純資産合計の当期末残高は、貸借対照

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

7.「損益計算書」の基本的なしくみ 損益計算書の役割  損益計算書は、1事業年度中の利益を報告する経営成績表です。  損益計算書の利益(経営成果)は、稼ぎ方(収益)から、収益を得るために要した工夫や犠牲のコスト(費用)を差し引くことで計算します。  損益計算書の収益および費用は「発生主義」の原則により、それらの事実の発生に基づき、その発生した期間の計算に含めます。企業会計は、現金の出入りで記録する現金主義ではなく発生主義を原則としているのです。  そのため売上代金の回

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

  8.投資家は「注記表」にも注目しよう 「注記」すべき項目は21個!  会社法では「注記表」を計算書類として位置づけており、以下の21個の注記すべき項目を定めています。  え~、21個も? という感じですね。  しかし投資家にとって有益な情報もあります。概要を見ておきましょう。  会社法は、「大会社」であるか、「株式譲渡制限会社」または「公開会社」であるか、「会計監査人」の設置の有無によって、注記すべき内容に差を付けています。  会社法での大会社とは、「最終事業年

第1章 決算書を読みこなすためのコツ

9.「キャッシュフロー計算書」ではお金を色分け キャッシュフローとは「キャッシュ」の収支  「キャッシュフロー計算書」とは、貸借対照表と損益計算書に続く第三の財務諸表です。金融商品取引法の開示規制を受ける上場会社などに作成が義務づけられています。  中小企業には、キャッシュフロー計算書の作成義務はありません。  キャッシュフロー(Cash Flow)とは、キャッシュ(資金)の流れ(Flow)、つまり、資金収支を意味します。  キャッシュフロー計算書では、1事業年度中のキ