キュウ「トルマキハトオ」

僕がキュウを知ったのは2020年のM-1グランプリだった。準決勝進出者の中で唯一知らないコンビだった。準決勝進出者が発表されてキュウの名前を知ってからすぐにM-1グランプリ公式YouTubeの3回戦の動画を見た。

その時のネタは確か色のネタだった気がする。2年も前に見たものだからあまり覚えていないけど…

その時はあまりピンと来なかった。なにやら不思議なまで話している二人組。その時の映像からはウケているようにも感じられなかった。

そして、M-1グランプリ2020の敗者復活戦。キュウのネタを見たときに驚いた。なぜか食いついて見てしまう、彼らの言葉を聞き逃さないようにじっくりと耳を傾ける感覚。
あのヨーグルトのネタで僕はキュウを好きになった。

その日から僕はキュウのネタをYouTubeで見漁った。公式YouTubeにあるネタは何周も見た。声を出して笑ってしまうようなバカみたいなネタも感心してしまうようなネタもあり多種多様なネタを持っているのが好きだ。

M-1グランプリ2022ではついに決勝に進出。キュウのスタイル的に国民投票システムの敗者復活戦での勝ち上がりは厳しいと思っていたからストレートでの決勝進出はとても嬉しかった。

ただ、結果は9位。キュウが9番目に出て9位という数奇な運命は面白いけれど、本人たちはもちろんもっと高いところを目指していたのだろう。ネタ終わり、審査員から「もっと面白いネタがある」と言われたときに静かに首を振るぴろさんを見て感動した。真摯に自分たちの「面白い」を追求して自信を持っているキュウをさらに好きになった。

キュウには声を出して笑ってしまうようなバカみたいなネタもあれば、感心するネタもある。2022のM-1決勝で披露したネタは後者だった。たしかに面白かったが、M-1で勝つには難しそうだとも感じた。

加えて、キュウの世界観があまり伝わっていない気がした。キュウが大好きな僕はそれが少し悲しかった。

僕がキュウのネタを好きな理由として、世界観がある。もちろんその独特の世界観が好きだが、それだけではない。その世界観を壊す存在がいないのだ。ぴろさんが不思議なことを言ったと思えば、清水さんはツッコまず会話を続ける。そして不思議な会話が続いたと思ったら不思議なツッコミを入れる。現実にいる正統派のツッコミではなく、変な世界の住人がツッコミをしている。つまり外界からのツッコミが存在しない。それがキュウの独特な世界観を面白くしていると僕は思う。

ここまで読んで気になった人はぜひキュウのネタを見て欲しい。

桃太郎のネタは、キュウのネタの中でも分かりやすくて面白い。
干支のネタは、長尺漫才の最高傑作の一つだと思う。どちらのネタも「何してんだこれ」って思うけど、2人は一切それに触れず会話を続ける。僕の考える外界からのツッコミが存在しないとはそういうことだ。

そんなキュウの第6回単独ライブ「トルマキハトオ」がAmazon primeで配信されているのを知って鑑賞した。

冒頭の不可解な漫才を終え、OP。和風な雰囲気に引き込まれる。

怖い話や、徳川15代将軍など耳触りの良いネタを披露。中でも「怒りやすい」のネタは僕の好きなネタで声を出して笑ってしまった。

かっこいい大人とは何かを考える1時間の不思議な会話劇。キュウの作った世界観の中で2人の考えることを読み取りながら見るお笑いライブはキュウにしか作れないだろう。ネタを交え2人が行き着いたかっこいい大人とは何か。それはぜひ「トルマキハトオ」を見て確認して欲しい。

一体トルマキハトオとは何なのか。

以上、僕の大好きなキュウと彼らの単独ライブ「トルマキハトオ」の話でした。

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