見出し画像

⑫卒業~新しい生活へ

病気とわかった途端に何もできなくなった。
身体は鉛のように重く、頭には霧がかかっている。
そんなときにある一筋の希望の光が射し込んだ。

大学を卒業するときが近づいてきた。相変わらず卒論は書けていなかったが、国試の受験は無事に申し込むことができた。諦めたこともある。教員免許だ。この年栄養教諭という教員免許が新制され、私はこれを取得するための授業をとっていたのだが、1単位だけ取るのをやめた。これは仕方なかったと思っている。まず目指すべきは卒業であり、管理栄養士の免許取得だからだ。

この時期に私は今後の人生に大きく影響を与える人に出会った。大学の学生相談センターのカウンセラーであるM先生だ。自分のことが全くわからず、また自分の気持ちや考えを話すことが苦手だったので、保健室のN先生のすすめでこの先生のカウンセリングを受けることになった。

正月があけて数日がたった日、突然K先生の研究室に呼び出された。K先生は卒論のための参考文献や資料などの全てを用意し、待ってくれていた。私は先生の指示通りに卒論を仕上げ、提出した。

そして3月。あっという間に卒業式の日がやってきて、私は無事に大学を卒業することができた。その3日後が国試だった。前日から高熱を出していた私は、病院で点滴をして解熱剤でなんとか熱を下げて、国試に向かった。コンディションは良くなかったが、なんとか最後まで受けることができた。

卒業後の進路は未定だった。とても就活ができる状況ではなかったからだ。大学という居場所がなくなり、家に居なければならなくなるのが苦痛だった。そんな時、またK先生に呼び出された。K先生は「私駅前にセカンドハウスを借りようと思っているの。だからたまひよちゃんは家を出て、そこの管理人をしながら暮らしたら?」と言ってくれたのだ。私は驚きながらもK先生に甘えることにした。

そして桜が咲く4月。私はK先生の借りてくれたアパートで、一人暮らしをスタートさせたのだった。

サポートなしでも生きていけるので大丈夫です。もしサポートしていただけるなら、自分へのご褒美として、美味しいものを飲んだり食べたりします(人´3`*)~♪