ワイン入門の思い出 ⑦ピノ・ノワールとの出会い

私が最初に遭遇したピノ・ノワールは、カリフォルニアでした。それも、ピノ・ノワールを飲んでみようと狙って飲んだわけではなく、ワゴンセールでエチケットが印象的なボトルを買ってみたらピノ・ノワールだった、という具合でした。

この時はボルドー赤を中心に飲んでおり、赤ワインはだいたいこんな感じかと思っていたところでしたが、初めて飲んだピノ・ノワールの味わいは、ボルドーとは全く異なる方向性で、とても衝撃的でした。

トリア・ピノ・ノワール・カーネロス

私が初めて飲んだピノ・ノワールです。当時、ワゴンセールで700円でした(よりどり3本で2千円、1本あたり700円)。あまり有名ではない生産者ですが、印象的なエチケットで、今でも鮮明に覚えています。Amazon になかったのでボトルの画像を直接貼れないのですが、wine-searcher.com に画像がありました。検索しても最近の情報が得られないので、ワイナリー自体がもう存在しないのかもしれません。

グラスに注いですぐに、これまで飲んできた赤ワインとは違う!と感じたことを覚えています。カベルネやメルローと比較して、色がとても淡い。そして、イチゴやプラムの甘い香りが立ち込めてきます。味わいの細かいところは覚えていないですが、果実味全開の濃密なピノ・ノワールだったと思います。

最初にこれを飲んだ時、このようなタイプのワインがあることに驚いたのと同時に、これは少し苦手かも...と思いました。これまで飲んできた赤ワインと比較して、酸味をより強く感じることが、苦手と感じた原因でしょう。果実味として感じられるプラムも、そもそもあまり好きではありませんでした。

こうして、ピノ・ノワール初体験を終えたのですが、その後もこのワインについてはずっと記憶に残り続けました。それは、最初のピノ・ノワールだったから、というだけでなく、「ワゴンセールで安く買ったけれど、実は結構いいワインだったのでは?」という疑念が後から湧いてきたからです。好みの問題はさておき、濃密な味わいで品質は高かったような気がします。700円はないんじゃないか?と、ずっと気になっているうちに、忘れられない存在になったということです。

私は今でも、間違えてワゴンセールに紛れ込んだボトルではないかと思っています。

カレラ・セントラルコースト・ピノ・ノワール

入門時に飲んだピノ・ノワールで、特に印象に残っているものをもう一本挙げるとすると、カレラが真っ先に思い浮かびます。

この時期は、漫画「ソムリエ」をワイン選びの参考にしていました。その中の「ブラインド・テスト」という話で、主人公がロマネ・コンティと間違えそうになったのがカレラ・ジェンセンでした。このセントラルコーストは、カレラのスタンダード・キュヴェです。

初めて飲んだピノ・ノワールの印象はあまりよくありませんでしたが、このカレラについては、とても美味しいと思ったことを覚えています。最初こそ完全に想定外の味わいで不意打ちを喰らいましたが、そのおかげでこの品種に対する心構えができていたからでしょう。ピノ・ノワールの良さがなんとなく分かり始めた時期でした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?