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ドア閉めケーサツ24時

さむい。しぬ。

ときどき寒くて体の温度が上がらず、死にそうになる日がある。たぶん自律神経がおかしい。もしくは前世が変温動物だったんじゃないかと思う。だったら前世は亀がいい。それか冬眠するリス。できるだけ可愛いヤツでお願いします。

そんなわけでこちら北海道。まだまだ寒い。我が家は寒冷地特有の気密性の高い家だが、寒いものは寒い。特に玄関ドアの周りから冷気が漏れ出ているのを感じる。これは仕方のないこと。甘んじて受け入れよう。

しかし、玄関からリビングへ通じる室内のドア。そこを開けっ放しにすることは許さぬ。

子ども達よ。なぜ平気で開け放つ?
寒くないの?エルサ(※アナ雪)なの?子どもは風の子なの?玄関⇔リビング間のドアは、進撃の巨人(※少年漫画)で言うウォール・マリア(※巨人から人類を守るための一番外側の壁)みたいなもんだからな?大事だよ?そこんとこ分かっといて。まじで頼むから。な?

子ども達に何度言っても、注意しても、やはりドアは開け放たれる。そうなると

「ドア閉めろ💢」
「ド~~ア~~~~💢」

と、地獄の門から出てきた鬼のように低音で怒ることになる。門が開け放たれるたび、私は鬼としてのレベルを上げてゆく。妖怪『ドア閉めろババア』はこうして誕生するのだ。
え?コレ何のはなし?

***

遡ること数ヶ月前。
外が寒くなり始めた頃、ドア閉めろババアが出現した。子ども達は面倒くさそうにドアを閉める。その様子を見てドア婆は余計にイライラするという悪循環。

そんなとき、救世主が現れた。
夫である。

夫はドアを開けっ放しにしていた末っ子(小1)に向かって言った。

「今日から君をドア閉めケーサツに任命する。」

ど、ドア閉めケーサツ……だと?!


なんと夫は、謎のケーサツ署長だったのだ(※ふつうの会社員です)。娘&息子&私は「なんだ?何が始まるんだ?」と、行く末を見守る。

「どあしめけーさつ?」
「そう。ドア閉めケーサツです。ドアを開けっ放しの人をタイホするのが仕事です。」
「タイホするの?」
「タイホしたら、おしりペンペンの刑にしてください。わかりましたか?」

末っ子はワクワクキラキラして顔で「はい!わかりました!!」と言った。

いやいや。そんなんでドアが閉められるようになったら苦労しねーぜ?署長さんよぉ。
と思ったが、半信半疑の私をよそにドア閉めケーサツはきちんと働いてくれた。

「あなたをタイホします!」

と言われた者は、ケーサツにおしりを差し出さねばならない。これがなんだか面白い。たとえ署長であろうと問答無用でタイホされる。(私もされました)

ちなみに、市民である私が

「おまわりさん、アイツです!」
「ケーサツに通報しますよ?」

と言えば、あら不思議。子どもが急いでドアを閉めてくれるようになった。
何なら「すみません私がやりました。タイホして下さい!」と自首するヤツまで現れた。

……なんそれ!!


それで良いのか!
私の目からウロコがポロンポローンと落ちた瞬間であった。なんと巧みなアイディア!考えたヤツ天才か!ナイスぅ!

おかげさまで、今年度の冬はドア閉めろババアになる機会がほとんど無くてラクできました。ドア閉めケーサツさん、取り締まりありがとう。署長さん、ご指導ありがとうございました。来年度もぜひよろしくお願いします。

ものは言いようだなぁ、と改めて思ったのだった。これでいいのだ。

今までいただいたサポートを利用して水彩色鉛筆を購入させていただきました☺️優しいお心遣い、ありがとうございました🙏✨