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メリー・モナークin大原田よ 永遠なれ

私の心の師匠が書いた小説を読みました。
こちらです↓

とてもよかった。
作者はとき子さん。

とき子さんのお人柄は、note上にたくさん投稿されているエッセイからにじみ出ています。

今回とき子さんは、ご自身も経験者であり、大好きだという『フラダンス』をテーマに小説を書かれました。

あえて古参ぶらせていただきますと、これはとき子さんらしさ全開……というか、この小説そのものがとき子さんだな、と感じました。
とき子さんの人生が反映されているような作品という表現がしっくりくるでしょうか。とにかく小説の中に出てくる言い回しが、いつものエッセイのそれで。

……とき子ぶし 炸裂やんけ!!


と膝を叩きました。ぽぽぽーん!

テンポの良い文章が読みやすくて、笑いあり涙あり、ドタバタあり!コメディだけど感動する。そして読後は「自分のまわりの人たちを大事にしよう」と思わせてくれる。

今回の創作大賞に『ハートフル(青春)小説部門』が無かったのが、残念過ぎるほどに残念です!
とき子さんの書かれた『メリー・モナークin大原田』は、なんと恋愛小説部門でのエントリー!!
果たしてどんなお話なのでしょうか。

母さんが体調を崩し、まさかの余命宣告が下された。
それまで何もかもを母さん任せにしていた父さんが、バラバラに住む家族を集合させて言う。
「お前たちに頼みがある。一緒にフラッシュ・モブをやってくれ」
なんでフラッシュモブ!?
「いい? 私はこの舞台をメリー・モナークにする!」
しかも姉が目指すその踊りはフラダンス。はぁ!? 踊れねぇよ!
亭主関白一辺倒で、妻の夢を無視し続けた父と、母と同じように夢を諦めた姉、大原田家のムードメーカーの弟、それぞれが、母の残された時間と、自分の時間を見つめて踊る。
大原田家が周りを巻き込むファミリーラブコメ? 始動!

『メリー・モナークin大原田』あらすじより

これを読んで「余命宣告で何故にフラダンス?!」と思ったら、もうあなたはとき子さんの手の平の上✋

紹介したいポイントはたくさんあるのですが、今回は見どころを3つに絞って 個人的な感想とともにまとめていきたいと思います♪


🌺メリー・モナークin大原田 3つの見どころ🌺

①空手とカネフラの共通点

この小説の語り手の1人である、大原田家の長男・真咲(まさき)は、姉に下男扱いされてしまうような明るい末っ子(下っ端?)キャラ。この真咲が『空手バカ』なのですが、この設定を見て私は思いました。
 

……なぜ、空手なんだ??



と。

フラダンスと空手は真逆のもののように思えたからです。しかしこの空手こそが、物語の中で良い塩梅の役割を果たします。
日本ではフラダンスより空手のほうが馴染みがある人の方が多いのではないでしょうか?かくいう私もその1人です。
真咲が所属する大学の空手パフォーマンス サークル『舞空(ぶくう)』と、男性が踊るフラダンス『カネフラ』の共通点を示すことで、フラダンスがより身近に、想像しやすくなっているのです。このあたりは、

なるほどなァ~~!!

と唸りました。なんて良い設定なんだ!

というか、男性特有の肉体美、力強さ、コミカルさって……いいよね……この認識はきっと、世界共通よね……?

真咲の大学の友人である友也(ともなり)というキャラクターも出てくるのですが、彼がまたニクイ存在で

男も惚れそうなしなやかな肉体を持ち

寝癖のようなポサポサの短い髪と、ボーッとした顔付きで

リュックから拳より大きいおにぎりを出し

怒っているわけでも軽蔑してるわけでもない、ただ 真っ直ぐな眼差しで見つめる

【作中から引っ張ってきたトモナリの情報】

そんな男なのです。

え……ずるい。

このキャラ、反則じゃないですか?
最高のギャップを持ち合わせている上に、天然人たらしなんです。

もう友也しか勝たん。優勝ですッ!!



こうして私はまんまと友也推しになりました。とき子さん、友也を生み出してくれてありがとうございました。(なんか感想の方向性が間違ってる)
 

②花花コンビの栄光、葛藤、絶望、そして……

この小説のもう1人の語り手、大原田家のしっかり者の長女・花乃(はなの)と、幼い頃からの『フラシスター』である円花(まどか)は、同い年の女の子。彼女たちはパウスカートを揺らし、高校までずっと一緒に踊っていました。

でも、ある事がきっかけでそのバランスが崩れます。心がすっかり離れ離れになるのです。
このあたりの葛藤や絶望感は、読んでいて苦しかった。読んでいる私自身にも身に覚えがある感情だったからです。

自分の中でいつまでも消化できず、受け入れられなかった感情をそれぞれ持ち続けています。それは、大人になっても続いていて……。
苦しい。

花乃と円花、ふたりあわせて『花花コンビ』。この2人がどうなったかは、ぜひ作品を読んでみていほしい。私は泣きました。
ええ、まんまと泣かされましたよ!

③お父さんの愛とお母さんの愛

お父さんとお母さんの関係性は、個人的に最大のみどころ。
当たり前かもしれませんが、愛の表現方法は人それぞれ違います。いくら夫婦といっても、別々の人間。いつでもなんでも以心伝心・相思相愛というわけにはいきません。

そんな2人は作品中で結婚25年目の銀婚式を迎えます。長い長い年月を過ごして、諦めた想いもあった。それでもずっと一緒に過ごしてきた。

お父さんの踊りと、そのオチ(と言っていいのかしら?)がとても素敵でした。

誰か、第十二話だけでもいいから映像化して欲しい。できればとき子さん監修で。絶対おもしろくなるから。な?金なら出す。←全額は無理かもしれないが!!

……
涙が止まりませんでしたね。物語終盤(具体的に言うと第十一話あたりから)は全体的にホロリとくるので、涙もろい方はハンカチorティッシュのご用意をお願いします。

私の心に深く残るのは、お母さんのセリフ

「過去は全部、今に繋がるのね」


きっと、それが全て。



ぜひ、たくさんのかたに読んでもらいたい!そんな小説でした✨フラダンスを知らなくても安心して楽しめるし、知っている方はより感情移入できるのではないでしょうか。

ご挨拶がだいぶ遅くなってしまいましたが、とき子さん、4万字の旅おつかれさまでございました!!🙇おもしろかった~~♪

大団円を迎えたラスト。これからもきっと、それぞれの物語は続くのでしょうね。

ああ、メリーモナークin大原田よ 永遠なれ!

小さいお花たち

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