[佐賀国スポ・剣道競技観戦談]あなたが言うなら、まちがいない
9月28日(土)から9月30日(月)。
最寄駅から電車でふた駅のところで、国民スポーツ大会が開催された。
競技は、剣道。
3日間の日程、すべてに顔を出してきた。
会いたい人に、会いに行くためだ。
そうしたほうがいいと、なんとなく思ったのだ。
じつを言うと、小学校3年生から大学卒業までの14年間を、剣道に捧げた過去がある。
しかし、今はもう竹刀は握っていない。
理由を話しはじめると、まとまりなく長くなりそうだから割愛させてもらうことにする。
要は、心のわだかまりがどうしても処理しきれず、剣道から離れたのだ。
辞めてから、10年以上は経つ。
けじめとばかりに、頑なに距離を置いていた。
だから、全くもってらしくないと自覚はしつつも、今回ばかりはどうしてもその人に会いたくて、会場に通い詰めたのだった。
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会いたかった彼女は、大学時代の戦友だ。
かつての憧れであり、モチベーションだった。
未だ現役で剣を磨き、毎日を鍛錬にあてる精神力には感服する。
今回は、京都府の成年女子の代表として、出場していた。
そんな彼女と、思いがけずゆっくり語らいながら試合観戦をする時間ができた。
そのひとときは、楽しくもゆったりとしたもので、ひとことも聞き漏らさぬよう集中はするが、身がまえるような緊張感はない。
至福の時間に、ありがとうの気持ちが最高到達点を超えた。
お礼に、彼女の大好きなプロテインを贈りたいと心底思った。
幸せを噛みしめていると、横から彼女が言った。
あのな、体の力を抜いて試合ができたときが、1番調子がいいんよ。
ダメなときは、たいがい力んどってな。
だからタマキも、肩の力を抜いてやってみたらいいよ。
ほんとやけん!
うん。
あなたが言うなら、間違いないと思った。
勝負の結果が人生を左右する、厳しい環境に身を置く人が言うんだ。
よく聞く言葉でも、ほかの誰から聞くよりも重みがあった。
そして、わたしに向けられた彼女からのまっすぐな気持ちが、なにに効いたのか、ジーンとしみわたる。
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いいことも悪いことも含めた、過去がある。
それが、今につながり、未来を明るくしてくれるとき、心はあたたまり静かに動きだす。
そして、そのきっかけの多くは、今回のような人との関わりや時間なのだろう。
冒頭にもどる。
頑なにとか、そんな小さなプライドは捨てたほうがいい。
それで、人と関わる機会を棒に振るほうが、よっぽど悔やまれるだろう。
心のわだかまりだって、むやみに解消する必要も、ないのかもしれない。
久しぶりに、見ないふりをしていた気持ちと向き合えて、心が喜んでいるとわかる。
勇気を出して、会いに行ってよかった。
今の自分にあるものを目いっぱい活かし、社会の歯車になり、誰かの力になりたい。
そう思っている。
そのために、もう少し肩の力を抜いてみよう。
彼女との時間を思い返し、また柔らかい気持ちになる。
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