「アダージェット」で思い出すCM
その昔、マーラーのアダージェットがBGMの、
こんなイメージのCMがありました。
エトワール海渡の紳士服です。
覚えていらっしゃる方はいませんか?
陽が射さないヨーロッパ調の石造りの庭園で、男性が何かを探すように彷徨している設定でした。
かといって慌てたりする感じでもなく。男性はきちんとしたスーツを着ていたのですが、そのイメージにぴったりの画像が見つからないのがとても残念。
私の住んでいた地域では、日曜の午後「日曜洋画劇場」を放映していて、青春時代の娯楽が映画だった両親は、毎週部屋を暗くして、この番組で懐かしい洋画を観ていました。
子どもだった私は、大人の映画が大して面白いわけでもなく、部屋を出たり入ったりして観たり観なかったり。
でも、間に入るエトワール海渡のコマーシャルはとても印象に残っています。
今思い出す映画は、なぜかこの2つ。
「何がジェーンに起こったか」
よく内容を理解できていない当時でも、とにかく怖かった〜。
「黒衣の花嫁」
この原作者を母が好きで、私も子ども用に書かれた本を読んでいました。
ジャンヌ・モローがシーン毎に全てモノトーンの衣装で登場するのですが、その中の一着の太いサスペンダーのスカートを
「大人なのに吊りスカートがカッコいい」
と思ったことを覚えています。
1970年代の当時は高度経済成長期で、脱亜入欧! とばかりに鼻息を荒くしていた頃の日本。
CMだけでなく少女漫画も欧米人が主役の作品が多く、演出も洗練された豊かなインテリアとファッション。
でも、現実は豊かさがまだ身についていない昭和…
洋画と合間のCMで、洗練された外国(といっても欧米ね)への憧れを抱くのも当然のことです。
この曲が
マーラーの交響曲5番第四楽章
であることを知るのはもっと後のこと。
ヴィスコンティの
「ベニスに死す」
を観るのもさらに後のこと。
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