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元研究開発者の日々の情報:重症度が異なる一卵性双生児のCOVID-19症例(2020年12月27日号)

 イタリアIRCCS Fondazione Don Carlo GnocchiのDavide Lazzeroni氏らは、外見や個人的特徴から一卵性双生児と見なされた2人のCOVID-19患者の特徴について、症例報告をAnn Intern Med誌に発表しました。

 2人は同一住所に住んでおり、同じ自動車修理工場で修理工として働いていていて、同一人物から同じタイミングでSARS-CoV-2に感染したと推定されましたが、1人は軽症で、もう1人はICU入院を必要としました。

 COVID-19に関する情報は急速に蓄積されつつありますが、多くの患者が無症状または軽症で済むのに、なぜ一部の患者が重症化するのか、両者の違いは明らかになっています。

 著者らは遺伝的、環境的にも多くの要因が共通と考えられる一卵性双生児の症例が、このような疑問の考察に役立つと考え、症例報告を行いました。

 2020年3月9日、一卵性双生児と見なされる(遺伝的検査なし)60歳の男性2人に発熱と鼻づまりが起きました。

 その後に疲労感、息切れ、乾性咳嗽が現れて、発症から11日目に入院しました。入院時点で鼻咽頭ぬぐい液によるRT-PCR検査を行ったところ、SARS-CoV-2陽性だった。2人とも、基礎疾患の病歴はなく、心血管疾患の危険因子もなく、継続的な治療を受けていませんでした。

 接触者の追跡調査を行ったところ、修理工場を訪れた顧客がSARS-CoV-2に感染していて、2人は、感染予防策を取らないまま、その顧客と濃厚接触をしていたために感染したと推定されました。

 2人の男性患者の入院時の症状に差はなく、いずれも軽症の間質性肺炎と診断された。ただし、その病院へのCOVID-19患者の入院が急増していた時期の入院だったため、検査は同一ではありませんでした。

患者1の間質性肺炎は、肺エコーでB-linesが認められたことと、X線画像において両肺底部にすりガラス様陰影が見られたことにより診断されました。患

者2には肺CTスキャンが行われ、両側肺の25%を占める多巣性のスリガラス影が検出されていました。

 入院後2週間は、同じメンバーからなる医療チームが両者の治療に当たりました。酸素補充療法、アセトアミノフェン、ヒドロキシクロロキン、ダルナビル・コビシスタット(抗HIV薬)、予防的な用量のエノキサパリンが使用されました。

 入院時の症状と初期に適用された治療が同じだったにもかかわらず、2人の入院後の臨床経過は異なっていました。

患者1は順調に回復し、合併症もなく、11日目には退院しました。

 一方で、患者2はICUに移されていた。入院後も患者2の体温は高い状態が続き、白血球数の増加やCRP値の上昇が見られた。PaO2/FIO2比の低下に基づいて非侵襲的換気が開始され、3日間継続されたが酸素化は改善せず、やがて58まで低下したため、ICUに移して挿管し、人工呼吸を行いました。

その後、患者はICUで、嫌気性細菌感染による敗血性ショックを起こし、昇圧薬、抗菌薬、ステロイドの投与が行われました。

人工呼吸は4日間実施されました。患者2は、ICUを出てからさらに17日間入院を要しました。

合併症はなかったが、回復は遅延しました。最終的には、呼吸機能が完全に回復し、患者2も後遺症なしに退院することができました。

 これまで、COVID-19の重症化リスクが人によって異なる理由として、遺伝的な背景が挙げられることが多かった。

例えば、ACE2遺伝子とTMPRSS2遺伝子の多型や、ABO血液型に加えて、新たな遺伝子の関与も示唆されています。

しかし、今回の2人は一卵性双生児と見なされるため、遺伝的要因の影響は考えにくいです。

年齢や併存疾患などの条件にも違いはないですし、大気汚染のような環境要因が影響する可能性はあるが、2人の患者の環境曝露も同様でした。

 感染したウイルスが異なる変異を持っていた可能性については、実際に検討していませんが、2人が同一人物から同じタイミングで感染したと見られることから、感染したウイルス株も同じと考えられます。

排出されるウイルス量の違いが重症化に関係することが示唆されていますが、入院時点で2人から得た検体を対象とするPCR検査のCt値は、患者1が19で、患者2は21と、ほぼ同様でした。

 2人の患者が実際に一卵性双生児かどうか遺伝学検査はで同定されておらず、両者から排出されていたウイルスのゲノム検査も実施されていません。

また、感染者との濃厚接触した時点の2人の行動に違いがあり、体内に取り込んだウイルスの量が異なっていた可能性もあります。

 なお、この報告に寄せられたコメントでは、1人が既婚者で1人は独身だったことから、食生活に差があり、腸内細菌叢の違いが2人の臨床経過に影響を与えた可能性も考えられている。

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引用:

1.Simultaneous COVID-19 in Homozygous Twins」

2.概要はAnn Intern Med誌のウェブサイトで閲覧できる。

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