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『ビジネスの未来』山口周

山口さんと言えば、ビジネスにアートや哲学を持ってくる方、というイメージですが、やっぱり「両方の言葉づかい」という点で気になります。

縦軸と横軸に、問題の難易度(どれだけ資源投入しなきゃいけないか)と、問題の普遍性(市場の大きさ)をおくと、これまでのビジネスの領域は、問題の難易度(投資)が低くて、普遍性(市場)が大きい経済合理性限界曲線の内側にあったが、「いや、なんとかしなきゃ」という福祉的・人間的衝動(アニマルスピリット」でもって、この曲線を外側に押し出し、北欧型の社会民主的な社会に転換すべき時だと。

これまで、右肩上がりのリニアな成長を求めてきた時代を経て、それを否定するでもなく、ここで一旦、今の時代を「これまで頑張ったよね、もう山頂を目指すことは必要なく、緩やかで広大な高原にたどりついたのだから、ここからは高原をすみずみまで、水と緑で充していくことにシフトしよう」との「観方」の転換を促しています。

そこから語られるのは、かなりソーシャル、贈与、人間性なので、ファンドレイザー的にも馴染みやすい一冊です。

「山頂でなく、高原」「高原をすみずみまで満たす」と、ビジョンや観方を変えることを、ビジネスの立場から語られていることで、なんか気になる人だなぁという感じ。

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