強い口調で得した経験

そんなものないなと思う。
これまでの自分を振り返ると、おそらく中学生くらいまでは口調が強かった。高校生の頃もかな。自分を守るために、強くいようとしてたなと思う。そんな、弱かった自分が傷つけてしまった人がいたら本当に申し訳なく思う。
高校生あたりから、少しずつ「強い口調」って得しないなと気付き始めて今では「強い口調」とはかけ離れた人間になった気がする。

生徒から「先生ってなんでもっと強く言わないの?」と言われたことがある。ルール違反をしている生徒に対してだ。たとえば、ストーブの上に座ってるとか、タブレットに夢中になっていてしまうのが遅いとか、ロッカーが汚いとか、その程度のこと。

わたしにとって、「強く言って、その場だけいうことを聞く」というのは「教育」ではない。「あの先生はこわいから」とか「あの先生はうるさいから」とか、そんな理由で決まりを守っても何の意味がないなと思う。確かに、その場で守らせるには即効性があっていいのかもしれないけれど、長い目でみたら忖度する人間を育ててしまうだけだなと思う。

だから、時間がかかっても、強くいうことはしない。相手が分かるように伝えるし、相手の声も聞く。それをもどかしく感じる人もいるかもしれないけれど、相手へのリスペクトがあったら怒鳴るなんて、イチバンありえない方法だと思う。

でも、冒頭に書いた通り、強い口調で自分を守っている人もいると思う。きっと、自信がないんだなと思う。過去の自分がそうだから、寄り添って、気付かせて、その人が少しでもらくになれればいいなと思う。

きっとわたしはこれからも「こわい先生」にはなれない。時間がかかっても、関係作りを大事にして、一人一人の心に問いかけていけるような先生になりたい。

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