見出し画像

人はドラマチックがお好き|優等生よりも問題児が注目される理由

例えば、学校の先生は、優等生が優等生を維持することよりも、問題児が問題行動を少し改善したことの方を、褒め称えがちだと思います。
政治家は、成し遂げた偉業よりも、不正の方が取り上げられるため、政治家に良い印象を持つ人はあまり多くないと思います。

これはある種歪んだものの見方で、
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基とに世界を正しく見る習慣」(ハンス・ロスリング等著)を読んでいて、改めて考えたことです。

最近、データ分析なプログラミングの勉強を通じて、データを扱う機会が増えてきている中で、「データを正しく読み取ること」を勉強したいと思い、
この「FACTFULNESS」を手に取りました。(正確には、ポチりました。)

まだ100ページちょっとしか読んでいないのですが、既にだいぶ思うところあり、考えたことを記したいと思います。


見方を歪めるネガティブ本能

A.世界はどんどん良くなっている。
B.世界はどんどん悪くなっている。
C.世界は良くなっても、悪くなってもいない。

さて、どれが正しいでしょうか。

正解は"A"です。
しかし、ほとんどの国では”B”と回答する人が圧倒的に多いそうです。

「良くなっている」の定義が曖昧ですが、少なくとも世界では、極度の貧困者が減り、平均寿命は延び、平均所得もどんどん向上していっていることが、統計的に出ています。
(著者らが作成した以下ツールを見ると、そのことが簡単に確認できます。)

ニュースでは、世界の暗い話を取り上げやすいが、明るい話は取り上げにくい。
加えて、人は誰しも、物事のポジティブな面よりも、ネガティブな面に注目しやすい。
このようなネガティブ本能により、世界はどんどん悪くなっている、と考える人が多いのです。

ネガティブ本能を育む3要素

こうしたネガティブ本能を育む要素には、「あやふやな過去の記憶」「ジャーナリストや活動家による偏った報道」「『以前に比べたら良くなっている』と言いづらい空気」があるそう。

あやふやな過去の記憶

思い出は美化しがちです。
あの頃に戻りたい。あの頃は良かった。そんな話はいたるところでされているものです。

しかし、人間の記憶は時間の経過と共に知らず知らずに書き換えられることはよくあることで、そんなあやふやな記憶を基に過去を振り返るのは、正しい物事の見方とは言えません。

ジャーナリストや活動家による偏った報道

先に述べたように、人は明るいニュースより暗いニュースの方が注目します。
ジャーナリスや活動家は、人々に注目してもらう報道を好むため、必然、暗いニュースや報道が多くなります。

これらを目にした多くの人が、「世界は全然進歩していない」と、あまり深く考えずに感じてしまうことは、ごく自然なことです。

「以前に比べたら良くなっている」と言いづらい空気

明るいニュースや明るい話題を出すことが難しいのには、もう一つ大きな理由があります。

「世界は良くなっている」と聞くと、「課題なんて知らんぷりでいい」と言われているように感じてしまい、「無責任な言い草だ」と嫌な気分になったりするでしょう。

昨今SNSの普及により、芸能人なんかが少し軽々しい発信をして、無神経だ、などと炎上することも多いと思います。
こうした事例からも、楽観的な発信がしにくい風潮は強いと感じます。
(炎上してしまうことを擁護する意図はありません。)

ネガティブ報道が多いのはドラマチックだから

筆者は、ネガティブな話はドラマチックになりがち、と言います。
ドラマチックな話の方が、世間に広まり易いため、メディアや活動家の報道が多く、SNSでも拡散されやすい。

例えば、川で子どもが溺れる話はニュースでよく見かけても、川で子どもが溺れなかった話はほとんどニュースで見ない。

悪いニュースは広まり易い、ということを心得ておくことは、ネガティブ本能の抑制にとても重要です。

気づき・考えたこと

冒頭の先生の例や政治家の例のように、人はドラマチックな展開を好むというのは、実際あると思います。

優等生が優等生を維持することは本来素晴らしいことですが、ドラマチックとは言えず、あまり注目されないでしょう。
政治家が国を良くしようと働くことも素晴らしいことですが、不正を働いたとなった方が、ある種ドラマチックでしょう。

こうした人の習性があるからこそ、メディアは注目を集めるために話を盛ったり、事実を捻じ曲げたりして「ドラマチック」を作り出そうとする面もあると思います。

情報過多の時代、このように「作り出された」情報はきっと多くて、
そういう「作り出された」情報に踊らされて誤った判断を下す人が増えると、社会は思わぬ損害を被る気がする。

大事なのは、一人一人が物事の正しい見方を持ち、「ドラマチック」に踊らされないこと。
そういう小さな積み重ねが、真に評価すべきメディアや事業者の利益につながり、悪徳な業者を市場から排斥し、健全な社会につながっていく。
応援消費も同じ原理ですね。

自分が将来事業を立ち上げるとしたら、このような、社会の進歩に貢献する事業をやりたいなと妄想してます。。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?