20240315 覆い隠す
教室の整備をする学内のアルバイトで、今日は部屋の床をすべて白いシートで覆い、養生テープで留めるという作業をする日だった。部屋の角から順に、床がまったく見えなくなるまで隙間なくシートを覆いかぶせていった。シートの上にあがるときは足跡がついてしまわないようにビニールの保護袋を靴にかぶせた。部屋は一面真っ白で、人の輪郭が際立ち、目が眩みそうだった。
シートをぶわりと広げているとき、ケミカルな匂いを吸い込んで気づいた。その部屋にあるすべてのものは何かに覆われているのだ。運ばれてきた真新しい養生テープやシート、自分の足を覆う袋ですら半透明の袋に入っていた。自分の身体も皮膚で覆われている。そしていまわれわれは床をシートで覆っていた。
遠くに山が見える。山は樹木に覆われている。でもその下はさらに土で覆われている。すべてのものはどこまでも覆われているのかもしれない。
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