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【565/1096】母とのこと②

母とのことで
なんだか変だなと思い始めたのは
だいぶ大きくなってから

薄々感じていた
あんまり大事にされてない?
みたいなことの確信は
いつ頃だったろう

自分が親になったとき
ここまで健康に育ってきたのだから
十分大事にされてきたのだろう
そう思った
そう割り切ろう

母は事あるごとに
兄の話をした
兄の話ばかり というべきか
垂れ流しの同じような話を
うんうんと聞く自分
はじめはただのコミュニケーション
そう思っていたけど
わたしの相槌や意見は要らず
ただ喋りたいだけなのだ

わたしの話をしていても
するりと兄の話にすり替えられる様子を
夫はよく目にしていた

あれはひどいんじゃない?
目の前にいるのはあなたなのに

長男で褒められて育った彼には
聞き役であれ
役目があることで
安堵がある人の気持ちがわからない
どんな形にしろ
必要とされ役に立ちたかったのか
必要とされることで愛されてると
思いたかったのか
これ以上嫌われたくなかったのか

育ててもらった恩もある
愛されていないとは思っていない
ただ わたしの望む形ではなかった
そう 割り切って
自分にいい聞かせてきた
時折 話を聞くことが辛くなって
聞くフリをして聞いてなくても
母の話は終わらないし
気にもしてないようだ
うん
わたしは吐き出すための
ゴミ箱ではない
けれど 突き放すこともできない

母のところへ
自分から行くことは減った
とくに訪問しなくとも
あちらから来るものだから

母と距離を保つきっかけは
これまで何度か
母に見捨てられたこと
それからわたしは距離を保っている
もう傷つけられたくないから
今は近くに住まなければ良かったと
後悔している
そうすれば会うこともない

わたしは自分を肯定したいのに
母が現れるたびに
また自己卑下の自分を演じることが
苦しいのだ
もうあの頃のわたしはおらず
子離れしてくれないことに
苛立ちを覚える

子を喪って不憫だろうと
わたしの気持ちを想像して
共有できると思っている形が
すでに望んでないこと

この悲しみはあなたには
到底わからないもの
残念ながら共有できないもの 
同じ立場でさえわからないのだから

けれど 喪ったことのない人は
分かろうとするよりも先に
当人よりも先に
わかった気持ちになってしまうんだな

そして
そのわかった気持ちこそ
わたしがきみに抱いていた気持ちで
きみの望んでない形だったんじゃないか
そう思われて 残念でならず
苦しい

わかったつもりは罪だった
それがわかっただけ
まだましかもしれないけどね
もう遅いんだ

自己陶酔してるわけでなく
自分の罪を見つめなければ
この先に未来はない
こんなに悲しく苦しいことを
前向きにとらえるなんて
今のところ無理っぽい

いろんな人を傷つけて
自分のことも苦しめて
それでもなんとか日々は進む
まだ先は長い

いつもありがとう
残された者の日々