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きみの孤独 【154/1096】

きみの孤独を知る
きみはずっと孤独だったのだね
社会になじめず
仲の良い友だちもつづかず
悲しいことや嫌なことがあっても
誰か助け舟を出してくれる人もいなくて
つらくて苦しかったんだね

相談しても解決しない
救世主は現れない
どこへいってもはみ出す
自分の何がいけないのか
わからず調べて気を使い
いろんなことを変えてみて
それでもずっとなじめない孤独

なにかを携えたかった
自分をささえるもの
それは手に入らなかった
できなくなった
できなくて辛くて
でも理解者はいない
すこしの友人にも言えず
家族になんてもっと言えない

ひとりぼっちの自分を
知られたくなかったのだろうか

いいところはたくさんあった
わたしはそう思う
でも自分の所属する社会で
必要とされる機会がすくなくて
嫌なことしかなかった
というきみの言葉の
ほんとの意味に近づく
苦しかったよ の意味
孤独だったんだね
求めても手に入らず
求めても求めてもらない
自分を知ってもらえない
いてもいなくても同じような
そんな空間の闇

自分のことを知ってほしかったんだね
こんな人だったよ
こんなことできたよ
こんなこと知ってるよ
こういうこと好きだよ
そのことを話したり
すごいねって言われたり
ありがとうって思われたり
そういう心からの交流が
足りなかったんだね
みんなが普通にもってるものが
自分にはないと思って
それでなにもないって
言っていたのか

育てられないなら生むなと
きみに言われたことを思い出す
ちゃんと普通に
普通の人間に育てろよ
普通の装備を登載しておけって 
できないなら持たせろよ
ちゃんと装備を付けられる
人間にしろと
そういう意味合いだったのか

猫が支えだったのも
ほんとうだろう
誰にも頼れない
さみしい休日に
猫がいることで癒やされる
猫は社会と断絶していて
友だちもいない
家族だけ
だから仲間と呼んでいたのかな

いまのわたしに来ている
この理不尽な状況は
きみのそれを体感するために
きみの孤独の意味を
理解させるために
起きてるようにも思う
タイミングが悪すぎるし
タイミングが良すぎる
孤軍奮闘のようになっても
わたしには話せる人
同じ気持ちの人
やさしく交流してくれる人がいる
だから辛くてもまた
今日を生きていける

きみにはそれがなかった
なかったんだろう
わたしが思っているよりも
ひどく深い孤独を抱えて
いたのだと気づいた
新しい環境になるたび
期待と不安を胸にかかえ
そのたび落胆し
今回のことでもう諦めが
心が限界になってしまったんだね

同じ境遇であろう人に
声をかけたと聞いた
それも人にまわりに
わかってほしかったんだね
哀しい現実
きみの孤独のはじまりを
わたしは知っていたはずなのに
どうすることもできず
助けてあげられなかった
ずっとずっと
苦しみや悲しみをかかえて
毎日をすごしていたのだね

未来への不安もあっただろう
でもきみの不安は
今日1日 また明日はどうか
1日1日を無事に
過ごせるかわからない
そんな不安だったのではないかと
自分がいま体験してやっと
きみの孤独に近づいたように思う
ただ普通の毎日を送りたかった
欲張るのでなく
ただみんなのような普通の日々
それが自分にはないこと
この先も期待できないこと
その苦しみに耐えられないこと
助けてもらえないこと 
だから絶望したし
ずっと消えてしまいたかったのか
理解が遅い
遅すぎる

友だちのいない孤独
SNSの時代には
人の楽しげな投稿やつながりが
あちこちから目に入り
休日も孤独が増す
誰かとのやり取りに
救われる日もあっただろう
それでもこれまでの
孤独を埋めて前向きに過ごすには
いろんなものが足りなかった

苦しかったね
ただその一言でよかった
それだけだった
共感のない孤独の世界の
深い絶望を知った

いまは身軽でなんのしがらみもなく
自由だと聞いている
自由 自由なんだね
この世は不自由すぎて
苦しかったね 
ごめんね
理由はひとつだけではないけれど
またひとつ近づいた気がする

もう遅いけれど
いまできることをするしかない

今日もありがとう
また明日