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【635/1096】実感がない

すごく大きなことが起こった
と専門家に言われる
これまで何度か伝えられたその言葉の
本質をつかめないでいる
ともに暮らしてきた人が
ある日突然いなくなること
それが自らのものであること
その重大さの実感がわかない

本当に感じてしまったら
気が狂うかもしれない
怖すぎてつらすぎて
実感を遠くに追いやって
日々の生活を回しているのかもしれない
きみの本当の苦しみには
これからも
近づけないのかもしれない
信じられないことを
深く感じることはすごく怖いことで
それに耐えうる態勢が
わたしにはないのだろう

弱いとも思うし
弱くて当然とも思う
そういうものを感じないために
人は前向きに生きようとする
本当の絶望を味わわないための
対策としての努力もあるだろう
実感できないことも
味わいすぎないための回避かもしれない

それでもたまに
ああ なんてことが起こったのだろう
と感覚が近づいてくるときがあって
その時はすごく怖くて
自分の芯に入れないよう
近づけないようにしている

本当は自分の奥底で
実感してしまっているから
そのことを思い返さないよう
その時の感覚 あの絶望的な感覚を
再現しないようにしている
そういうことかもしれない

きみの消えたことを確認したときの
あの感覚
もう終わってしまった
これは本当のことなんだと
理解したときの脱力感
あの頃のことを思い返すと
きみもわたし達も みな
かわいそうだったと思う
同情というか 憐れみというよりも
慈悲深い気持ちになる
なんとも言えず 悲しいし苦しい
誰も救われないから
せめて神のお恵みを 的に
祈るよりほかない気持ちになる
かわいそうだった
気の毒 とも言える

あんな気持ち 
他の人には味わってほしくないかもな
あんな気持ち
あそこからよく元気になれたな
あんな気持ち
かける言葉が見つからない中で
寄り添ってくれた人をありがたく思う
伝えてないのに気にしてくれていた
勘のいい友人は恩人だ

人からの好意や善意を
そのままありがたく受け取ろう
受け取ることから始めないと
なにも進まない気がする
進みたいわけでもないけれど
とどまるのもつらい

気楽に生きる
また忘れていた
気楽に生きよう
力を抜いて気楽に気楽に
曇りの空の日曜
また1日が始まる

今日もありがとう
残された者の日々