見出し画像

【607/1096】おもかげで繋がる

残された家族に
きみのおもかげがある
なにかを真剣に見るまなざし
ちょっとしたしぐさ
口癖
顔つきや寝顔
しゃべり方や声
それらの中にきみのかけらを感じる
わたし達は家族だ
他人同士の夫婦が
似た要素の子どもを介して
お互いが近づいて
家族の雰囲気ができあがった
それぞれにそれぞれのおもかげがあり
家族として繋がっている

自分たちの親の要素 
その先祖のものも受け継がれている
誰かが誰かに似る
誰とも同じでなく
兄弟でもそれぞれに異なる
血の不思議

ともに暮らすことで家族になる
共有し共存し家族になる
家族の不思議

家族は呪縛
切れない絆もあれば
逃げられないしがらみもある
複雑なこと
家族になってみないと
わからないことは多々ある

きみが生まれて家族になって
とてもいろんな体験ができた
きみがいなければ
下の子もいないし
今の住まいにもいなかっただろう
出会いと別れの不思議

きみの消えたことが夢のようだ
なにか大切なものを盗まれて
目が覚めたとき
盗まれたものはなんだったのか
忘れてしまうようなそんな夢

けれど
それは現実で目の前のこと
これからもつづいていく
きみのいない今を
紡いでたどり着いた今このとき
儚い夢
覆らない現実

事実は好転しない
このことばを反芻する
噛み砕いては飲み込み
吐き出しては眺め
また噛み砕いて飲み下す
身にならないまま
幾度となくそれらをくり返す
苦しみは柔らいだ
慣れたのか 諦めたのか

恨めしく思った家族像を
今は違う目線で眺めている
わたし達は家族で
これからも変わらない
きみが消えようとも
わたし達の中のおもかげが
思い出とともに
きみを何度も反芻する
きみの生きた軌跡は
決して忘れずなくならない
おもかげとともに生きる
残されたわたし達のやれること

今日もありがとう
残された者の日々