【272/1096】昔のこと
長期休みには普通の家族のように
お出かけしたね
動物がすきなキミたち
野放しの孔雀を追いかけ回すきみ
きみはいつも
何かしらのいじわるを働いた
それがいじわると
自覚していたかは定かではない
猫カフェにも行った
たくさんのおとなしい猫さんに囲まれ
すごく嬉しそうにしていた
はにかむ笑顔はあの頃からか
弾けるような笑顔は
そんなに見られなくなったね
たまに馬鹿笑いをしていたけど
本当のきみの笑い方では
なかったように思う
昔のこと
すべて昔のことになった
更新されることのない歴史
新しいエピソードもないよ
きみのいる気配なのか
それとは別の人の気配なのか
ちらりと感じることはある
目視はできていない
きみはどこへ行ってしまったの?
自由になれたかい?
楽になれたかい?
幸せに近づけたかい?
楽しいことが見つかったかい?
そんな姿が見られる日を
願っていたよ
いつかトンネルを抜け出して
自分なりの道を見つけて
進むんだろうと
甘かったね
愚かしい自分と切り離せず
悲しい空洞を胸に
生きているよ
何を目標に生きていこう
残った半身で日々を繋ぎ
生きているかのように見せて
欺いているような気もしている
誰を?自分を?
嘘も誠もわからない
常識の外側
ルールから外れて
もうなんでもありの世界
普通ってなんだろうね
普通の家族になりたかった
普通ってなんだろう
もうなにになりたいとか
わからない
ただ毎日を過ごすだけ
まるで変わらず普通のように
今日もごめんなさい
残された者の日々
謝っても戻らない