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1月の終わり去年の今ごろ 【141/1096】

去年の今ごろを鮮明に思い出せる
ねこの具合が悪くなっていた
ガンだった
元気でおとなしくて
すごく賢くてやさしくて
みんなに愛されていたねこさん

急にご飯を食べなくなり
食べても吐き戻しがひどく
痩せていった
病院に連れて行くと
最悪はガンだと言われた
ショックすぎて
なんのことかわからなかった

薬が効けば
3年くらい生きのびたねこもいますよ
と先生が言ったから
そうか
大丈夫かもしれないなんて
希望を捨てなかった

ネットを探りに探っても
同じ症状や状況のねこはいなくて
助かって元気になっても
やはりお亡くなりになっていたり
回復したねこさんのブログを
見つけては勇気をもらい
寛解すると信じて
嫌がる薬を飲ませていた
かわいそうなことをした

助からなかったねこの主は
ブログになんて
書く元気もないのだなと
あとになって思う
自分だって
やっとのことで人に言えた
ねこを亡くすことが初めてで
こんな悲しいことあるんだって
みんな毎日 それぞれに
泣いていた日々
あの頃を思い出す
かわいそうだったね

悲しみは遅れてやってくる
とカウンセラーが言っていたけど
ねこの悲しみは
とめどなくすぐに来た

きみの悲しみは
遅れてやってきていたのだろうか
きみの話になると
饒舌にはなせる自分がいる
もういないことに触れずに
きみがいること いたこと
どんな人であったか
話せることが嬉しいようだ
わたしはきみのことを
話したいんだね
いまもいるかのように
話をしたい
同情されずに
話を聞いてもらいたい
可愛そうだと涙されたくない
可愛そうだと自分で思ってないから
勝手にこちらの気持ちを
慮って決めてもらいたくない

生きていてほしかった
名前を呼ぶこともない
呼ぶことはあっても
届くことはないね
また自分のことを
呼んでくれるきみもいない
呼ばれることは普通ではなく
幸いだったのだと気づく
もう遅いこと 
その事実を遠くに感じて
悲しみも遠くでたたずんでいる

ある日の突然のことのようで
前々から決まっていたのかとか
考えても答えのない道を
たどったり戻ったり

縁があって新しいねこと出会う
かわいいよ
ねこはやさしい
みんな喜んでいる
つかの間の幸せ
ねこは救いだ

今日もありがとう
ごめんねとありがとう