山崎@SFSS

NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) (http://nposfss.com/ )の理事長です。東京大学農学部卒、リスク学者、獣医学博士。食の安全・安心に関わるリスクコミュニケーションをミッションとしております。

山崎@SFSS

NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) (http://nposfss.com/ )の理事長です。東京大学農学部卒、リスク学者、獣医学博士。食の安全・安心に関わるリスクコミュニケーションをミッションとしております。

    最近の記事

    【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (3)

    *本小説を最初から読みたい方はこちらより *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第3章> 緒方が発明したスーパーゲノム編集小麦:CNO-21は、世界中で注目され、この小麦を使ってどんなことができるのか、世界中で応用研究が始まった。 この技術の特許権は我々が持っているので、これを応用して小麦を開発した場合には我々の基本特許が有効なはずだが、それよりもこのスーパー小麦を世界中で生産して、早く地球環境に役立ててほしいとこ

      • 毒か安全かは量で決まる

        “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2013年9月10日火曜日]より抜粋: いま「食の安全」が報道で取り上げられることが多い。 週刊誌やTV番組でも、中国からの輸入食品や食品添加物などが「毒」であるかの議論がなされるが、こ

        • ハラキリ・コミュニケーション ~日本文化に合ったリスコミとは~

          “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2015年3月16日月曜日]より抜粋: NHK大河ドラマ「花燃ゆ」を見られた方はご存知かと思うが、長州藩萩の城下町に私塾を開いた吉田松陰(寅次郎)のおもしろいリスコミ・エピソードがあったの

          • 【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (2)

            *本小説を最初から読みたい方はこちらより *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第2章>  この緒方晴彦が発明したスーパーゲノム編集小麦「CNO-21」は、瞬く間に世界中のメディアで取り上げられ、「夢の小麦だ」、「Dreaming Wheat」などともてはやされ、世界中の小麦生産者の注目を集めた。もちろん消費者の、いや消費者だけじゃなく、環境団体やSDGsに取り込んでる行政機関など、多くの研究者をも魅了することとなっ

            【SF】STAP OVER ~ゲノム編集食品が世界を変える日~ (1)

            *本小説はフィクションであり、登場する人物や団体名の固有名詞は実在するものではありません。 <第1章> 研究者の名前は緒方晴彦。農学博士で植物バイオテクノロジーの研究者だ。 東都大学農学部で植物バイオテクノロジーの博士号を取得して、いまはSDGsみらい研究所の主任研究員。ゲノム編集技術により新たな農作物の品種開発に携わっていた。 2025年4月1日。物語は都内の高級ホテルでの記者会見から始まる。都内East-End Royal Hotelでの記者会見に、東都大学教授の

            リスク管理で配慮すべきポイント:『リスクのトレードオフ』

            “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、noteを始める前の過去ブログにおいて、リスコミにおいて知っておくべき重要な原理/法則を解説しておりますので、いくつか再掲しておきたいと思います。 過去ブログ[2014年10月12日日曜日]より抜粋: リスク管理で配慮すべきポイント:『リスクのトレードオフ』 筆者はスポーツ観戦が好きなので、日本のプロ野球やMLBのポストシーズンゲームを楽しむこと

            生成AIのリスクをどう解消する?! ~チャットGPTは明確な著作権侵害

            “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は世界的な議論を巻き起こしているチャットGPTなど、生成AIの社会に与えるリスクをどう解消すべきかについて議論したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: チャットGPTで注目 「生成AI」とは? ~なるほドリ・ワイド  回答・大久保渉 毎日新聞 2023/5/14 https://mainichi.jp/articles/202

            事故が起こってからでは手遅れだ~「ひやりはっと」にリスク評価のヒントあり

            “リスクの伝道師”SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は、リスク評価のタイミングとして「ひやりはっと」が非常に重要なヒントになり、事故防止のための綿密なリスク評価/リスク管理とはどうあるべきかについて解説したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: 警官が屋上から目を光らせ、来場者は身体チェック…首相襲撃受け選挙演説の警備強化 読売新聞 2023/04/17 14:36  https

            フードテロのSNS愉快犯に要注意~食品事業者はフードディフェンスの体制構築が急務

            リスクの伝道師、SFSSの山崎です。今回のブログでは、昨今頻繁に外食チェーンにおいて発生している、悪質な利用客による不衛生行為のSNS拡散について解説したいと思います。まずは、以下の記事をご一読いただきたい: 「数千万円単位の損害賠償請求は考えられる」  自らも飲食店経営、専門弁護士が語る不適切動画問題  産経ニュース 2023/2/20 11:56 浅野 英介  https://www.sankei.com/article/20230220-TUHG2X47BFGZFHZ

            「遺伝子組み換え食品の恐怖(鈴木宣弘氏)」⇒「フェイクニュース(レベル4)」~SFSSが文藝春秋創刊100周年特集(2023年1月)をファクトチェック!~

            遺伝子組換え作物が世に登場して約30年、いまでは日本が輸入する大豆・とうもろこしなどの大半が組換えDNA技術により品種改良された農作物のはずだが、我々が目にするのは「大豆(遺伝子組換えでない)」といった食品表示ばかりなのは何故だろうか。「無添加」「保存料不使用」「無農薬」などと並んで、その食品に含まれない成分をわざわざ任意表示することで、いかにも「安全な食品ですよ」と誇張するマーケティング・バイアスは、一般消費者のリスク誤認を助長してきた大きな社会問題だ。  我が国に流通す

            どうする?マスク

            リスクの伝道師、山﨑毅です。 政府は2月10日、新型コロナ対策としてのマスク着用について、来月13日から「個人の判断」に委ねる方針を決定したとのこと:  そもそも日本国内ではマスク着用自体が法的義務になったことはなく、もともと任意であったが、新型コロナ感染症が2類相当だったために、公共施設や公共交通機関における感染防止対策に協力する義務があり、施設管理者が指定した感染防止対策として、マスク着用や入場前の検温・手指消毒があれば、それに従う努力義務があったという感じだろうか。

            組織の信頼回復に必要な姿勢とは~迅速な謝罪会見(潔さ)と誠実性(隠蔽しないこと)~

            "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は消費者市民の「食の安心」にとっても重要な必要条件となる「組織の信頼」について議論したいと思います。まずは、京都府宇治市で起きたO157による食中毒事故の記事を以下でご一読いただきたいが、この事故で亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げるとともに、食中毒被害に遭われた患者の皆様にもお見舞いを申し上げたい: ◎京都・宇治のO157食中毒死「レアス

            "批判的思考"を習得すべきは消費者市民?~リスク情報を発信するメディア/行政/事業者も?!~

            "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は8月28日にSFSS主催で開催した食のリスクコミュニケーション・フォーラム2022第3回において議論しましたリスクリテラシー向上のための批判的思考とメディアのリスコミのあり方について考察したいと思います。 ◎食のリスコミフォーラム2022第3回 (8/28)  『科学報道におけるリスコミのあり方』 開催速報(講演レジュメのダウンロード可)  

            健康リスク・価値損失リスク・環境リスクをどう評価する? ~安全第一、安心は二番目であるべき~ [理事長雑感2022年7月号]

            "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は消費者市民が食品のリスクを適正に評価したうえで選択する、いわゆる「エシカル消費」に必要な視点について、吟味思考(クリティカルシンキング)により議論してみたいと思います。  まずは、食品を選択する判断基準についての仮想エピソードを、以下でご一読いただきたい。なお本エピソードは、吟味思考のために筆者が考えた架空の会話なので、登場する特定の用語や環

            福島原発事故 国の責任認めず ~避難者集団訴訟の最高裁判決は妥当か?~ [理事長雑感2022年6月号]

            "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今回は福島第一原発事故の避難者が国に損害賠償を求めた集団訴訟に対して、6月17日に最高裁が判決を下したことについて、リスクの観点から議論したいと思います。  まずは、この最高裁判決について各紙がどのように報じたか、以下でご一読いただきたい(有料記事もあるので、読めるもののみご参照ください): ◎原発事故、国の責任認めず 最高裁、避難者訴訟で初判断

            4回に1回の的中率なら「オオカミ少年効果」はない? ~新たなハザードマップと線状降水帯予測で「逃げるが勝ち」~

            "リスクの伝道師"SFSSの山崎です。本ブログではリスクコミュニケーション(リスコミ)のあり方について毎回議論をしておりますが、今月は豪雨災害/水害/土砂災害のリスク回避のコツについて議論したいと思います。まずは、今月から始まった気象庁の「線状降水帯予測」に関するニュースをご視聴いただきたい: ◎的中率は4回に1回だけど「迷わず逃げて!」 線状降水帯予測情報はじまる  6/1(水) BSN新潟放送  https://news.yahoo.co.jp/articles/cf6