【第11回】どうしてもがまんできない!
前回の記事はこちら▼
2019年6月30日。
あらためて階層を浅く修正したアウトラインにもとづくWordファイルがやままさんより送られてきました。
アウトラインを見るかぎり、すんなりと、気持ちよく流れているように見えます。
試しに各パートごとに冒頭の2〜3記事ピックアップし、印刷レイアウトモードでプリントアウトしてみます。そして赤ペンを片手に読んでみます(自分の原稿でそうするように)。いくつかの細かい誤字を別として、ほとんど直すところがないという印象を受けました。
あとはコラムと追加コンテンツをどうするか考えれば、予想よりもずっと楽にできるのではないかと感じます。
EPUBテスト作成
すでに相当完成度が高いと感じられたので、いったんEPUBファイル(EPUB:電子書籍のファイルフォーマットの規格。今のところ電子書籍の標準形式と言ってもいい)を作ってみることにします。
今回、EPUBづくりはTak.が担当することになっています。作り方はいろいろありますが、個人的に最初のKDP出版からお世話になっているのがWEBサービス「でんでんコンバーター」です。
でんでんコンバーターは、拡張されたMarkdown記法(でんでんマークダウン)で記述されたテキストファイルをEPUB形式に変換してくれるサービスです。これまで個人的なKDP作成で、EPUBファイルにまつわるトラブルが起きたことは一度もありません。
ということで、さっそくEPUBを作ってみます。Markdown記法のファイルを作るとき、私はWordファイルに直接Marksownを書き込んでしまうことにしています。
Markdownを直接書き込んだWordアウトライン(最終版)▼
区切りのいいところでテキストファイルとして保存し、これをでんでんコンバーターに通します。こうすると、随時EPUBを作ってチェックしつつ、最後の最後までWordのアウトライナーとしての機能を使えるわけです。必要に応じてプリントアウトして校正する際にも、目次作成機能を補助として使えて便利です。
われながら妙なことをしていると思うし、決してベストな方法とは思いませんが、数年の経験から自分にとってはこれがいちばん速く柔軟に作業を進められるのです。
並んでEPUBチェック@Co-Edo
7月25日、やままさんがスタッフとして働く日本橋茅場町の「コワーキングスペースCo-Edo」をはじめて訪問。
実はコワーキングスペースというものは初体験です。いろんな人が黙々と自分の仕事をしている雰囲気は、嫌いではありません。
外付けモニタを借り、Macの「ブック」アプリでEPUBファイルを開きます。そしてやままさんと並んで1ページずつめくりながら、やままさんの意図通りになっているかチェックします。
やままさんの作ったファイルを元にEPUB化しているわけですが、見出しレベルの設定や段落の区切り方など、意図を確認すべきところは意外にたくさんあります。
たとえば
この記事だけ見出しの付け方が他の部分より深いけど、揃えちゃっていい?
とか
この記事のここは箇条書きになってるけど、あの記事の同じような部分は見出し+地の文だった。どっちに統一する?
みたいなことです。もともと5年にわたってブログとして書かれてきたものなので、文章だけでなく形式的な部分も変化しているわけです。
もちろん、誤字脱字の類いもその場で直していきます(といっても修正しているうちに新たな誤字が混入することは避けられないので、本格的な文字校正は最後にまとめてやります。それに、やままさんの原稿はもともと誤字が少ないのです)。
そのあたりの作業が終わりさえすれば、ほとんどできあがりといっていいのではないでしょうか。
やままさんによれば、毎年11月3日が「サンドウィッチの日」らしいとのことで(サンドイッチの生みの親と言われるサンドウィッチ伯ジョン・モンタギューの誕生日)、この日を完成目標日に決めます。
チェック結果はその場でファイルに反映し、その夜さっそくやままさんに送ります。後はやままさんがあらためてチェックし、追加分の記事を書いて文字校正をしていけばいいでしょう。
どうしてもがまんできない!
……と思っていたのですが、そうはいかないのでした。8月に入っても9月に入ってもやままさんからいっこうに連絡がない。
聞けば、本文原稿の大幅改訂をしているというのです。「どうしてもがまんできない!」とのこと。
私の印象では、元の記事の文章は、細かい表現や形式を除けば充分そのまま使えるものだったので、いったい何をそんなに時間をかけて直しているのかこの時点ではまったくわからなかったのですが、このときのやままさんの修正が後で意味を持つことになります。
(つづく)
次の記事はこちら▼
最終的にできあがった本はこちら▼