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piece 7:デイリーアウトラインの運用③ 書き換えながらコントロールを保つ

順に実行する

「Piece 6:デイリーアウトラインの運用② 仮アウトラインと仮サマリー」までで、以下のようなデイリーアウトラインができた。

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あとは上から順にDOを実行していけばいい。通常のデイリータスクリストと同じだ。

しかし現実の一日は(たいていは)アウトラインの通りにならない。現実の文章がアウトラインの通りにならないのと同じだ。ここから先はデイリーアウトラインの「現実の制御」の機能が起動することになる。

DOをクリアにする

最初の項目に取りかかる。「朝のコーヒーを飲みながら原稿Tの構成を再検討する」ことだ。取りかかる前に項目の頭に★印をつけておく。これは「この項目に着手している」という目印だ(これは後で意味を持つ)。

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最初の項目を展開すると「プリントアウトすること」「プリントアウトに2時間書き込みをすること」という具体的な行動が書かれている。

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いわゆるサブタスクなのだが、さらに開けばフリーライティングで書き出した内容がたたみ込まれている。そもそもどういう「つもり」だったのかが確認できる。

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DOが単なるタスクと違うところは「意思」が組み込まれているところだ。ちょっとだけアウトラインを直して、たたみ込まれていた内容を「つもり」(意思)と行動(DO)に区別してみる。

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たかが原稿をプリンアウトしてチェックするだけのことだし、もちろん毎回こんなことをする必要はないのだが(大げさだ)、意思をクリアにしておくことが大きな違いを生み出す場面がある。オトナならそのことを実感した場面があったはずだ。この場合のオトナとは自分で願い行動する人を指す。たとえ12歳でも。

その場にメモする

と、われながらいいことを思いついたと思ったのでアウトラインのその位置に直接「オトナならそのことを実感した場面があったはずだ。この場合のオトナとは自分で願い行動する人を指す。たとえ12歳でも。」と書き込んでしまう。

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これはタスクでもDOでもない。通常なら「メモ」と呼ばれるものだ。デイリータスクリストに通常書かれるものではないだろう。でもアウトラインがあり、その中で「考えて」いるのだからその場に書いてしまうのが合理的だ。メモの行頭には「▼」をつけてある。これは後から検索できるようにするためだ。

原稿Tの構成再検討

DO「プリントアウト」をコンプリートし、ボールペンを持って最初から直していく。プリントアウトをペンで直していく作業は、実は書くという行為でいちばん多くの時間を占めているのではないかと思う(←アナログ)。キーを打つときよりも頭が動き出す感覚がある。原稿についての新たな考えも、関連してやるべきことも思いつくのだ。

ここで思いついたのは、第2章に一覧表を追加しておかなければということ。これをDOとして追加する。行動しながらアウトラインが変わっていく。書きながら文章のアウトラインが変わっていくのと同じだ。

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交渉の方針を考える

作業を続けていると、N社担当のJさんからメールの通知。一瞬迷うが、急ぎである可能性もあるのでメールを確認する。

Tak.さんにお願いしている例の案件について今日、他の担当者の方々にレクチャーすることになっています。
ついては見本として1シート分だけ先行して作成していただけないでしょうか。Tak.さんは前回担当されてだいたいの内容を把握されていると思います。
大急ぎではありませんが、なるはやでお願いできますか。無理のない範囲で午後イチくらいにもらえるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。

大急ぎでないけどなるはやかつ無理のない範囲で午後イチ。つまり急いでいる。

N社依頼案件については今日急いで何かを出す必要があるとは考えていなかったので、夕方以降で余裕があったら手をつける程度に考えていた(今日の6個目のDOだ)。予定にないから対応できませんと断ってしまうこともできるけれど、どうするか。こういうときの判断基準になるのが、デイリーアウトラインの上位階層に書かれた仮サマリーだ。以下では日付のノート欄に書かれている。

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「自分の作業を先にやる。考えはクリアに伝える。生活はゆずらない」。そう、これが今日の行動選択の基準なのだ。この基準を満たすように行動を選択する。

作業を中断し、Jさんとどう交渉しようかと考える。もちろんアウトラインの中で考えるのだ。実行中の「原稿Tの構成再検討」の前に「N社依頼案件」を移動する。そして★印をつける。デイリーアウトラインでは「実行する/した順番」が重要なので、現在実行中の項目が常に先に来るようにする。

「N社と交渉」という項目を追加する。それが本当に重要なことなら仕方ないが、そうでないなら自分の作業を優先したい。という自分の考えをクリアに(しかし丁寧に)伝えたい。

Jさんとの交渉の方針を書いてみる。「前回担当されていた経験」が役に立つなら、今回用のシートを慌ててつくって共有するのではなく、前回のシートを共有すればいいのではないか。そう丁寧な言葉でに伝えてみてはどうか。その上で「どうしても」と言われたら対応すればいい。これはメモとして書き出す。

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丁寧な言葉ってどんな言葉だ? それも書く。これはつまり返信メールの文面そのものだ。これもメモ。

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ささやかな現場経験からいうと「前回のシートを念のため添付」することがここではすごく重要だ(姑息な処世術)。

これはあくまでも例だけれど、このように行動のアウトラインの中でその内容まで考えられるというのは、もっとヘビーな状況のときにも大きな力になってくれる(いつ何をどのように考えたのかは「▼」を検索すればひと目で確認できる)。

断水に対応する

返信メールを書いていると玄関の呼び鈴がなる。ドアを開けると、隣家の住人が立っている。

「うち、水道が止まってるみたいなんですけどお宅どうですか?」

あわててキッチンに行って蛇口をひねるとたしかに水が出ない。急いで管理会社に電話することにする。アウトラインに「管理会社に断水の件確認」を追加する。

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これもわざわざアウトラインに書き加える必要があるのかと思うかもしれないが、繰り返し割り込みが入ったとき、これがあるのとないのとでは大きな違いになる。割り込みが終わった後どこに戻ればいいかがアウトラインの並びと★マークをチェックすればひと目でわかるからだ。

書き換えながらコントロールを保つ

午前中がおわる。断水の件は電話して業者が急行することになった。結果はまだわからない。N社の担当Jさんには返信し、まだ反応はない。ふたたび原稿Tの作業に戻っているが、途中までしか終わっていない。アウトラインは以下のようになっている(ふたたび並び順が変っていることに注意)。

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もし朝作ったアウトライン(≒デイリータスクリスト)が固定されたものだとしたら、すでのこの時点でコントロール不能になっているはずだ。割り込みが繰り返され、すべてが途中のまま何をしていたのか、どこに戻ればいいのかすらわからなくなっていたかもしれない(それはメンタルを消耗させる)。上司や同僚や顧客から次々と割り込みが入るような環境ならなおさらだろう。

しかしアウトラインを見れば、何をどんな順番で手がけ、どこまで終わっているのか(終わっていないが)が把握できる。一日を書きながら(生きながら)アウトラインを書き換えていけるからこそなんとかコントロールを保てている。

しかし、この時点で午前中に予定していたDOは何ひとつ終わっていない。今日中にすべてを終えるのは困難な気がする。ということはDOのうちどれを残し、どれを落とすが決めなければならない。

ここで力を発揮するのが「できれば」という項目だ。これは文章を書くときの「未使用」に相当する。

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