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piece 8:デイリーアウトラインの運用④ 選択のツールとしての「できれば」

やろうと思ったことが何もできない日

「piece 7:デイリーアウトラインの運用③ 書き換えながらコントロールを保つ」からの続き。午前中を終えた段階で予定していたDOは何ひとつ終わっていないどころか、割り込んできたDOさえ終わっていない。

一日は以下のアウトラインからスタートした。

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お昼前には以下のようになっていた。

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もともとは「原稿Тの構成再検討」を午前中に済ませるつもりだったのだが、途中でN社からの突発的な依頼に中断され(そのためもともと6個目にあった「N社依頼案件」の順位が引き上げられ)、交渉している途中で断水(!)があった。「★」は「手をつけている」というマークだ。3つのDOに★がついているということは「3つのDOが手をつけたまま中断されている」ということだ。

救いはアウトラインを書き換えることでコントロールは保てていること(何をしていて何に割り込まれてどこに戻るのかは把握できている)。それでも典型的な「やろうと思っていたことが何も終わらない日」のパターンだ。それを避けるために必要なのは、DOの取捨選択だ。デイリーアウトラインはそのための機能を持っている。

「できれば」

大きく出たけれど、別に大したものではない。末尾に「できれば」という項目を立てるだけだ。こんな感じに。

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一定の数を超えたDOは「できれば」の下に落とす。ぼく自身は6個を超えたDOは「できれば」に落とすようにしている。現在DOは7個になっているので、1個が落ちることになる。

6個という数に特に根拠はなく、自分にとってはそのくらいがちょうどいいというだけの話だ(きっかけはあるがここでは触れない)。別に20個でもいい。ただ前回も書いたようにDOは「タスク」ではない。DOは6個でも実際の「タスク」は見た目よりもずっと多くなり得る。

わざわざ数を絞るのには選択を促す意味がある。何かを入れたら別の何かを出さなければならない。それを意識すること。一日という限りのある時間の中にすべてを入れることはできない。時間には限りがあるのにタスクは無限に書けてしまうというところに、いわゆるタスクリストの問題がある。

「できれば」以下は「今日はできなくてもいい」という意味になる(余裕があったらやってもいい)。逆に「今日絶対にやりたい」DOは6個の中に残るようにする。そのためにアウトラインを操作する。

「未使用」と「できれば」

限りのある時間の中にすべてを入れることはできないというのは、文章でいうなら「ひとつの文章にすべてを書くことはできない」ということだ。文字数もあるし、そうでなくても文章をクリアで力強いものにするためには不要な部分を取りのぞくことが不可欠だ。

問題は一度書いたものを削除するには勇気がいるということだ。これは一種の本能のようなものなのだろう。それに削除したものが後で必要になることも実際にあるのだ。一度書いたものを消すだけでも労力を無駄にした感覚が尋常でないのに、後からそれが必要だったと判明することの心理的負担は計り知れない。

最初から使えることだけを書けばいいのだが、確実に使えることだけ書こうとすること自体が思考を硬直させる。あらかじめ決めたアウトラインに沿って書こうとすると書けなくなるというのと同じだ。

そこで役に立つのが「未使用」だ。「未使用」は、書いている途中で不要になった(と思われる)断片を一時的に退避させておくための仮見出しだ。通常はアウトラインの末尾に置くが、別にどこにあってもかまわない。そこに使えなさそうな、あるいはどこに入れていいかわからない断片を落としていく。

消したわけではないので、書いているうちに必要になったら(使い道が見つかったら)容易に復活させることができる。今日使わなくても後日別の文章で使うこともできる。その安心感が脳に自由に動くスペースを与えてくれる(だから書くのが楽になる)。「未使用」は文章に何を残し、何を捨てるかを選択するための強力なツールになる。

この「未使用」をデイリーアウトラインに当てはめたのが「できれば」だ。思いついたことをすべて文章に入れることができないのと同様に、今日発生したDOをすべて今日やることは(滅多に)できない。だから枠からはみ出したものは「できれば」に落とす。必要になれば復活させる。後日やることもできる。「できれば」は文章における「未使用」と同じように、何を残し何を捨てるかを選択するためのツールなのだ。

末尾から落とす

「できれば」のルールは簡単で、一定の数を超えた(この場合は7個目以降の)DOを落とすというだけだ。DOは実行順に並んでいるので、後ろのものから落とすことになる。この日の場合は「散歩と買い物」だ。

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しかし本当にそれでいいだろうか。ここでもう一度日付のところに書かれた今日のサマリーを眺める。

自分の作業は先にやる。考えはクリアに伝える。生活をゆずらない。

デイリーアウトラインは、このサマリーの構成要素だ。そうなっているか。「散歩と買い物」を展開してみる。ここには朝のフリーライティングで書いた内容がたたみ込まれている。

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自分の時間。妻と過ごす時間。生活上の必要(買い物)。「散歩と買い物」にはこういう意思と心づもりがあったのだ。それが午前中突発的に舞い込んできた割り込みDOに押し出される。割り込みとは「他人の優先順位にもとづいたDO」だ。その中には決して緊急性が高いと言えず、考え抜いた結果でもなさそうな印象を受けるものもある。そう、「N社依頼案件」のことだ。

「N社依頼案件」もあらためて展開してみる。

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「N社依頼案件」はもともと今日のDOに入っていた。スケジュールに余裕があるので実行順としてはいちばん後。しかし担当Jさんから突発的な対応を依頼されたことで優先順位が引き上げられた。緊急性も必要性もあまり感じられなかったので今日対応しなくて済むようにJさんと交渉し、今はその返事待ちだ。作業としてはメールを書いただけだが、やりかけの作業を中断されたダメージはけっこう大きいし、エネルギーも消費した。経験的にこういうときはしばらく時間を置いた方がいい。

……というのは実際にその場でアウトラインを作りながら考えた内容だ(こういうその場で考えるための使い捨てのアウトラインをよく作る)。これもメモだ。

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ということで、「N社依頼案件」の方を「できれば」に落とすことにする。「散歩と買い物」は6個の中に戻す。

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もちろんN社担当Jさんから「それでもどうしても対応してほしい」と返事があれば、アウトラインはまた変わることになる(そのくらいの柔軟性と社会性は必要だ。オトナだから)。

キッチンから「水が出た」と妻の声が聞こえる。これで「管理会社に断水の件確認」はコンプリートだ(まだ管理会社から連絡は来ていないけど、まあいい)。

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やりかけの(そして実行順がもっとも上の)「原稿Тの構成再検討」に戻りたいけれど、午前中にはもう時間がない。昼食後はすぐにDさんとのミーティングがある。そこでさらにアウトラインを組み替えて、「原稿Tの構成再検討」をDさんとのミーティング後(正確にはその後お菓子を食べた後)に移動する。とりあえず「プリント関係消耗品をAmazonで購入」だけ急いで済ませる。

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文章のアウトラインが本文を書きながら変化していくように、デイリーアウトラインは今日を生きながら変化していく。

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