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ポストコロナの暮らしを考える(2.東京と地方都市)

緊急事態宣言の発令以降、東京と地方の往来は相当程度シャットダウンされている。地方の側からも、今は首都圏から地方に来ないでくれという発信がされた。旅行業界を含め一部の人にとって、(インバウンドは諦めていたものの、)国内での移動がこれほどまで制限されたことは「意外」だったようだ。

各首長は自らの行政管轄内での感染者を防止することに躍起になり、一部の地域では住民による県外ナンバープレートへの差別がエスカレートする事象も見られた。コロナは、「国境」だけでなく、「都道府県」や「市町村」の境界を図らずも強化することなった。それに伴い、都市と地方の関係が何となくギクシャクしてしまった感がある。

しかし、ウィズコロナ・ポストコロナの時代を考えれば、地方にとっては、むしろ今がチャンスだと思われる。昨日まで全国一律に移住・観光促進を行っていたのを、全国右ならえで、単純にシャットダウンすれば良いというものではないだろう。

今、身動きが取れなくなった東京のマンションの一室で、これまで多忙な中で東京や世界のことしか考えられなかった経営者やワーカーが感じていること、考えていることは何か。少なくとも、これまで見向きもしなかった、地方都市のことが頭をよぎる回数は、確実に多くなっているだろう。

多くの経営者は、大手町の超一等地にオフィスを構えることに投資するよりも、快適なリモートワーク環境・制度と最高レベルのセキュリティを整備することに投資するのが賢明であると考え始めているはずだ。この優先順位はワーカーにとっても同じである。コロナが治った後に、また毎日、乗車率200%近くの満員電車に乗って都心のオフィスに通勤したい人がどれくらいの割合いるだろうか

東京で就業している人は800万人いるといわれている。その大半が1ヶ月のリモートワークを経験した中で、東京から地方都市を見つめる「まなざし」が確実に変わってきていると思う。

地方都市は、無闇にシャットダウンしたり、緊急事態宣言の解除を「待つ」のではなく、次の時代に向かって「東京」に対して積極的に動き出すべき時がきているはずだ

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