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路線図と僕がデザイナーになるまで

大学は、土木工学を専攻してました。そんな僕が、なぜデザイナーになったかですが、大学の頃に大きく影響を受けた授業があったのです。

それが、InkscapeというIllustratorの無料版みたいなドローイングソフトを使って、都市計画の提案を地図にしていく授業でした。その授業に参加して、地図をPCで作っていく面白さを知ったのが、大学1年生のときです。

大学1年生の夏休み、路線図を作ってみた

そこで、なんか面白い路線図を作ってみたくなったんですね。

そういえば、当時(2011年)は地下鉄の駅で路線図が配られていたのですが、最近見ないですね。それを見たときに、路線図は見やすさを重視して大体デフォルメしてるというか、駅間隔とかも現実とは大きく違ったりするので、正しい縮尺の地図を見やすく作ってみたい!と思うようになりました。

それで、早速作ったのがこちらです↓

東京都区内の路線に、背景には水辺、公園に加え、お出かけスポットを入れました。路線は、地下鉄のみならず私鉄も色分けして、さらに会社別に見れるようにしたので、なかなか情報量が多い路線図になっています。さらに、駅はホームの位置を正確に特定して配置して、なんか徹底してました。さすが、大学1年生の夏休みをまるまる注いだだけのことはあります。

TR A3-2014のコピー-01


大学4年生、もっと面白い路線図を作りたくなる

それから、しばらくは路線図作りからは離れていたのですが、大学4年生の頃にゼミに入るんですね。僕は、都市計画系で、空間情報を扱う研究室に入ることにしました。もうお気づきかもしれませんが、要は地図の研究室に入ったんですね。ああ、やっぱりまた路線図作りたいなと。

駅の券売機に、路線図に料金書いてるやつあるじゃないですか。あれをまた、正しい縮尺で表現して、そうすると鉄道は距離に比例して運賃が上がるので、運賃をゾーンで示せるのではないかと思ったのですね。

そうしてできたのがこちらです↓

池袋駅を中心に、¥200で行けるところを赤、¥300でいけるところを黄、¥400で行けるところ緑、¥500で行けるところを青で表現してます。ぱっと見で、大宮や川崎は¥500以内で行けるけど、立川、船橋、横浜は¥500以上かかることがわかりますね。

池袋2


あるきっかけで、個展をやることに

そんな感じで、他にも色々地図を作っていたのですが、大学4年生の時に岡山まで地図学会に行った時に、ゲストハウスに泊まったのですね。そこで知り合ったアーティストの方に、原宿のデザインフェスタギャラリーで個展をやってみた方がいいと言われて、全然自分が個展をやるイメージを全く描けなかったのですが、ともかくやってみました。

これはなかなか良い経験でしたね。作品に対して、いろんな人から直接フィードバックをいただくと。そして何より、自分は地図のデザイナーになったんだと自負を持つことができました。

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地図会社に就職して、さらに路線図作り

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そうした経緯もあって、大学院を経て、就職は地図会社に行きました。アプロやカーナビなど、みなさんがお使いの地図の元を作っている会社です。ゼンリンみたいなところですね。ゼンリンさんではないですが。

そこで、本当に僕は地図デザイナーとして採用いただいて(会社初)、世の中の地図がどう作られているのか勉強させていただき、そしてどうやってデザインしていくかを考えながらお仕事させていただきました。会社では、カーナビに表示する地図のアイコン(地図記号をもっと直感的に理解しやすくしたもの)とかのデザインをしておりました。

それもやりつつ、家では全国の鉄道路線図を作ってみました。どうせなら面白いもの作りたいと思って、世界最大級の縦横10mの地図を作成したのです。表現も、全国各地の路線に加え、背景には徹底して美を追求した地形図を作成しました。この地形図の表現、これは伊能忠敬が作った伊能図の表現を真似て作ってます。

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地図会社を辞めて思うこと

いつかこれが、webアプリに載っけられたらいいなと夢見ながら作っていましたね。でも、僕は2年半で会社を辞めてしまいました。従来の、今みなさんがお使いの地図アプリやカーナビ、まだまだデザインの改善の余地があります。

しかし、提案ベースでデザイン改善をすること自体、会社の仕組み上厳しかった。やっぱりお金が回って行かないといけない、とにかく初期投資で莫大な費用がかかる地図業界では、資金を回すことがまず優先されるのです。

かくして、作るだけじゃダメだ、デザインをするには資金を回す環境づくりをしなければと思うようになりました。

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