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さよなら休日の怪獣たち

 令和の『復活フェスティバル・ゴジラ1983』のような、怒涛のゴジラVS京都・ゴジラ&東宝特撮映画GW連続上映会もいよいよ終盤。なかなか仕事が入っていけなかったけど、最後はまとめて見たいよ。と、京都みなみ会館へ。その日、ものすごく早起きしたこともあるし、『気になるなら見ておけばいい』というポリシーにのっとり、まずは『映画かいけつゾロリ ZZのひみつ』を。朝から児童まんが映画ですよ、しかもみなみ会館でかいけつゾロリ、という珍しい体験をしたかった、ということもある。ゾロリは7年前にも夏休みに『モスラ』『おおかみこどもの雨と雪』と上映されたこともあったけど、今回は少し事情が違うようで。

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 今回は百田夏菜子主演『すくってごらん』上映に絡めた、『声優百田夏菜子』の一環で上映という、実なマニアックな背景。旧みなみで、もももいろクローバーZ出演『幕が上がる』を上映したりと、スタッフにはモノノフ(ももクロファンのこと、らしい)がいるに違いない、いや、いる。

 『かいけつゾロリ』はいたずらの修行の旅を続けるゾロリと子分のイシシ、ノシシの活躍を描く児童文学のロングセラー。まず、警察を向こうに回し、お尋ね者の主人公というアウトローさに、ダジャレとおならという、あまりお上品とは言えない要素がちびっこに受けている、と思う。いい年して子分(彼らは子供のように見えるけど、イノシシであるからには十分に成人男性である)連れて世界をぶらつき、夢は城とお姫様(家と女)という欲望のままに旅するゾロリの姿は大人が見ても憧れはしないものの、楽しい。座頭市や子連れ狼等々、旅するアウトローという存在は昔から人気があり、世代や年齢は関係ないのだ。

 今回はひょんなことから過去の世界へ飛んでしまったゾロリたちが、若い頃の両親と出会うという、いわば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』な内容なのですが、そこに怪獣事件が絡んでくるので、これも立派な怪獣映画、なのです。怪獣ピカゴラスはその名の通り、光るものを好み、町に上陸してはネオンや金銀宝石をぺろりと飲み込む。未来の母・ゾロリーヌがピカゴラスに飲み込まれ、ゾロリは未来の父ゾロンド・ロンと救出に向かうのだ。

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 ルビーで海におびき寄せ、体内からサブいオヤジギャグでピカゴラスを凍結させる流れはまるで『ガメラ対バルゴン』『シン・ゴジラ』を思わせる。怪獣を迎え討つ防衛チームDOG(メンバーは全員犬)は、犬だけにワンダバのメロディーに乗ってウルトラシリーズのような発進シーンで戦闘機で出動する。怪獣もののパロディと、亡き母への想いが混ぜ合わさっておならで吹き飛ばす、母の日の前日にぴったりの映画でした。

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 そしてゴジラVS京都。今回は『キングコング対ゴジラ(短縮版)』『キングコングの逆襲』の東宝コング二本組。どちらも経年を感じさせない美麗プリントでした。

『キンゴジ』は最近全長版や4kが主流になっている中、あえてチャンピオンまつりバージョンの短縮版。ただでさえコミカルでスピーディだった本編がさらにカットされてするすると物語が進んでいく。思えばつい最近までキンゴジの上映といえばこっちがメインだったのに。全長版を見慣れてしまったせいか、短縮版を見るとあのシーンがない、このシーンがないということに気を取られてしまう。まるでキンゴジ全長版を切望し、さまよい続けていた昔の怪獣オタクである。

『キングコングの逆襲』は、南海から北極、東京と舞台が変わるわ、コングはもとより、ゴロザウルス、メカニコングの造形も素晴らしくかっこいい、ゴージャスな作品。それに余裕綽々のくせにここ一番でつまずいてしまうドクターフー(天本英世)もかっこいい。芝増上寺が東京タワーへのキングコング対メカニコングの対決がラージスケールのミニチュアの迫力も相まって素晴らしいのだけど、そこに至るまで、なんとなく冗長に感じるのは北極のくだりが長いからか、そもそも『メカにできないことを生コングにやってもらおう』という発想自体が回りくどいからなのか。でもそうしないと両者は対決しないわけで、困った。

『キンゴジ』は東宝30周年、『キン逆』は35周年記念映画ということで、今年東宝90周年に『ゴジラVSコング』が公開されるのは何かの因果か。

 そして翌日。いよいよ11日間連続上映の最終日、トリを務めるのはレジェンダリーゴジラ2本、で大トリの『ゴジラ・キングオブモンスターズ』を。

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 上映前のあいさつ。この企画に携わったスタッフの皆様に感謝と御苦労様を。

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そして『ゴジラKOM』。何も言うまい、ゴジラ愛を拗らせた監督による一大怪獣絵巻、やたらと揺れるし、爆発する映画。前作のギャレスもドハティもオリジナルの、原水爆の脅威としてのゴジラという設定に敬意を払いつつ『チャンピオン祭りとか平成VSシリーズ好きやもんね』とばかりに好き買ってやってくれるのが好感持てる。思えばこの上映会のトップバッターはラドンで、〆もまた、ラドンがひれ伏すKOM。トリだけにラドンが選ばれた、というのはこじつけですが。

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 そして怪獣は終わり、でもみなみ会館はA24や先述の百田夏菜子、そしてマ・ドンソクに、そして日本最終上映の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』がやって来る。あのハーモニカを聞きに、行かなくちゃ、攻めなくちゃ。

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