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◎百足の草鞋/寒騒!京都円盤暗黒編


 ガソリンの値段が上がる(戻る)のを見て、徐々に日常が戻ってきているのかな、と思う今日この頃。

 京都みなみ会館一時休館という大ニュースが飛び込んできた2017年12月。年越し上映を経て迎えた2018年。休館までの3月にいったい何があったのか? 

 1月のある日、天気予報で今日は暖かい、というのを真に受けてバイクでみなみ会館へ。普通に寒かったです。メルヴィルの『仁義』シュヴァンクマイエルの『アリス』という、フィルムノワールと人形アニメというまるで性質の違う2本を見ました。

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 ジャン・ピエールメルヴィルの1970年の作品。今まで手をつけたことのないジャンル、フィルム・ノワールだ。ム所帰りのアランドロン、逃亡者ジャン・マリア・ボロンテに、元警官のイヴ・モンタンが組んで、宝石店襲撃を企てる。緻密な作戦とチームワークが必要とされる内容だが、そこに爽快感はない。ひたすらクール。アランドロンは、無表情にじっと立っているだけでかっこいいが、何を考えているのかわからない。陰影のくっきり分かれた映像は、実相寺作品や必殺シリーズを彷彿とさせる。みんなどこかに源流があるのだろうか、少し気になる。切ないラストに、劇中何度か出てくる台詞『人はみな罪人』の通り、追う側もまた悪事に手を染める展開。無常感が残るエンディングは、時代的にもニューシネマの影響なのだろうか、それともこの監督の持ち味なのだろうか、メルヴィルのことをもっと知らないと、と思った。

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 そして続けて『アリス』を見る。実はこれが今回のメイン。チェコのヤン・シュヴァンクマイエルが『不思議の国のアリス』をもとに、独自の解釈で作った、実写と人形アニメを組み合わせた作品。人形アニメがあるから、一応特撮ものだ。はく製や動物の骨格でパッチワークされた、ちょっとグロい奇妙な生き物たち。元々が他人の夢を見ているような不思議なお話なので、さらに不思議度が増している。小規模なセットであの原作の世界観を見事に表現している。アリスがやたらとものを口にするので、そっちの方が気になった。机の引き出しの取っ手が毎回抜ける天丼ギャグも黒い世界にちょっとした笑いを添えてくれる。しかし、こんな半分実験映画みたいな作品を、ロードショー公開していたのか、バブルだなあ。(ブログより)

 

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 そしてその月はウルトラ大全集・ウルトラマンレオに超SDXは『ゴジラVSデストロイア』。ゲストはあのブラック指令こと大林丈史氏。

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 恒例、ウルトラ大全集&超SDXも残すところあとわずか。今回は『ウルトラマンレオ』から恐怖の円盤生物シリーズ影の主役、ブラック指令こと大林丈史さんをお招きしてのトーク&サイン会、そしてウルトラマンオーブ『地図にないカフェ』にレオ50、51話上映。超SDXは『ゴジラVSデストロイア』と、何かが終わりを告げるようなラインナップ。

 大林さんは『ゴジラ2000』『シン・ゴジラ』にも出演、ご自身もSF好きとのこと。先にオーブの上映があって、いよいよトーク&サイン会へ。

 大林さんはこの日のために当時に合わせるようにひげを伸ばし、それっぽい帽子に黒い衣装で、まさに帰ってきたブラック指令。フォトセッションではぐっとにらみを利かせて、まさに当時のまま! 今にも円盤生物を呼びそうな凄みさえ感じました。そして水晶がわりのガチャガチャのカプセルを掲げる姿はそのまんま、そりゃ本人だから。

 トークでは面白いお話をたくさん聞くことができ、そしてサイン会では使ったマジックが『マッキー』という奇縁。北から南から大勢のブラック指令ファンに集まっていただき大盛り上がり、ちらついていた雪もいつの間にか止んでいました。

 そして……野暮用を終え、映画館に戻ってみると『VSデストロイア』は終盤も終盤、ゴジラはすでに溶けていました。(ブログより)

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 ウルトラマンレオを苦しみぬいたあの悪役がやってくる、ということで期待と緊張が半分ずつ、でした。『やってくれるかもしれない……』とダメ元で用意したガチャガチャのカプセルが役に立つとは思いませんでした。打ち合わせ時には時代劇、特に『木枯し紋次郎』に関するあれこれをお聞きすることができました。

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 そして2月の超SDXは『ガメラ大怪獣空中決戦』に、恒例となった京都ババジラジオ。

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 中一になる次男を始めて京都みなみ会館に連れて行ったのは、彼が小学校三年生の時、2014年の『モスラ』『決戦!南海の大怪獣』からだった。翌年からは3兄妹連れてゴジラやガメラを見て、そのうち子供たちも好みが分かれ、時間も会わなくなったりして言った。それから4年。久々に3人そろってのみなみ会館。いや、12月のウルトラマンタロウ以来だ。もうすぐ閉館するから見せておきたいという親の欲目、子供らは好き勝手に京都の街で遊ぶ方が楽しくなり、長男は映画を見ずにブラブラしてる。


 今回は『ガメラ大怪獣空中決戦』上映の前に一階会場でババジラジオ。聞くに堪えないトークを子供らには聞かせたくない。そんな親の心を知ってか知らずか子供らはさっさとイオンへ遊びに行ってしまった。おもちゃメーカーの人と、毎回嫌がらせのように他社商品を持ち込む男がだらだらと怪獣にまつわるあれこれをしゃべるだけなのに、京都で開催するようになってから、回を追うごとのお客様の数が増えていくのは大変ありがたいし、嬉しくも思うのですが、開場一時間前から並んでるのはどうかと思います。いや、ありがたいですが、やはり、何かかが狂ってる。

 みなみ会館一階、旧パチンコラスベガス跡で行うババジラジオも今回が最後。と、思いきや、3月31日みなみ会館最終日にも行うとのこと。いいのか? みなみ会館は一時休館、おやすみになるのだけど、ラスベガスはこれでおしまい。なので来月は『ババジラジオさよならラスベガススペシャル』になる予定。

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 そして『ガメラ』上映へ。子供らと見る怪獣映画は久しぶり。冒頭の大映マークからわくわくしてしまう。同時多発に勃発した怪事件をテンポよく見せ、やがてそれが一つにまとまる構成は見事である。公開当時『こういう怪獣映画が見たかった!』という欲求を十分に満たしてくれたガメラ。見ているうちにあの時の思い出が甦り、先の展開がわかっていてもハラハラしてしまう。今まで怪獣映画を見ていた世代が作り手になって初めての怪獣映画。これ以降日本怪獣映画の流れを変えてしまった一本と言っても過言ではない。ラストの『きっと来るよ!』の台詞のように、みなみ会館も早く帰ってきてほしい。(ブログより)

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 2月はさらにウルトラオールナイト、そして三月のサヨナラ興行へ。怪獣祭りはは加速していくのでした。

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