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北海道新型コロナウイルスまとめサイトが僕に見せてくれてたもの

本記事をご覧いただいているみなさんは「北海道新型コロナウイルスまとめサイト」をご存知でしょうか?


2020年3月、錯綜する新型コロナウイルスの情報・高まる不安感。
そんな中、東京都が住民コミュニティと一緒に作成したシステムをベースに、道内外のエンジニアたちにより作られ、行政から発表される情報を、分かりやすく提供することを目的とされているサイトです。

このサイトの運営をしているのは「JUST道IT」。とあるSNSから発生したこのコミュニティ活動は、"ちょっとだけ"話題になり、テレビや新聞でもとりあげられることになりました。

この「JUST道IT」の誕生の瞬間に運良く居合わせた僕。
今日は僕自身でまとめることがなかったこの「ムーブメント」についてまとめてみたいと思いいます。


今更まとめるに至った理由

実は先日、総務省北海道総合通信局主催のイベント「 「北海道新型コロナウイルスまとめサイト」が見せてくれたもの 」に、他メンバーと一緒に登壇する機会をいただき、これまでの活動についての話をさせてもらいました。

このイベントでは、大きく「JUST道IT」の成り立ちについての話をさせていただきましたので、僕自身が本当にどんなことをやっていたのかということを語ることはありませんでした。しかし、思いました。

そういえば、「自身のまとめをしていない」ということと、僕のような非エンジニアでコーディングができない人が、「どうやってICTコミュニティに貢献できるのか・どんなことを必要とされるのか」。まとめてみると誰かの役に立つのかも。

こんな思いから、まとめを書いてみたいと思います。
なお、すでにいろいろな場所で、各メンバーがJUST道ITの活動について語られています。技術的な面や大きな枠については、ぜひそちらも見ていただければと思います。

※当日の内容についてはアーカイブ配信が始まりましたので、お時間があればぜひご覧ください。


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たっくんの役割はなんだったの?

たっくんはたっくんと呼ばれがち(あれ?自分で仕向けた?w)なので、この頃一人称はイベントで一緒になるお子達から親父までたっくんです。

それはいいとして、今回僕の役割としては「プロジェクトのまとめ」です。と言っても、プロジェクトマネージャー的なものではなく

想いを、目で見える形にまとめる

ということです。

メンバーが口を揃えて「我々は団体ではない」というように、立上げメンバーを話題の中心としながらも、僕たちは明確に「それぞれの意思」を持ちながら、共通の目標と考えを共有し、独立して動いていました(まるで攻殻機動隊の「個別の11人」のようだ)。このため、考え方の相違は当然のあります。

(イベント内でも話をさせてもらいましたが、特に「オープンデータ」という分野では初の北海道一枚岩。普段はアプローチの違いから協業することは無い。)

しかし面白いのは、考えの相違があっても、誰かが誰かを否定せず、常に肯定し続けたこと。否定がなければ何が生まれるかと言えば、「妥協」。こちら、決して後ろ向きな言葉ではなく、みんなが幸せな「いい感じのところ」を選ぶような合意形成が自然とされていました。

推測ですが、メンバーが様々なコミュニティや団体・組織で活躍しているからこそわかる「組織論」みたいなベースがあり、本能的に調整をとるスキルを持ち、かつそれぞれのコミュニティや団体が、お互いを認識し続けていた結果できた賜物ではないかと思います。
イベント内で古川さんも良いこと言ってましたね。必然的な偶然って。

この必然的な偶然を保つためには、意外と「ヴィジョン」を明確化し「絵や文字として目に見える形にすること」ってとっても重要だったりします。

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外部に対して、「想いを文書化=メディアキット」を作成・配布しメディアによる歪みを減らす

常にお互いを思いやり、形成してきた「僕たちの信頼関係」ですが、裏を返せば組織ではないためもろくもある。そのもろさはきっと、外的な要因、特に「伝えられ方」によって破綻してしまうケースもあるのではないか。

そんなことを感じたのは、サイトを立ち上げ北海道新聞さんから取材の連絡をいただいたときでした。

「もしかして、僕らがやってる活動。注目浴びちゃうんじゃない?」

作ってる最中こそ、「多くの人の目に止まって、便利に使ってもらいたい。行政から出る事実をただ、分かりやすく、みてもらいたい」という気持ちでしたが、取材の連絡をいただいた時に、「あ、これまずいな」と思いました。

メディア対応は発足メンバーが対応することになりましたが、我々もそれぞれ仕事を持っていますし、企業のように広報担当が都度対応できるわけではない。このため、対応の仕方ひとつで、僕たちの想いが歪んだ形で伝わってしまい、そのまま展開されてしまう可能性もある。
絶妙なバランス感覚がこの歪みによって破綻してしまう。

であれば、ある種の防御策として「想いの文書化」してしまうのも重要だよなと思った次第です。

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以降、取材を受けるたび、このメディアキットを利用することで、「僕たちの想い」は歪んだ形で展開されることはありませんでした。

意図せずとも、ある程度の社会的インパクトを与えてしまうような活動では、自分たちの行動が誤った形で広まらないように自衛をするとは重要だったのだなと今更ながら思います。

拡散時の歪みも無くする

もうひとつが、拡散時の歪み補正です。
「行政が発表する情報を歪ませず事実として、分かりやすく伝えたい」がミッションの僕たちは、より多くの人々に、本サイトを知ってもらう必要性がありました。が、それぞれのメンバーが自身の解釈だけで広報してしまうと、ここでも歪みが生じてしまう可能性がある。

このため、「拡散用メッセージの叩き台」を誰よりも先に示すことで、より歪みの少ない広報。叩き台を参考にしつつ、他のメンバーがそれぞれの思いと解釈を加えながら広報を「自然としていく」ことを目標としました。

何度も言うようですが、僕たちは、同じ目標を持った独立した個人が活動をしています。その目標、ヴィジョンが誰かの手によって「文書化」されていることで、モヤがかかりがちな活動も明確になります。

また、JUST道ITと言えばのこのヴィジュアル。

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このヴィジュアルはキャッチーでとってもわかりやすい、僕らの活動のアイコンとなりました。正直このヴィジュアルがあったからこそ、すばらしいエンジニアの方々が集まったり、拡散力が大きく増したものだと僕は考えています。

実はこのほかに、超初期(と言っても1日くらい)にFacebookでエンジニア募集している時にも

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こんなものを作ってアイキャッチをしていました。
言葉で何かを伝えるのも大切なことですが、僕はどんな活動でも「目から訴求する」ことも重要だと考えています。わかりやすさというか、心に入ってき方が違う気がしています。

僕は民間企業でいうような広報なんてやったことはないんですが、公務員という職業上、というか、入庁時に担当していた、「公営住宅の仕事」がとても役にたったなあと思います。ばあちゃんやじいちゃんに、制度を伝えるとき、より噛み砕いて、よりわかりやすく伝えないと「山形くんの言ってること意味わからない!」といつも怒られていた経験が生きたなあと思います。

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反省点

反省点もないわけではありません。それは息切れです。
この活動では、物凄いエネルギーが集中し、それが一気に放出されました。色々な人を巻き込んで、自分たちの想いをすり合わせながら。

なにもかも許容する愛情を持ちながら1ヶ月くらい走り続けると、人は疲れます(笑)
特に、普段の仕事も当然持ちながら、個別で持つコミュニティを運営し...となると尚更なのかもしれません。もっとやれると思っていたのですが、意外とスタミナはなくなっているみたいです。

また、コロナ禍でリモートツールが市民権を得て、よりシームレスになればなるほど、物理距離の重要性も感じます。(これは、僕らがまだ旧世代だからかもしれませんが。)

このため、それまでに作成したメディアキットの更新や、メディア対応も、物理的に離れた僕はやりにくく、気がつけば他のメンバーに任せきりになってしまっていました。
本当は、外の人たちに対して考えてきた「伝え方」。いかにして「想いを人に伝えていくのか」と同じように、各メンバーともっとコミュニケーションがとりながら、作業負担ができたら良かったのかもしれません。

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まあ、思いっきり突っ走った結果、SNSもほとんど更新しなくなっていってしまいましたが、ここ最近はまた少しづつ戻りつつあります() 

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どんな活動でもやれることはある

僕自身は、コミュニティ活動が苦手でした。なんなら、人前で喋ることも苦手でした。もっと言えば、いまでも人と会って何かをするのは重い腰をあげがちです。
それでも、何かのアクションを起こしたい。そう思って、ハウモリを立ち上げてみたりしています。ただこれはどちらかと言えば自身が自身のためにやっている活動かもしれません。

しかし、このような活動は横の連携も生まれ、今回のJUST道ITでも大きな役割を果たしたCode for Sapporoへ参加したり、地図エンジニアのコミュニティのFOSS4G HOKKAIDOに参加してみたり、「コミュニティへの参加慣れ」をしてきました。入ってみたら全然怖くなかったです。

また、そこでは人それぞれの考え方がたくさんあるものなのだなあということも学び始めました。田舎で、人口もそんなに多く無く、町から一歩も出ずにそのまま就職した僕は、狭い空間でしか息をしてきませんでしたが、ちょっと外にでて深呼吸したら、今まで感じたことのない空気の味と匂いがしました。

ICTコミュニティと言えば、コーディングできないと入れないのかなとか、みんなでキーボード叩いてばかりで怖いかもとか、意識高めなのでしょう?とか思ってしまうかもしれませんが、半分くらいです。合ってるのは(笑)。


どんなコミュニティや活動でも、文字を書く人も必要だし、デザインをする人も必要、会計をする人も必要だし、人前で話す人も必要。社会の縮図です。

きっとJUST道ITはその役割を少しづつ終えていくと思います。とてもたくさんの場所で同じような取り組みや情報の公開がされ始めているからです。
少し寂しいなあと思う反面、いつまでも続けていくのは、義務化されてしまいそれも僕らの趣旨とは違う気もしています。

今回のような出来事がきっかけで、このような活動というかムーブメントはもう起きない方が良いと思いますが、これも僕らが普段から様々なコミュニティで活動してきた賜物だと思います。

最初の一歩を踏み出すのは大変だと思いますが、踏み出してみると見える世界もあります。どんなものでもいい、なにか小さなアクションを起こして行きませんか?


(最後に、この投稿のトップの写真。総合通信局さんのイベントの際、森さんの勤めている会社に伺った際入り口に置かれていたものです。つい半年前までは、お互い敬語で軽く会釈なんかしちゃう間柄だったのに、愛しか感じませんw)

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