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冬のランニングの時の「鼻水・鼻づまり」~血管運動性鼻炎

マラソンのスタート前、実はランナーは寒さに打ち震えています。マラソンは5~15度が適温とされていますが、そんな気温の中で薄着で待つのはめっちゃ寒いんです。スタート前は鳥肌がたってガタガタ震え、くしゃみ・鼻水・鼻づまりで大変な方も多くいます。
スタート前に、そんな鼻のトラブルで大変になってしまう方に、おすすめの薬を書いてゆきたいと思います。

1.なぜ寒いと鼻水が出るの?

寒暖差アレルギーなどと呼ばれることもあります。ですがハウスダストや花粉などの原因があるわけではなく、急激な気温の変化が引き金になって透明~白色の鼻水・鼻づまりが生じる疾患です。
「寒ければ当然だよね!!」はそうなんですが、特に女性であれば「どうにかしたい!!」もあるはずです。スタート前にウォーミングアップをする、直前まで暖かくするもそうなんですが、薬でどうにかならないのか?を書いてゆきたいと思います。

2.どういう薬がいい?(点鼻薬)

点鼻薬は鼻のスプレー剤です。ステロイドが含有されているので、鼻の感染症(蓄膿症など)のある方はあまり使うべきではありません。また点鼻薬独特の鼻の刺激が苦手な方もいます。ですが効果は一番あります。
鼻のトラブルでお困りの方は是非試してみて下さい。

2-1.コールタイジン点鼻液

自分のおすすめは圧倒的にこれです。アレルギーではなく、血管の拡張・収縮による鼻水ですので、抗アレルギー薬より血管に作用する薬が奏効するわけです。

コールタイジンは医薬品にも採用されている塩酸テトラヒドロゾリンを含有されています。テトラヒドロゾリンは即効性で強い血管収縮作用がある他、ステロイドも含有しており、効果の持続力ありそうです。10分ほどで効果が出るので、使い方としては更衣室に入ったら両鼻にプッシュして着替え、寒い所にでたら効果が最高潮になる使い方をおすすめします。

2-2.その他の血管収縮薬の点鼻

ちょっと高い!とか、コールタイジンのスプレー機能がイマイチ!、手の震えやめまいが出て強すぎた(そういう人は診たことはありませんが)ということであれば、血管収縮薬のナファゾリンやオキシメタゾリンを含有した点鼻がよいと思います。とりあえずオキシメタゾリンを含有した点鼻を添付します。是非参照下さい。

同じように15分程度で効果がでますので、着替える前に両鼻に点鼻するとよいと思います。

2-3.花粉症用の吸入薬も効果あり

まもなく花粉症の季節もやってきます。
市販薬ではありませんが、花粉症の点鼻薬「アラミスト点鼻液®」「ナゾネックス点鼻液®」というのもあります。花粉症の方はご用達と思います。
主には抗アレルギー効果ですが、血管運動性鼻炎にも多少は効果があるとされています。

もともと花粉症のシーズンには点鼻している!という方は、他の点鼻をするとステロイドが過剰になるかもしれません。血管収縮効果はないのですが、他の点鼻をせず今まで通り、花粉症の点鼻を行うのがよいでしょう。

3.どういう薬がいい?(内服薬)

点鼻薬がおすすめですが、点鼻の苦手な方や、蓄膿などで点鼻のステロイドが使えない方は内服も多少の効果はあります。
血管運動性鼻炎には、抗コリン作用のある内服が効果があります。以前のアレルギーの薬には抗コリン作用のあるものが多かったのですが、尿閉や眼圧のの上昇などの副作用もあるため、最近のアレルギーの薬は抗コリン作用のないものがほとんどになっています。
なので効果は乏しいのですが、眠気や便秘などの副作用もなく、安全性も高いので試す価値はあると思います。

3-1.アレグラ・クラリチン

市販の抗アレルギー薬で最も有名なのがアレグラだと思います。抗コリン作用はほとんどなく、緑内障の人の使用に対して禁忌・注意の文言がありません。もちろんクラリチンやアレジオンなど、他の抗アレルギー薬でも構いません。

ですが点鼻と違って、効果が出るまでの時間はやや遅めです。効果の発現までは1-2時間かかりますので、スタート2時間前に服用するのがよいと思います。

3-2.PL顆粒

PL顆粒は総合感冒薬で、消炎鎮痛成分のサリチルアミドとアセトアミノフェン、抗アレルギー薬のプロメタジンメチレンジサリチル酸塩と、無水カフェインの配合顆粒です。
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗コリン作用のある第一世代抗ヒスタミン薬で、血管運動性鼻炎の人、特に朝寒い日に鼻水のでる年配者に愛用者が多いんです。血管運動性鼻炎の鼻水を止める!!というだけなら、アレグラより効果は高いと思います。

アレグラと同様に1-2時間で効果が出ますので、スタート2時間前に服用するとよいでしょう。ですが眠気が出やすいので、電車の寝過ごしに気を付けましょう。また口渇感が出やすいので、水分の摂り過ぎに注意下さい。

4.ランニング前に点鼻・内服して大丈夫?

点鼻、点眼をしてマラソンをするなんて危ないんじゃないか?と思うかもしれません。ですが通常量の点鼻・内服なら大丈夫です。JSPOが公表する摂取可能薬剤にも、通常量の点鼻や抗アレルギー薬、PL顆粒は摂取可能とされています。さらにアレグラなどの抗アレルギー薬であるH1受容体拮抗薬に、ガスターなどの胃薬であるH2受容体拮抗薬を併せて服用すると、下り坂のランニング後の筋損傷と筋肉痛をおさえるという報告もあります。

決して飲んだ方がよいよ!という訳ではありませんが、スタート前に困っている方は試してみる価値があると思います。

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