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【本には書いていないランニングの知識③】汗腺を鍛えるということ

「顔に塩がふく」という言葉があります。
運動などでかいた汗が蒸発したあと、その汗の塩分が顔に残ってできるものです。

暑い夏になるものと思っているかもしれません。
ただ夏よりも、寒い季節の中で時々ある暖かい日に多い印象です。

顔に塩がふくほど塩分が出てしまうと、
塩飴やOS-1で補っても、なかなか追いつかないと思います。
結果、終盤までしっかり走るのも難しいと思います。

なんでそうなるのが理解して
しっかり対策しないといけないと思います。

1.足は鍛えていても、汗腺は鍛えていない冬・春

冬は寒くて、ランニングもしっかり追い込んで練習ができる季節です。
また社会人の方は、早朝や夜間の寒い時間帯に練習される方が多いと思います。
足はしっかり鍛えられる反面、しっかりとした汗をかかないという落とし穴があります。

こういう経験はありませんか?そしてそんな時、最後まで力強く走れましたか?

レースは日中です。
そして時々暖かくなる日もあります。
相乗効果で、鍛え損ねた汗腺が、レースの足を引っ張ることがあります。

2.汗腺をきたえるとは

汗は単なる水ではなく、体液からつくられる塩水です。
体液から、塩分を抜いて抜いて、うすい塩水の汗ができます。

鍛えた汗腺と、鍛えてない汗腺

普段、汗をかかない練習をしていると、塩分をうまく抜けずに濃い汗をかいてしまいます。
結果、塩分不足で足がつったり、失速したりします。

普段から汗をかく練習をしていると、うすい汗をかくことができます。
結果、塩分不足にならずにしっかり走ることができます。

そのためにもレース前は、しっかり汗をかく練習をしていくことが必要です。

3.特にどういう人が鍛えなければいけないのか

諸説ありますが、汗腺は遺伝的背景や幼少時の環境により左右されます。
それもあって、汗腺にはだいぶ個人差があります。

マラソン大会に出場した157人の汗中のNa、Cl濃度:Beatriz Laraら(2016)

夏でもないのに汗がダクダクの太めの男性もいれば、
真夏でもお化粧がほとんど崩れないツワモノの女性もいます。
汗で塩分を喪失しやすいのは、
・男性
・高体重
・高齢
・汗っかきの人
とも言われていますが、本文献では性別以外は関係なかったとされています。
また、結果低ナトリウムなるのは、体重が軽い女性とも言われています。

いずれにしても個人差が大きいと思われます。
今まで大会で顔に塩が吹いたことがある人は、汗腺も鍛えることを心がけた方がよいかもしれません。

4.汗腺の鍛え方

多くの場合、本番の大会は練習より汗をかきやすい環境になります。
練習は朝や夜の涼しいときに、本番より短い時間、本番より低強度になりやすくなります。
 大会本番が暑くなりそうなら、一枚多く着て練習するなど、しっかりと汗をかくようにして下さい。

熱所トレーニングによる胸部の汗の変化:Buono MJら(2007)

しっかり汗をかく練習をしていくと、汗の量は微増するものの、塩分喪失は30%程度減っています。

また、練習後の入浴サウナは暑熱馴化に有効との報告あがりますので、汗腺も鍛えられるかもしれません。

5.鍛えそこねたら

汗の塩分量は人それぞれです。
文献では、気温25度程度のフルマラソンで4時間で完走したランナーの場合、汗により約0.5g-4.0g/Lの塩分を喪失したとあります。
人や速さや環境によりますが、マラソンでは0.8L/時間程度、汗をかくとします。
とすると、フルマラソンを完走する4時間の中で、2~13gの塩分を喪失します。

塩飴は0.1g/個、スポドリは1.5g/L、OS-1は3g/Lです。
ランナーに人気のある塩熱サプリは0.0875g/個です。
ですので塩熱サプリを100個摂取しないといけません。
レース中にOS-1を4-6本は飲まなければいけません。

というのは難しいので、久しぶりに汗を大量にかくようなレースでは、ペースを落としたり掛水をして極力体を冷やしましょう。





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