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お酒の話(シェリー酒)


シェリー酒とは

シェリー酒はスペイン最南部アンダルシア地方で作られる酒精強化ワイン(フォーティファイドワイン)で白ワインの一種となります。

シェリーは英語表記(Sherry)であり現地スペインではビノ・デ・ヘレス(Vino de Jerez)と呼ばれ、フランス語ではケレス(Xerez)となります。そのため原産地呼称(D.O.)ではヘレス=ケレス=シェリーとして登録されています。

シェリー酒の地域

シェリー酒はスペイン最南部アンダルシア地方でも限られた地域で作られています。3つの地域を称して「シェリー・トライアングル」と呼ばれています。

・へレス・デ・ラ・フロンテラ
・サンルカール・デ・バラメーダ
・エル・プエルト・デ・サンタ・マリア

シェリー酒の特徴

・ソレラシステム(エル・システマ・クリアデラ・イ・ソレラ)
 発効まで行った白ワイン(アルコール11%程度)にブランデーを加えて
    酒精強化(アルコール15%)その後樽熟成を行います。その際に樽を3段  
 に積み重ね若いワインを上から入れ、下段に向かって段階的に熟成を
 進めます。※瓶詰めの際は樽の2/3は残すことで補充した上段の若い
 ワインと混ざり、品質を一定に保つことができる。

・ベネンシアドール
 ベネンシア(約1mの柄(バスタゴ)に50㏄のカップ(クビレーテ)と
 フック(ガンチョ)のついた柄杓のようなもの)を用いてシェリー酒の
 テイスティングを行うテイスター
※フロール膜をできるだけ壊さずに少量のシェリー酒を取り出せる。
 かつてはシェリー酒の売買契約の際の検査の役割があった。
 (スペイン語:アベネンシア「協定・契約」が由来)

シェリー酒の品種

 シェリー酒は白ワインの一種であるため、原材料はブドウを使用して
 おり、主に3つ品種が使われています。

・パロミロ(Palomino)…栽培面積は約90%
 シェリー酒における代表的なブドウ品種。香りが少なく、甘み、酸味も
 穏やかなことが特徴。シェリー酒以外にはあまり用いられない。
「パロミノ・フィノ」が主流で、「パロミノ・デ・へレス」はクラッシック
 な品種となる。
 レコンキスタで活躍した兵士(フェルナン・イバニェス・パロミノ)が由来

・モスカテル(Moscatel)…栽培面積は約9%
 正式名称:マスカット・オブ・アレキサンドリア。日本でも有名なブドウ
 品種。甘口(モスカテル)などに用いられる。収穫後は基本的に醗酵させ
 ずに酒精強化されることで、ブドウ由来のアロマを感じられる。

・ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)…栽培面積は約1%
 極甘口(ペドロ・ヒメネス)などに使用される品種。収穫後天日干し
 (ソレオ)により水分を飛ばし、糖分を高め酒精強化をする。

・伝統的なブドウ品種
 2022年にフィロキセラ禍以前の伝統的なブドウ品種が認定される。
 ・ベバ
 ・ペルーノ
 ・ビヒリエガ(ビハリエーゴ)

シェリー酒の種類

シェリー酒には辛口から極甘口まで様々な種類があります。簡単に一覧でまとめました。

●フィノタイプ

 フロールと呼ばれる産膜酵母により、空気と触れる機会が少ないため色味 
 が薄い。またフロールが糖分を消費するため辛口タイプ

・フィノ(熟成地:へレス、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア)
 ライドボディですっきりとした辛口。
 食前酒や魚のフライなどと相性が良い。
 7年以上熟成はフィノ・ビエホ認定される。

・マンサリーニャ(熟成地:サンルカール・デ・バラメーダ)
 フィノよりもフレッシュさと独特の塩気がある。
 塩ゆでのエビ、貝のマンサリーニャ蒸しなどと相性が良い。
 7年以上熟成はマンサリーニャ・パサダと呼ばれる。

・アモンティリャード
 フィノの長期熟成。琥珀色でナッツの風味。
 フィノとオロロソの中間的な味わい。
 熟成途中でフロールの消失により参加熟成が始まる。
 ※自然消滅や再度酒精強化のため

・パロ・コルタド
 アモンティリャードの香りとオロロソのボディがある。
 極上のイベリコハムと相性がいい。
 製法が明確ではないが、フィノがフロールがつかずオロロソ化したもの
 希少な参加熟成タイプで市場にめったに出回らない。

・ペール・ドライ
 淡い黄色から金色で軽やかな甘口
 フィノやマンサリーニャをベースにMCR(エメ・セ・エレ:無色無臭の
 濃縮精留果汁)をブレンドしたもの
 フロール熟成のシェリー酒ベースのため特性を残す。
 
・ペール・クリーム
 ペール・ドライよりも甘口

・ミディアム
 程よい甘さと酸味が特徴
 アモンティリャードやオロロソをベースにペドロ・ヒメネスやMCRで
 少し甘みつけたもの。
 アモンティリャード・ミディアム、ミディアム・オロロソという表記も
 ある。
 ※かつてはアモロソやゴールデンなどの表記もあった。

●オロロソ・タイプ

 シェリー酒のオールドスタイル。フロールが発生しにくい17%に酒精強化
 をして熟成する。そのため空気に触れながら酸化熟成が進むため、色合い 
 は琥珀色からマホガニー色へ変化する。

・オロロソ
 辛口で参加熟成による豊かな香りとデリケートなコク、深みがある。
 肉の煮込み料理と相性がいい。

・クリーム
 オロロソの芳醇な香りと甘みがある。
 食後酒におすすめ
 オロロソをベースにペドロ・ヒメネスやモスカテル、MCRなどで甘みをつけたもの
 
・モスカテル
 ブドウ品種モスカテルから作られる甘口/極甘口
 ブドウ由来のアロマと紅茶やジャスミンのような華やかさと柑橘類の
 爽やかさ、参加熟成で生まれる苦みがある。
 
・ペドロ・ヒメネス
 濃い甘みと粘度のある極甘口
 収穫したブドウ(ペドロ・ヒメネス)を天日干し(ソレオ)して糖度を
 高めたもの。

・ドゥルセ※一部不明な情報あり
 モスカテル、ペドロ・ヒメネス同様にパロミロ種からつくられる 
 甘口/極甘口のもの
 
 ※ビノ・ドゥルセ・ナトゥラルはブドウを天日干しの過程
 (パシフィケーション:干しぶどうになる状態)を経てつくられる甘口の
 シェリー酒の総称でもある。


●ヴィンテージシェリー
 ソレラ・システムではなく単一醸造年度のワインを樽熟成したもの。
 数は少ない。

・長期熟成について
 12年以上
 15年以上
 20年以上(VOS =very old Sherry)
 30年以上(VORS =very old rare Sherry)

☆参考HP☆


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