Takuya Hara

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カテゴリーエントリーポイントの考え方と使い方

本稿は、『ブランディングの科学:新市場開拓篇』で広く知られるようになった、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point:CEP)というマーケティング・コンセプトの解説記事です。 なお本稿では同概念を提案したジェニ・ロマニウク(Jenni Romaniuk)の論を立脚点にしながら、後半では「実務的にはこう使った方がよいんじゃないか」という提案もしてみたいと思います。 『ブランディングの科学』の中のCEPまずCEPは、商品やブランドを「連想」する、言

    • 同性同士の競争が激しい職場は、男性従業員にヤクルト1000をより多く買わせるかもしれない。

      SUMMARY(さしあたりの)結論 組織文化・風土は、その企業に勤める従業員の消費行動にも大きな影響を与える可能性がある。本記事では、勤務先が「同性間(すなわち、男性間または女性間)の競争を促している」と認識している従業員ほど、Yakult1000 / Y1000 を購入する傾向が高まることを検証した。 DETAIL問題意識 消費者行動論(Consumer Behavior)と組織行動論(Organizational Behavior)は、それぞれ個別の蓄積と歴史を持つ

      • 男性が育休を取りやすくする取組は、地球にやさしい買い物も増やすかもしれない。

        SUMMARY(さしあたりの)結論 育休を(特に男性が)長期的に取得してよいと思えるようにする会社の取り組みは、その会社の働きやすさを高めるだけでなく、その会社の社員のサステナブル購買の"障壁"(同性への競争意識)を下げることで、サステナブル購買の浸透にも寄与する可能性がある。 DETAIL仮説立案のために検討したこと 男性は、女性に比べて、サステナブル購買に積極的ではないということはさまざまな研究で指摘され、検証されています(Phillips et al., 2022

        • カテゴリーエントリーポイント解説[基礎編]

          本稿は、『ブランディングの科学:新市場開拓篇』で広く知られるようになった、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point:CEP)というマーケティング・コンセプトの解説記事です。 基礎編と位置づけた本稿では、前回の入門編で紹介した「適切度」という指標に関する検討を広げることで、「CEPはどのような課題を解決することができるのか」について考えていきたいと思います。 前回の記事の振り返り入門編の最後で、CEPとカテゴリー(ないしブランド)の結びつきを測

        カテゴリーエントリーポイントの考え方と使い方

        • 同性同士の競争が激しい職場は、男性従業員にヤクルト1000をより多く買わせるかもしれない。

        • 男性が育休を取りやすくする取組は、地球にやさしい買い物も増やすかもしれない。

        • カテゴリーエントリーポイント解説[基礎編]

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        • #まじめに考え続ける
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        • #キレイゴトをまじめに考え続ける
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        記事

          カテゴリーエントリーポイント解説[入門編]

          本稿は、『ブランディングの科学:新市場開拓篇』で広く知られるようになった、カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Point:CEP)というマーケティング・コンセプトの解説記事です。 入門編と位置づけた本稿では、CEPをマーケティング実践に導入するための前段階となる「CEPとはどんな意義をもつコンセプトなのか」について検討していきます。 CEPと連想まずCEPは、商品やブランドを「連想」する、言い換えると、商品やブランドを思い出す/思いつくことに関連す

          カテゴリーエントリーポイント解説[入門編]

          マーケターはストーリーの悪さを知らなければならない

          人類の歴史は、ストーリーとともにありました。 例えば『サピエンス全史』でユヴァル・ノア・ハラリは、人類の歴史を作ったのは「虚構(フィクション)」であったと結論づけました(※1)。現在の人類の祖であるホモサピエンスが自分より体格の大きいネアンデルタール人との生存競争に勝つことができたのは「物語を共有する力」の有無だったのです。 マーケティングにおいても「ストーリー」は重要なことは言うまでもないでしょう。 例えばある研究では「イノベーティブな製品が市場に受け入れられるかどう

          マーケターはストーリーの悪さを知らなければならない

          ストーリーはブランドの意思決定に力を与える

          ストーリーと聞くと「ストーリーテリング」に代表されるような、"他者の注目を集め説得する手段"として捉えられる向きがあるのではないかと思います。一方でストーリーには、(他者ではなく)"自らにまつわる記憶や出来事の意味を捉え直す"ことで、自らの意志に力を与えるためにも必要とされるのではないか、という議論があります。 本記事では、後者の"人の意思決定に力を与えるストーリー"に注目し、それがブランドにとってどんな役割を担うのかについて紹介していきます。 このnoteは何? マーケ

          ストーリーはブランドの意思決定に力を与える

          ストーリーはどのようにマーケティングに貢献するのか

          「マーケティングにはストーリーが重要だ」。この言葉に異論を唱える人は、それほど多くないでしょう。一方で、狭義のデザインのように、「ストーリーへの投資が事業にどう貢献するのか」を、説得的に語ることは難しいと認識されている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、マーケティング実務の観点から「ストーリー」に関心を持っている人が「マーケティングや広く経営活動にストーリーがどのように貢献するのか」について理解を深めていただくこと。さらに所属するチームや部署にプレゼンする際に活用い

          ストーリーはどのようにマーケティングに貢献するのか