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”全力”を出すために必要なものは?
どうも!!アスレティックトレーナーの横川です。
今回は、ある動画を観て感じたことを書いていきます。
まずはこちらの映像をご覧ください。
※かなり強烈な体罰・暴力の映像が流れます。苦手な方はお控えください…。
こちらの動画を観て、どう感じますか?(観ていない方はごめんなさい🙏)
暴力という方法は当然なし…というより確実にあり得ないと思いますが、それ以外の面で私が感じたことは、『意外と人は全力を出せない』ということです。
動画の冒頭(0:30あたり)、プロレスファンの間では有名なシーンなのですが、「全力で蹴れ!」と言われた選手が、佐山サトルさんの基準には達しておらず、顔面を張られてしまいます。
しかし、張られた後の蹴りは、明らかに速く・強くなっています。
何度も言いますが、暴力での指導は言語道断、全く参考になりません。
ですが、実際に動きは良くなってしまっています。
ここから感じたことは、本人が全力だと思っていることも、実は全力になっていないのでは…ということです。
実際、人間には、『心理的限界』と『生理的限界』が存在しています。
心理的限界とは、自分の精神的に「もう無理だ…」と思う限界値を指します。
いわゆる心が折れる的な状態です。
生理的限界とは、心理的限界のさらに上に位置し、もう無理だ…と思ってからも動き続けると、身体が自動的にシャットダウンしてしまい、動かなくなる状態を指します。
なぜこのように限界値が2種類設定してあるかというと、生理的限界を迎えると、気絶や筋断裂など身体に支障が出て、身体活動が困難になります。
これを防ぐための機能として、心理的限界が存在しています。
つまり人間は無意識下で、『楽をすることで自分の身体を守っている』ということになります。
競技スポーツの世界では、この心理的限界というものを取り払う、もしくは意図的に高める必要があります。
なぜなら、競技スポーツにおいては心理的限界を超えた動きを要求される場面が存在し、そういった場面で怪我や重大な事故が起こる場合があるからです。
この心理的限界を高める方法としては、いわゆる『追い込む』ということになるのですが、これの厄介なところは、個人個人で心理的限界の基準が違うということです。
基準が違うことで同じことをやっても、きついと思う人と思わない人が出てきます。
したがって近年では、『個人に合わせた指導』というものが指導の基本になりつつあります。
心理的限界値が違うからこそ、個人に合わせないと選手が怪我をしてしまう…というトレーニング指導者の方も増えてきています。
しかし中には、『個人に合わせた指導=その人のペースでキツくない・危険でない範囲でやる指導』と捉えている方がいます。
私はこれには疑問を持たざるを得ません。
効果的な指導を求めるのであれば、きついことを選手にやってもらわないといけません。
トレーニングには過負荷の原理(一定以上の負荷を与えることで機能が向上する)というものが存在するように、身体に対して効果的なトレーニングは総じてきついものがほとんどです。
この『きついこと』の基準は自分ではなかなか設定できません。
つまり、自分で追い込もうとすると楽をしてしまうのが人間の性。
こんな時は、自分だけでなく他の人が基準を設定してあげることも必要です。
相手の心理的限界を見極め、それを少しだけ超えるような基準を設定する。
それがトレーニングの強度設定の基本になります。
トレーニングを指導する側としては、トレーニングの種類・引き出しもそうですが、それ以上に心理的限界と生理的限界の境目をコントロールすることが重要であり、それによって怪我なく・効果の高いトレーニングを処方することができます。
選手の全力を引き出すために、あえて厳しい基準を、安全な範囲で提示していきたいですね!!
では、本日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました🙇♂️
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