記事一覧
酵素反応速度論⓪定常状態近似
はじめに 生化学の講義でみんな (?) 苦しむ Michaelis-Menten 式.あれの導出に「定常状態近似」ってありましたよね.酵素反応だとほぼ自明に思えるけど,酵素反応以外の化学反応でも使用することがあり,条件によっては近似していいのか必ずしも明らかではなかったり.今回は簡単な反応式について定常状態近似を導入できる前提を示したのち,定常状態近似を用いた場合と用いなかった場合の速度式を示し
全手動 Project Euler problem 1
はじめに Project Euler について,wikipedia では以下のように説明されている.
数値計算技能の向上を目的とした演習用サイトなのでプログラミングで解ける数学の問題がいっぱいある (2024 年 1 月 3 日現在 870 問).
前回の投稿の最後で数値計算の勉強もしてみたいというようなことを書いたが,とりあえず Excel の扱いになれるところからかなぁ Excel V
peak deconvolution の覚え書き②~Savitzky-Golay filter ごっこ~
はじめに 本稿では HPLC のクロマトデータ処理として有名な Savitzky-Golay 法について勉強したことをまとめます.本稿は高校の数学定期試験で零点を連発していた人間が書いています.そのつもりでお読みください.間違っているところを見つけたら優しく教えてくださると幸いです.
前回の続き 前回 5 点を通る三次関数の算出法を求め,Excel で計算するところまで実施した (前回).今回
peak deconvolution の覚え書き①~5 点を通る三次式~
5 点に三次関数を当てはめる.
すなわち,5 点 $${(x_1, y_1), (x_2, y_2), (x_3, y_3), (x_4, y_4), (x_5, y_5)}$$ があるとき,もっともよく当てはまるような $${y=ax^3+bx^2+cx+d}$$ を与える定数 $${a, b, c, d}$$ の組を考える.
理屈単回帰分析と同様に残差平方和を最小とすることを考えると,$${
231014 つくってあそぼ~GSH (glutathione) 合成に関する酵素反応のモデル~
はじめに GSH (glutathione) は活性酸素種の消去や還元力の提供など,細胞内で重要な役割を担うトリペプチドである.トリペプチドである GSH は構成アミノ酸三種が二回重合することで生じる.具体的に生合成経路は下記二段階から成る.
Glu + Cys +ATP → γ-EC + ADP + Pi
γ-EC + Gly + ATP → GSH + ADP + Pi
第一段階