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2021年末に、沖縄・山口・広島に何が起こっていたのか

2022年、年明け早々の1月9日から、沖縄・山口・広島の3県に「まん延防止等重点措置」が適用されました。

この3県で新型コロナウイルスの感染が急拡大していることが原因です。

従来の「まん延防止」は、首都圏などが先行して適用されることが多かったのですが、今回は異なる傾向です。

なぜこの3県なのでしょうか。

米軍基地関係者の感染が原因という話もありますが、それ以外の理由があるのでしょうか。

毎度おなじみ(?)のV-RESASで調べてみました。

V-RESASとは、ざっくり言うと新型コロナによる経済活動の変化が見えるサイトです。グラフも表示できますし、データのダウンロードも出来ます。

前回V-RESASをご紹介したブログはこちらです。


今回は、
・人の移動に関するデータ
・飲食店情報の検索状況

を見て、沖縄、山口、広島の3県にに特徴的なことがあるのかを調べてみました。
なお、データは2021年最終週のデータを用いています。

人の移動に関するデータ

V-RESASでは、

ある地点に滞在している人が、どこから来たのか(どこに住んでいる人か)
その人数は2019年の同じ週に比べて、増えたのか減ったのか

を見ることが出来ます。

人の移動の情報は、スマホから得たGPSデータもとに作成されいます。(株式会社Agoopの流動人口データ(GPSデータを元に推計した人口換算値)を元に集計)。
この端末の持ち主は、ここに住んでいるに違いない、と類推し統計が取れるようになったとは、すごい世の中になったものです。

・市区町村内の移動

ある地点に滞在している人のうち、同じ市区町村内から来たと推定される人が2019年度に比べて増えたのか減ったのかを、都道府県毎に集計したデータです。
各地域ごとにパーセント表示されており、増えていればプラス減っていればマイナスです。
グラフにすると次の通りです。

このままだと傾向が見えにくいので、ヒストグラムにしてみます。

ヒストグラムとは、測定値を階級毎に区切って、その階級に属する数を積み上げていったグラフです(excelで簡単に作ることが出来ます)。
今回の場合、横軸が階級の区間(%)、縦軸がその範囲に入る都道府県数になります。
結果は下の図のようになりました。

全体の傾向としては、4%付近に山があり、平均は2.9%でした。つまり2019年度と比べて市区町村内の移動は3%程度増えているといえます。

3県の位置はグラフ中に注釈として表示したとおりです。3県とも数字は平均より小さく、市区町村内の移動は2019年から横ばいといえます。

・都道府県内の移動

次に、ある地点に滞在している人のうち、同じ都道府県内から来た人が2019年に比べて増えたのか減ったのかを見てみます。
ここから先はヒストグラムのみ表示します。

全国的な傾向としては12%程度、県内移動が減っています。山口県の減少幅が少なめ(2019年度から5%程度の減)です。ただし、平均値から大きく外れているわけではなく、山口県で特に県内の移動が増えているとまでは言えません。

・都道府県外からの移動

最後に、ある地点に滞在している人のうち、他の都道府県内から来た人が2019年に比べて増えたのか減ったのかを見てみます。

60%程度の所に山があって全国的に県間移動がかなり増えていることが分かります(都道府県を超えて移動した人数が1.6倍になったことを示しています)。データは2019年同週比、つまり2019年の年末と、2021年の年末の比較です。2019年末はコロナの影響は無かったはずなので、ここまで増えているのは疑問が残ります。本当に増えているのか、もしかしたらデータが間違っているのかもしれません。もし訂正したデータがV-RESASから出たらやり直すとして、今回はこのまま進めます。

さて3県ですが、山口県において県外からの流入が少し多めです。他の2県は全国平均以下で、あまり目だった特徴はありませんでした。

首都圏・関西圏からの移動

次に、他の都道府県から移動してきた人のうち、首都圏・関西圏(※)から来た人の構成比はどうだったのかを見てみます。2021年末最終週の構成比です(2019年との比較ではありません)。
(※ 東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・京都・兵庫、としました)

沖縄が50%を超えていることが分かります。これは、他の都道府県から沖縄に来た人のうち半数以上が首都圏・関西圏からの移動であることが分かります。首都圏・関西圏のような人口密度が多いところで潜在的な感染者が多いとすると、多少リスクがあったかもしれません。

飲食店情報の閲覧数

最後に、飲食店情報の閲覧数を見てみます。具体的には「Retty」の飲食店情報のPV数について、2019年の同週比を取ったデータです。飲食店への検索数は、外食需要と関連していると考えられます。

PV数は軒並み減少しています。3県については、広島の減少が多少目立つ程度です。
飲食店の閲覧数からはあまり多くのことは言えないようです。

まとめ

「まん延防止」が適用された沖縄・山口・広島の2021年末の特徴をV-RESASで見てみました。
他県からの当該地域への人の流れのデータから、山口県が全国平均より多少流入が多かった点と、沖縄県で首都圏・関西圏からの構成比が高かったことが目立ちましたが、それほど大きな異変というわけではありませんでした。
この結果だけで感染源が米軍基地関係だけと決めるには早いと思いますが、要因特定はなかなか難しそうに思いました。


IT系企業に所属する企業内診断士です。