糖尿病の内服薬であるSGLT2阻害薬って何? 糖尿病だけじゃない驚きの効果と可能性
SGLT2阻害薬という糖尿病の治療薬をご存知ですか? この薬は血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓を保護する効果があります。 この記事では、SGLT2阻害薬の効果と副作用について詳しく解説します。
血糖値を下げることで糖尿病の合併症を予防するSGLT2阻害薬。 この薬は、心不全や慢性腎臓病などの心血管疾患の予防や治療にも有効であることがわかってきました。
SGLT2阻害薬は、尿中にブドウ糖を排泄することで血糖値を下げるタイプの糖尿病治療薬です。 この薬は、血圧や体重を下げることで心血管イベントや慢性腎臓病の進展を抑制することが臨床試験で示されています。
SGLT2阻害薬とは?
SGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)は、主に腎臓で働くタンパク質で、尿中からブドウ糖を再吸収する役割を担っています 。 SGLT2阻害薬は、このタンパク質をブックすることで、尿中にブドウ糖を排泄させることで、血糖値を下げる効果があります。 SGLT2阻害薬は、2014年に日本で初めて承認された新しいタイプの糖尿病治療薬で、現在はエンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、イプラグリフロジン、トフォグリフロジンの5種類が市販されています。
SGLT2阻害薬の効果
SGLT2阻害薬は、血糖値を下げるだけでなく、他にも様々な効果があります。以下に、SGLT2阻害薬の主な効果についてまとめます。
体重減少効果:SGLT2阻害薬は、尿中にブドウ糖を排泄することで、カロリーの消費を増やします。 これにより、体重が減少することが多くの臨床試験で示されています。 体重減少は、肥満を伴う糖尿病患者にとって有益な効果です 。
降圧効果:SGLT2阻害薬は、尿中にブドウ糖とともにナトリウムも排泄することで、血圧を下げる効果があります。 高血圧は、心血管疾患の危険因子であるため、血圧をコントロールすることは重要です 。
腎保護効果:SGLT2阻害薬は、血糖値を下げることで、糖尿病性腎症の進行を遅らせる効果があります。 また、SGLT2阻害薬は、腎臓の血流量や酸素供給を改善し、腎臓のストレスを減らすことで、腎臓の機能を保護する効果もあります 。
心疾患リスクの低減効果:SGLT2阻害薬は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントの発生率を低下させる効果があります。 これは、体重減少や降圧などの作用に加えて、心臓のエネルギー代謝や酸素需要を改善することで、心筋虚血や心不全の予防につながると考えられています 。
SGLT2阻害薬の副作用
SGLT2阻害薬は、多くの効果がありますが、副作用や注意点もあります。 以下に、SGLT2阻害薬の主な副作用についてまとめます。
低血糖:SGLT2阻害薬はインスリン分泌促進剤やインスリンと併用する場合に低血糖を起こす可能性があります。 低血糖は、意識障害やけいれんなどの重篤な症状を引き起こすことがありますので、注意が必要です。
ケトアシドーシス:SGLT2阻害薬は、ブドウ糖代謝から脂肪酸代謝へのシフトを促進することで、ケトン体の産生を増加させる可能性があります。 ケトン体は、血液や尿中に排泄されるべきものですが、過剰になると血液や組織を酸性化させることで、ケトアシドーシスという重篤な代謝異常を引き起こすことがあります。
尿路・性器感染症:SGLT2阻害薬は、尿中にブドウ糖を排泄することで、尿路や性器に細菌やカンジダなどの感染を引き起こす可能性があります。
SGLT2阻害薬の更なる可能性
Luoらの観察研究によれば、肺がん患者がSGLT2阻害剤を使用すると、非使用者(すなわち、糖尿病が制御されていない患者およびメトホルミンおよび他の抗糖尿病薬を服用している患者)と比較して、全死亡率が32%相対的に減少しました。SGLT2阻害剤を12か月以上使用した患者では、非使用者と比較して全死亡率が46%相対的に減少しました。
個人的な意見
ナトリウム・グルコース要するに塩と砂糖を腎臓で再吸収する機能は人間にとっては必須だったけど、(昔は塩も砂糖も人間にとって貴重だったから)現在の豊かな生活をする人間には急速に不要な機能となり逆に色々な病気を進行させる要因となっていたんじゃないかと考えてます。人間の進化はおそらく何千年・何万年単位で進むので産業革命以降の進歩には進化は対応出来なかった。
肺がんに関しては他の論文でも書かれていますが肺がん自体がSGLT2を持っていてそれをブロックされるから癌が大きくなりにくいと言われています。私はこういう分かりやすい理論はすごく好きです。
SGLT2阻害薬は非常に可能性のある薬剤です。内服に関しては専門の医師に相談することをおすすめします。
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