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中年期の体重変化と認知症リスクの関連性

 最近の研究「Body mass index, weight change in midlife, and dementia incidence: the Japan Public Health Center-based Prospective Study」で、中年期の体重変化と認知症リスクの関連について重要な知見を提供しています。  
 この研究では、40歳から59歳の間に体重変化を経験した37,414人の日本人住民を対象に行われ、1990年または1993年のベースラインとその10年後のフォローアップで体重を測定しました。2006年から2016年までの間に認知症の発症率を、長期介護保険の認定記録に基づいて調べました。

 この研究の結果、ベースライン時の肥満および10年後の低体重は認知症リスクの増加と関連があることが観察されました。特に、中年期以降の体重減少は体重増加よりもリスクが高いことがわかりました。性差は観察されませんでした。

 この研究からは、中年期の体重変化が認知症リスクに影響を与える可能性があるという点が明らかになりました。特に、中年期以降の体重減少は、認知症リスクを増加させる可能性があります。この体重減少が健康的な運動やバランスの取れた食事によるものか、栄養不足や病気によるものかを区別することが重要です。

 運動や食事による体重減少は、一般的に健康に良い影響を与えますが、栄養不足や病気による体重減少は、身体機能の衰えや筋肉量の減少、免疫機能の低下などを引き起こし、結果として認知症リスクを高める可能性があります。

 したがって、体重管理においては、単に体重を維持するだけでなく、その背後にある健康状態や生活習慣にも注意を払うことが重要です。体重の変動に伴う健康リスクを理解し、個々の状況に合わせた適切な健康管理が求められます。

 この研究は観察研究であるため、因果関係を断定することはできませんが、体重の安定性が認知症予防において重要な要素であることを示唆しています。中年期の健康な体重維持が認知症予防に有益である可能性があるというこの研究の結果は、公衆衛生上の介入や政策立案に役立つ重要な情報です。

 健康な体重維持は、単に数値の問題ではなく、生活全体の質を高めるためのステップです。適切な栄養摂取、定期的な運動、十分な睡眠、ストレス管理など、日々の生活習慣が健康な体重維持に不可欠です。前にBMIの変化と死亡率についても記事にしましたが、やはり体重は一定に保たれているのが大事なようです。

https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dad2.12507


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