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なぜ僕らは生きづらいのか | お金の匂いを放つ広告

プロフィール
1999年生まれ。東京都調布市出身。
大学を中退し、ドイツでプレーするサッカー選手。
好きなテレビ番組は「家、ついて行ってイイですか?」

今回も今回とて、読書感想文。

オードリーの若林正恭さんが書いた『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』という本について。



印象に残った部分

この本は若林さんが束の間の休日にキューバ、モンゴル、アイスランドに旅に行ったときの話。淡々とそのときの話が綴られていて、そのときに感じたことや思ったことが合わせて語られていた。

なかでもこころに刺さったのが、本のちょうど中盤を過ぎたあたりでお父さんについて書かれていた部分。

キューバで感じたことと、親父さんの死が重なって綴られていた。

言葉では表しにくい切なさと儚さと虚しさ。それをキューバという社会主義国と東京という競争の資本主義社会の対比と重ねていて、悲しいでもない不思議な感情になった。



お金の匂いを放つ広告の存在

そしてもう一つ、印象に残った部分がある。

広告がないのだ。社会主義だから当たり前といっちゃ当たり前なのだが、広告の看板がない。ここで、初めて自分が広告の看板を見ることがあまり好きではないことに気づいた。東京にいると嫌というほど、広告の看板が目に入る。それを見ていると、要らないものも持っていなければいけないような気がしてくる。必要のないものも、持っていないと不幸だと言われているような気がぼくはしてしまうのだ。ニューヨークに行った時もそうだった。ぼくはギラギラと輝く広告の看板やビジョンを見て「やりがいのある仕事をして、手に入れたお金で人生を楽しみましょう!」という価値観がここから始まっているのではないかと感じたのだ。

僕はドイツの田舎に住んでいて、東京に比べたらものすごく不便で、ないことだらけな世界にいる。ただ、とても過ごしやすくて、精神的にも伸び伸び暮らせて、とても気に入っている。

この若林さんの文章を読んで、ハッとした。東京での生活を息苦しくしている正体は「広告」だったのではないかと。

そんなことを思ったことが今までなかったので、とても新鮮だった。

広告からはお金の匂いがする。
そもそも見たいものではないのに、人の視界を無理やり占領してくる。
資本主義。
競争を促し、お金や権力を得た者が素晴らしいとされる世界。
ここは資本主義の世界だ。戦え。競え。お金を儲けろ。

そんなメッセージが知らず知らずのうちに広告というものから放たれていたのではないだろうか。

僕が今住んでいる広告とは無縁のドイツの田舎の生活と比べて、そんなことを考えさせられた。



人のアンテナ

旅するときに立っているアンテナが人それぞれある。

建築に興味がいく人もいれば、歴史や文化や服装などに目がいく人もいる。ただ建物を眺めたり街を訪れて観光として楽しむ人もいるし、美味しい食べ物を食べて楽しむ人もいる。

そんな人のアンテナを知ることができたのがとてもよかった。

同じ場所を訪れても感じることは人それぞれ違う。そこで何を感じるか、何を学んでいるのか。そのときの人の脳には興味がある。

若林さんの旅行時のアンテナを見れて、とても勉強になった。

僕もキューバを訪れてみたいと思ったし、自分がそこでどう感じるかにも興味を持った。


そんなこんなで

やっぱり、もっともっといろんな国に行ってみたいなと思った。

年を重ねると縛り(家庭を持ったり、仕事があったり、親の介護があったり)が増していく。そうなると、なかなか自由に世界中の国に行きにくくなる。

そうなる前の今の若いうちに、守るものも失うものもないうちに、できるだけいろんなところに行っておきたいなと思った。


ではまた!

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